ダークな“大泉洋”を楽しめる作品たち|「全部、大泉のせい」
「黒大泉」3選
1:『東京喰種トーキョーグール』
(C)2017「東京喰種」製作委員会 (C)石田スイ/集英社
同題コミックの実写化作品第1作。人間を食らう喰種(グール)が跳梁跋扈する東京を舞台に、期せずして喰種となってしまった大学生・金木が喰種と人間の狭間で揺れ動き、闘う物語です。
大泉洋が演じる真戸呉緒は喰種の駆逐に強すぎる使命感を抱き、喰種であれば女・子供にも容赦せずに殺害して回る男です。
対人間に対しては礼儀正しい部分もあるのですが、喰種をもとにした武器“クインケ”の精製に執念を見せるなど、変わり者として見られることも多々あります。
原作ではキャラクターのバックボーンが描かれている一方で、映画は脚色の都合上深掘りされていなかったので、ただただ冷酷なハンター然とした存在です。外見的にも銀髪の長髪姿でとにかく異彩を放っています。
2:『鋼の錬金術師』
『鋼の錬金術師』も人気コミックを映像化した作品で、2022年に完結編2部作が連続公開されます。本作の大泉洋が演じるショウ・タッカーは主人公たちと同じ錬金術師。
人語を話す合成獣キメラを生み出したことで知られる実績の持ち主ーー実はそのキメラの誕生には大きな秘密がありました。
一見するとどこにでもいる普通の男性に見えますが、その分その所業を知ると“タチの悪さ”を感じます。
外見から見てあきらかに禍々しさを感じさせる真戸呉緒と、“穏やかな外見とは裏腹に”というショウ・タッカーはコインの裏表のような存在と言っていいでしょう。
ぜひ『東京喰種トーキョーグール」と『鋼の錬金術師』の両方を観て、全くタイプの違う「ダークサイドの在り方」を体験してみてください。しかも、それを大泉洋が演じているのですから……。
3:『騙し絵の牙』
小栗旬&星野源の『罪の声』でも知られる塩田武士の同題小説を『桐島、部活やめるってよ』『紙の月』の吉田大八監督が映画化した出版業界を舞台にした作品。
この『騙し絵の牙』の凄さは、もともと映像化も念頭に置いて、原作の段階で主人公の速水輝を大泉洋が演じること前提に“当て書き”されたという点でしょう。書籍段階で表紙や賞扉に大泉洋が登場しています。
とはいえ原作と映画は全く別物になっているため、どちらからでも楽しめる作りになっています。
ただ主人公の速水のキャラクターは小説では、ギリギリまで厳しい出版業界事情に左右される中間管理職的なものだったのに対して、映画は最初から“超曲者”で登場し、いくつもの思惑を抱えつつ、それを表に出さずにまた謀り事を進めるという男になっています。
終盤ある展開から感情を爆発させる速水(=大泉洋)の顔は近寄りがたい雰囲気がバリバリです。
(C)2020「騙し絵の牙」製作委員会
それでいて、オーラスでは飄々ととんでもないことを仕掛けようとしていたりと、底の知れない怪しさを持ち合わせています。
実はこの萌芽とも言うべきキャラクターが2008年の映画『アフタースクール』に登場しています。
飄々とした軽い空気感の裏で、とんでもない謀り事を抱えているという役柄で、この人物が中年になると『騙し絵の牙』の速水になるのかなと思わせたりもします。
「灰色大泉」3選
「黒大泉」で挙げた作品のキャラクターとはまた違った、グレーな大泉洋を楽しめる作品を紹介します。1:「地の塩」
硬派なミニシリーズをいつも提供してくれるWOWOWのドラマW枠の一作で、いわゆる石器発掘捏造を描いた物語。
大泉洋演じる神村賢作は“神の手を持つ男”と評され、日本の歴史の通説を次々と覆していく男ですが、発掘について捏造の疑惑がもたれるという役でした。
“石器発掘捏造”というのは実際に起きた出来事です。
神村も周囲の期待に応えようとするあまり、やってはいけない禁断の一手に手を出してしまいます。
2:「チャンネルはそのまま!」
「水曜どうでしょう」の製作で知られる北海道のローカルテレビ局HTBの開局50周年作品である「チャンネルはそのまま!」で大泉洋が演じた蒲原正義も、「地の塩」の神村と近いキャラクターで、悪いとは知りつつも……という選択をしてしまいます。
主演の芳根京子演じる雪丸花子が純粋なだけに、蒲原の“濁り”が最終回が近づいていくにしたがって色濃くなっていきます。
そんな大泉洋とは別に、「チャンネルはそのまま!」は「水曜どうでしょう」のディレクター(藤村忠寿、嬉野雅道)が関わっているという、“どうでしょうファン”には必見のドラマです。
3:「元彼の遺言状」
現在放映中の月9ドラマ「元彼の遺言状」。なんと同題の小説の部分は最初の2話で終了。その後は新たなバディものとして話が進んでいます。
生田斗真演じる富豪の元彼・森川栄治(生田斗真)の遺言状で財産分与を受けた剣持麗子(綾瀬はるか)と2人の大学の先輩でミス研の先輩・篠田敬太郎を演じるのが大泉洋。
財産分与をめぐって麗子と共謀したのを機に、そのまま麗子の弁護士助手に収まる篠田は、「大学は出ていない……」という思わぬ言葉を発したりと、警察を避けて回っていたりと、過去や自身のことになると口ごもったりと何かを抱えていそうな雰囲気です。
さらに「篠田は篠田ではない!?」ということが明らかになり……。
栄治が麗子に残した「しのだをたのんだ」というメッセージはどういう意味に転ぶのでしょうか?
小説ベースから随分離れてオリジナル要素が強くなりそうで、場合によってグレーどころか真っ黒な大泉洋が見られるかもしれません。
>>>【関連記事】「元彼の遺言状」第1話レビュー:綾瀬と大泉のギャップにくぎ付け!
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