「吉祥寺ルーザーズ」第11話:ついに明らかになったシェアハウスのオーナーの正体。そして迫る、解散のとき……
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秋元康が企画・原作を務める増田貴久主演ドラマ「吉祥寺ルーザーズ」が2022年4月11日にスタートした。
共演に田中みな実、片桐仁らを迎え、“人生の負け組=ルーザー”6人がシェアハウスで一緒に暮らす日々を描いたシチュエーションコメディドラマ。
本記事では、第11話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
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「吉祥寺ルーザーズ」第11話レビュー
聡(増田貴久)の母と元教え子が一気に訪ねて来る、おそらくは過去最大の危機を無事に乗り越えたルーザーズ。しかし、みんな大事なことを忘れている。何かを忘れてしまっていることは覚えているのに、その肝心の何かを忘れてしまっていた(ややこしい)。思い出すきっかけは、桜(田中みな実)がメロンを切り分けようとしたとき。5等分……いや、本当にそうだっただろうか? 違う、本来であれば6等分にすべきなのだ。このシェアハウスには聡、桜のほかに、幡多(片桐仁)、舞(田島芽瑠)、翠(濱田マリ)、そして池上(國村隼)がいるのだから。そう、池上の姿がずっと見えない。
ところで、このドラマにはフルーツの名前がよく登場する。各人の部屋の名前もフルーツだし、今回食べようとしていたのもメロンだ。23時過ぎの、このじめじめした季節。ちょうどさっぱりしたフルーツが欲しくなってしまう……テレ東さん、また別角度からの飯テロだろうか。だとしたら、まんまと術中にはまっている。
そして、今回は作中に登場するキーパーソンならぬ、キーフルーツ・アボカドの身に危険が迫る。共同生活がはじまった当初、毎週日曜日は夕食を共にしようとルールを決め、守られなかったら全員の秘密を暴露するという約束が交わされていた。それがついに、池上によって破られたのだ。
ⓒ「吉祥寺ルーザーズ」製作委員会
ずっとリビングの片隅で、私たちと同じようにルーザーズの生活を見守ってきたアボボ(命名:幡多)。みんなの秘密を腹の中に隠し持っているアボボ。あぁ、ついにこのときが……と思ったのは幡多くらいのもので、案外あっさり割られてしまった。もうちょっと悲しもうよ、みんな。
それぞれが書き記していた秘密は案外大したことはなかった。というか、すでにここまでの共同生活で、もっと重要な秘密が明らかになっていた。これが生活を共にするということか、と感慨深い気持ちになる。秘密も嘘も痛みも共有してきたからこそ、今こうしてみんなでわいわいやっていられるのだ。
重要だったのは、みんなの秘密ではなく、鍵が出てきたこと。それは開かずの間であるアボカドの部屋の鍵だった。
部屋を開けてみると、中にあったのはこのシェアハウスのオーナー・万平一平の荷物。さらに、万平清美という女性と池上がやりとりしていた手紙も残されていた。この時点で、池上と万平一平に何らかの関係があることがわかる。
ⓒ「吉祥寺ルーザーズ」製作委員会
そして驚くべきは、万平一平と池上が同一人物だったらしいこと。若かりし日の池上は、うどん屋で働く清美に恋をし、手紙でデートに誘う。その後2人は交際をスタートさせるのだが、清美の父がそれを認めない。
そこで、池上は清美の父に弟子入りし、その腕を認められ「万平一平」という屋号をもらい、のれん分けをしてもらうことに。
結婚した2人は子宝にも恵まれ、順風満帆な生活を送る……かに思われたが、病によって清美に先立たれた池上は、自暴自棄になり娘も手放さざるを得ない状況に陥ってしまう。
ⓒ「吉祥寺ルーザーズ」製作委員会
ルーザーズが朗読劇でなぞる清美と池上のラブストーリーは、なかなかに見ごたえがあった。個人的には、奥ゆかしく上品な女性として清美をとらえて演じていた桜に主演女優賞を贈りたい。ミュージカル風に歌う舞の歌声もとてもよかった。
ところが、ここで思わぬ事実が発覚する。残されていた段ボールそれぞれに、違う女性との思い出の品がしまわれていたのだ。その数、なんと6つ。池上、バツ5かバツ6ということになる。これは驚愕だ。
ⓒ「吉祥寺ルーザーズ」製作委員会
なんだか色んな出来事が一気に明らかになったが、とにもかくにもこのシェアハウスのオーナーは池上だった。騙されていたと分かり、ショックを受ける5人。せっかく苦楽を分かち合える仲間ができたと思ったのに、という感情はもっともだろう。でも、少なくともここにいる5人の絆は本物のはず。そんな自棄にならないで……。
そして、彼らの関心事は、池上がなんの目的でシェアハウスに人を集めたのか、というところへ。話次第では、解散も厭わないなんて言葉まで出てきてしまう。こんな形でバラバラになるのは嫌だ。
そこへフィリピン帰りらしい池上が笑顔で帰宅する。しかし、リビングにはアボカドの部屋から出してきた荷物が。「見たんですね」。池上の声が、顔が、変わった。
次回、ついに最終回。なぜ5人のルーザーがここに集められたのか、その目的が明らかになるだろう。できれば、これもまた6人が自分の人生を1歩進むためのきっかけになる、そんなラストを期待したい。
(文:あまのさき)
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