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『ショーシャンクの空に』が“不朽の名作”になった「4つ」の理由



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『ショーシャンクの空に』は、無実の罪でショーシャンク刑務所に投獄された元銀行員アンディ(ティム・ロビンス)が、腐敗しきった刑務所の中でも希望を捨てることなく生き抜くヒューマン・ドラマ。

今でこそ不朽の名作として知られる本作だが、公開当時の興行は振るわなかった。同時期に『パルプ・フィクション』や『フォレスト・ガンプ』が公開されていたこともあり、最初の劇場公開時の収入は制作費を下回る1600万ドル。

作品賞、主演男優賞、脚色賞、撮影賞、作曲賞、編集賞、録音賞の7部門にノミネートされた1995年のアカデミー賞でも、結局受賞はゼロだった。

ではなぜ本作は、“不朽の名作”の称号を得るに至ったのか?4つの理由から、それを解き明かしていこう。

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理由その1:多くの観客に観られたから



最初の理由は、シンプルに「多くの観客に観られたから」。アメリカでは、ケーブルテレビで定期的に『ショーシャンクの空に』が放送されている。映画の興行収入が低かったため、非常に低いコストで放送が可能だったからだ。

2013年には15のケーブルテレビで放送され、その放送合計時間は151時間に達したというデータもある。

レンタル・ビデオショップの貢献も大きかった。劇場公開後32万本ものビデオが出荷され、この傑作ができるだけ多くの映画ファンの目に届く機会が作られた。かくして『ショーシャンクの空に』は一般の映画ファンから高い評価を獲得し、クチコミで“傑作”の評判が広がっていく。

映画オンラインデータベースのIMDでは、一般ユーザーの人気映画投票1位を獲得し、初めて200万票を超えた作品となった。

本作は映画評論家ではなく、一般の映画ファンの力によって押し上げられた作品なのだ。

理由その2:フランク・ダラボンの演出力が凄いから



本作で映画・脚本を務めたフランク・ダラボンの功績も大きい。原作は、スティーブン・キングの短編小説「リタ・ヘイワースとショーシャンクの空に」。この映画化権をたった5000ドルでゲットしたダラボンは、脚本を8週間で書き上げる。

このシナリオを気に入ったのが、『スタンド・バイ・ミー』や『恋人たちの予感』で知られる名匠ロブ・ライナー。彼はアンディ役にトム・クルーズ、レッド役にハリソン・フォードというスターを配することを提案して、監督に名乗りをあげる。

そのオファーを真剣に検討したダラボンだったが、最終的には自らメガホンをとって監督デビューを果たすことを選択。そのチョイスは大正解だったと言っていいだろう。

それまで、『エルム街の悪夢3 惨劇の館』、『ブロブ/宇宙からの不明物体』、『ザ・フライ2 二世誕生』などホラー映画を中心にシナリオを書いてきた彼にとって、『ショーシャンクの空に』は畑違いのヒューマンドラマに思える。

だが、刑務所という閉鎖された空間で日常的に行われている暴力&不正は、実はとってもホラー的な題材。


(C)2007 The Weinstein Company.All rights reserved.

後年の『グリーンマイル』や『ミスト』にも特徴的な、“人間という存在の神々しさとおぞましさ”というテーマを、処女作でも遺憾なく発揮しているのだ。

特に本作では、マーティン・スコセッシの『グッドフェローズ』を参考にしたという、小気味いい編集のテンポ&ナレーションの使い方に、新人監督とは思えぬ老練な演出ぶりが伺える。

モーガン・フリーマンの証言によれば、俳優、プロデューサー、そしてダラボンとの間には常に意見の相違があり、撮影は極度の緊張に満ちていたという。

だがダラボンはそんな空気をものともせず、自分の信じる道を全うしたのである。

理由その3: モーガン・フリーマンの存在感が凄いから



前述した通り、レッド役にはハリソン・フォードが候補として挙がっていたが、その他にもクリント・イーストウッド、ポール・ニューマン、ジーン・ハックマン、ロバート・レッドフォード、ロバート・デュバルなど錚々たるスター俳優が考えられていた。

原作でレッドは「赤毛の中年アイルランド人」という設定だったため、ベテランの白人俳優がリストアップされていたのである。

しかし、ダラボンはこの役にはモーガン・フリーマン以外ないと考えていた。威厳のある物腰、圧倒的な存在感。どんな駄作・珍作であろうと、モーガン・フリーマンが出演すると「映画の格が50%増し」になることは、もはや世界的常識。その先鞭をつけたのが、『ショーシャンクの空に』だったのである。

特にこの映画では、レッドのナレーションが時折インサートされる。彼の魅力的なバリトン・ボイスは、必要不可欠なピース。

スティーヴン・スピルバーグ監督の『宇宙戦争』、ドキュメンタリー映画『皇帝ペンギン』、ディスカバリーチャンネルのドキュメンタリー番組『モーガン・フリーマンが語る宇宙』など、今では当代随一のナレーターとして活躍しているモーガン・フリーマンだが、彼を初めてナレーションに起用したフランク・ダラボンの慧眼には感服するばかり。

理由その4: 普遍的な“希望の物語”だから



アメリカで『ショーシャンクの空に』の25周年記念上映が行われたとき、アンディ役を務めたティム・ロビンスは、「これは2人の男性の友情についての物語だ」とコメント。

続けて、「カーチェイスや、女性とのロマンスなど、男性の友情を描いた映画にありがちな要素がない。これは深い友情についての映画なんだ」とその魅力を語っている。

確かにその通りだろう。だが最も重要なのは、この作品がシンプルに“希望”の大切さを訴えたことにある。男同士の友情は、それを補強するための手段に過ぎない。

一部の評論家はアンディをイエスに見立てて、キリスト教的な寓話として語ることもあるようだが、それもまた深読みが過ぎるのでないか(フランク・ダラボン自身が、そのような考察に対して否定的なコメントを出している)。

ティム・ロビンスは続けてこう語っている。「これは希望についての映画であり、人生におけるあらゆる挑戦や障害を乗り越え、より良い人間になろうとする人の映画だ」

映画で最後に語られる言葉は、この映画の大きなテーマである“希望”。その普遍性が、多くの人々の心をつかんだのである。

なお6月17日より、『ショーシャンクの空に』の4Kデジタルリマスター版が全国で順次公開予定となっている。普遍的な“希望の物語”を、ぜひスクリーンで体感してみてください!

(文:竹島ルイ)

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