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2022年06月20日

「鎌倉殿の13人」第24話:孤独と焦りが頼朝を追い詰めていく

「鎌倉殿の13人」第24話:孤独と焦りが頼朝を追い詰めていく


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2022年のNHK大河ドラマは「鎌倉殿の13人」。三谷幸喜 脚本×小栗旬 主演で描く北条義時の物語。三谷幸喜曰く「吾妻鏡」を原作としており、そこに記されきれていない部分を想像と創作で補い、唯一無二のエンターテイメント大作に仕上げているという。

本記事では、第24話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。

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「鎌倉殿の13人」第24話レビュー

いい人だけでは生き残れない鎌倉


頼朝(大泉洋)が討たれたかもしれないと聞いた範頼(迫田孝也)は、鎌倉が危険にさらされるのを恐れて、頼朝の跡を継ごうとする。

実際には頼朝は無事で事なきを得たが、頼朝不在時の範頼の行動が問題視されてしまう。

なぜ急いで跡を継ごうとしたのか? 本当は頼朝の死を願っていたのではないか? 頼朝は疑心暗鬼だ。


 そもそも、範頼は比企能員(佐藤二朗)の懇願を受け入れた形だ。範頼は能員にとりなしを頼もうとするが、能員は仮病を使って逃げてしまう。能員は会おうとしたのだが、妻・道(堀内敬子)が止めたのだ。そんな比企に範頼は「風邪は寝るのが一番!」という。いい人か……。

確かに、能員も範頼を推したとなれば、立場が危うくなる可能性は大いにある。むしろ、下心があるのは範頼よりも能員。だからこそ、道は巻き込まれることをより恐れたのだろう。


さらに大江広元(栗原英雄)が範頼への疑念を口にする。曽我兄弟との関わりも疑われているようにも見えるし、もはや言いがかりでしかない指摘を受けてしまう。義時(小栗旬)は抗議をするが聞き入れられない。範頼はいい人だよ、頼朝! とテレビの前で言ってみても頼朝には届かない。

「さあ、どう言い逃れする?」と言われたところで! もうどうにもこうにも処罰する気ではないか、と。「もう結構にございます」と、範頼は引き下がる。


 範頼は修善寺に幽閉された。実の弟へのせめてもの頼朝の情けか。

比企尼(草笛光子)が説得しようとしたが、頼朝の気持ちは固い。そして、範頼には更に辛い未来が待っていた。

悲しき姫、大姫

後鳥羽天皇へ入内予定だった頼朝の娘・大姫(南沙良)。しかし、後白河法皇が亡くなったことで棚上げになっていた。そこで、頼朝は公家の一条家長男・高能に大姫を嫁がせることを考える。一条家は今、都で力を伸ばしている存在だからだ。が、大姫は鎌倉まで来た高能に「許嫁がいる」と言って断ってしまう。許嫁とは木曾義高(市川染五郎)のこと。大姫の心にはまだ義高がいた。初恋の人で、望まない別れ方をした。初恋が大姫の運命を変えてしまった。


どうにか大姫に前を向かせようと、全成(新納慎也)が義高の霊を祈祷で自身に下ろし、言葉を伝えようとする。が、あっさり見破られる。茶番でしかなかったし、余計に傷つけるだけなのだが、もう打つ手がないのだろう(とはいえ、大姫の想いが強すぎて成仏できないというのはひどい……)。

そんな中、大姫は巴御前(秋元才加)を訪れる。自分の中から義高の面影が消えてゆくのが大姫は辛かったのだ。巴から話を聞いて、その面影を引き留めたい。しかし、巴が伝えたのは、今、生きていてよかったということだった。

義仲が亡くなったとき、自分も死のうと思ったが、和田義盛(横田栄司)に出会えて、今を生きることができている。

「面影が薄らいだということは、義高が前へ進めと言っているということ」と巴は大姫の手を握る。


 大姫は前を向き、帝への入内を受け入れ、頼朝、政子(小池栄子)と共に京に行く。が、京は甘くなかった。丹後局(鈴木京香)の洗礼を受ける。彼女から見て所詮、政子も大姫も田舎者。

辛辣な物言いに、大姫は目に涙をいっぱい溜めて丹後局を見つめる。怖い。その場にいないのに、丹後局に怒られているような気持ちになる。


 求められているは男の子を生むことだけ。

その事実に打ちひしがれた大姫はその夜、そっと寝所から抜け出す。

その先で大姫が会ったのは三浦義村(山本耕史)。苦しい気持ちを吐露する大姫に「姫は悪くない。生きたいように生きればいい」「人は己の幸せのために生きる。当たり前のことです」と義村は優しく言い聞かせる。

「私の幸せ……」

大姫は小さくつぶやき、そのまま倒れてしまう。

高熱を出し床に臥せった大姫の具合は悪くなっていくばかり。鎌倉に戻っても回復しない。

看病をする政子に、大姫は「私は私の好きに生きていいんですか」と問いかける。

そして「好きに生きるということは、好きに死ぬということ」とつぶやく。

「死ぬのはちっとも怖くない」「だって死ねば義高殿に会えるんですもの。楽しみで仕方がない」

母である政子にとっては辛い言葉だ。

「生きることを拒んだ体は衰弱の一途をたどり……」という淡々としたナレーションに大姫の苦しみが込められている。

頼朝に翻弄された大姫の人生。義高に会えたことだけが、大姫にとっての幸せだったとしたら、こんなに辛いことはない。

 
大姫を失った頼朝は、誰かが自分を呪っている、と言う。「誰か」というのは範頼のことだ。範頼は善児(梶原善)の手にかかり、この世を去る。頼朝は自分を慕っている人をまたひとり、失った。


それぞれの静かな演技で鬼気迫ったストーリーとなった今回。

要所でキーマンとなる義村。

ゾッとするような迫力を見せる丹後局。

大姫の死に泣きじゃくる時政(坂東彌十郎)。
 
そしてすっかり人相が変わってしまった頼朝。

全てを手に入れたはずだった。しかし、実のところ、全てを失ったのかもしれない。もはや、彼は誰のことも信じられないのだから。

そんな頼朝も、先は長くはない。頼朝も自覚している。だが、焦れば焦るほど、己を追い詰めていく。

「全部頼朝のせい」などと言っていたころが懐かしい。それらは全て、頼朝の元に返っていく。


(文:ふくだりょうこ)


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