南沙良は“あまり知らないようにしたい人”短編映画『恋と知った日』南沙良×山田孝之×井樫彩監督3ショットインタビュー
“Z 世代が語りたくなるラブストーリー”をテーマに制作されたオリジナル短編映画『恋と知った日』で主演を務めたのは、女優・南沙良。「たくさん人が住んでいる街で、このまま自分だけひとりぼっちなのではないか」と不安な気持ちを抱え、マッチングアプリに登録する大学2年生の吉乃渚を好演。
一方の山田は、南とマッチングアプリで出会うも噛み合わない男性として登場している。
今回は南沙良、山田孝之、井樫彩監督にインタビュー。お互いの印象を語ってもらった。
“Z世代が語りたくなるラブストーリー”
――今回制作された『恋と知った日』は“Z世代が語りたくなるラブストーリー”がテーマとのことですが、このテーマになった経緯を教えてください。
井樫彩(以下、井樫監督):最初に若い男女の恋愛ものをやってほしいとオーダーをいただいたんです。それで以前ミュージックビデオを制作したときに回収した若者の反応から着想を得て、こういう風にしたら伝わるんじゃないかと、今回の企画に至りました。
――誰もが共感するような描写が散りばめられている印象を受けました。
井樫監督:実際にマッチングアプリをしてる友達の話を思い出したり、バスに乗っているときに子供が窓に落書き したであろう絵の痕跡を見つけたり、自分の生活の中で見かけた光景からインスピレーションを受けたシーンもありますね。
――南さん、山田さんは企画を聞いたとき、どのように感じましたか?
南沙良(以下、南):私と同じ世代の人たちが共感できるものだなと感じました。
山田孝之(以下、山田):僕は「若者の恋愛」ってオーダーがあったことを知らなかったので「井樫監督って、そういうのも撮るんだ」って驚きました。その上で「どこかで出れないか」とお願いされたのですが「いらないでしょ、俺は」って思いました。
井樫監督:いやいや(笑)。
山田孝之「できるだけ感じの悪い人になることを意識」
――結果的に、南さん演じる渚とマッチングするも全く脈なしな方を演じていましたね。
山田:はい。恋愛に全く発展する気配がない人がいてもいいなと思って。できるだけ、感じの悪い人になろうと思って、僕が打ち合わせの時に使っているスマホを立てられるケースを使ったり、劇用の携帯も使って2個持ちにしたりしてみました。
井樫監督:スマホスタンドもそうですし、女性の画像も用意してくださって。シーンとしては一瞬なのに、めちゃくちゃ考えてきてくださって、ありがたかったです。
南:本当に一瞬でしたよね。
山田:うん。入って、撮影して解散って。キャラクター同士の心が通じていないから、本当に同じ場所に居合わせただけという関係性でした。次回は、お互いの役を深く知れるような役で共演したいです。
――具体的に、どんな関係性が良いでしょう?
山田:以前から南さんがやりたいことが、明確にあって。巨大化したいんですよね?
南:そうなんですよ。昔から巨大生物が好きで、自分がビルを蹴れるサイズになることに憧れているんです。
山田:そうなったときに、僕の立ち位置はどうしようね。踏まれちゃう側なのか、僕も大きくなるのか。
南:山田さんに巨大になりたい願望があるのであれば、ぜひ巨大になっていただいて……。
山田:じゃあ、巨大化した南さんの50倍サイズくらいになろうかな。そしたら、またすれ違ってしまうかもしれませんけど。
南・井樫監督:(笑)。
南と山田の魅力的な部分は?
――山田さんと監督から見た南さんの魅力を教えてください。
山田:時間終わっちゃいますけど大丈夫ですか?
南:(笑)。ありがとうございます。
井樫監督:私は、お会いする前からお芝居はもちろん、エッセイも読ませていただいていて、存在そのものが魅力的だなと感じていました。自分の今まで生きてきた人生が、色濃く自然に出ていて、すっと入りこんでくる感じが素敵だなと。
現場でお会いしてからは、そこまで雑談はせず、シーンの話などしかしていないのですが、こんなに多面的な人間っているんだなと思いました。
山田:僕は、あまり知らないようにしているんです。今日何食べたんだろう、家族と話す時どんなテンションなんだろうと知りたい気持ちもありますけど、知ると納得しちゃうじゃないですか。だから、知らない方がおもしろいんだろうなって思っていて、距離をしっかりと保って、質問もし過ぎないようにしています。
――南さんから見た山田さんの魅力も教えてください。
南:もちろん、すごい俳優さんなのですが、それでいてフラットに接してくれるところが魅力だなと思います。全部受け止めてくださる方だなという印象もあるので、隣にいてくださると安心する、あたたかい方ですね。
「楽しそうだからやってみたい」と思われたい
――2020年の発足から3年経ちましたが「ミラーライアーフィルムズ」の手応えをどのように感じていますか?
山田:多くの人に知ってもらい、共感していただいたなと思います。個人の方にも、企業さんにも。結果的に、4月22日からは「第1回ミラーライアーフィルムズ・フェスティバル」も開催することになり、そこに向けた特別上映作品ができたり、ABEMAで配信されたり、JOYSOUNDで非劇場上映ができるのはありがたいですね。
――見る間口がとても広いですね。
山田:やはり映画館がないところも、未だにいっぱいありますからね。映画を作っても、どこで出すかって1番大変なんです。だから全国の多くの人に見てもらう環境ができたことはありがたいですね。
――今後のビジョンを教えてください。
山田:楽しそうだから、自分たちもやってみようと思ってくれる人が、1人でも増えればもう本望ですね。観るでも作るでもなんだっていいんですよ。思い立ったことを行動に移すのが重要だと思っているので、そういうことをこれからも伝えていきたいです。
(ヘアメイク=南辻光宏(complice)<山田>、坂本志穂<南>/スタイリスト:五月桃(ROOSTER)<山田>、道券芳恵<南>/撮影=Marco Perboni/取材・文=於ありさ)
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