「ちむどんどん」第69回:智(前田公輝)のひとり相撲が悲しすぎる
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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。
沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。
本記事では、その第69回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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決勝は智対ニーニー
優勝してプロポーズと逸る智(前田公輝)とそれを阻止したいらしい和彦(宮沢氷魚)が対戦。結果は引き分けで、取り直しに。あまりにもムキになって対抗する和彦の気持ちに気づいているのは愛(飯豊まりえ)だけです。愛の気持ちを思うとかなり切ない場面でした。
結局、和彦は負けて、頑張り過ぎたようで倒れてしまい、病院に運ばれます。
智はその後、順調に勝ち進みますが、途中で足をいためます。智の気持ちには鈍感な暢子(黒島結菜)ですが身体の不調には敏感で心配します。身体の心配以外はそんなに黒砂糖(優勝賞品)が欲しいのか、とか鈍感にもほどがあるのですが……。
決勝戦は賢秀(竜星涼)との勝負。暢子はどちらを応援しようか迷いますが、愛から智がプロポーズするつもりと聞いて動揺。「ニーニー」と応援します。なんて正直な暢子。
愛もいい人のようで、「おあいこ」キスといい、ちょいちょい毒を出してきます。もちろん、彼女はそういうことをして当然な状況なので彼女を悪く思う視聴者は少ないと思いますが。むしろもっとガツンとやってやれという気さえしますが。和彦と暢子のしていることは他者を傷つけているのだと誰かがはっきり指摘してほしいものです。でも愛は決してはっきり言いません。そのせいで我々視聴者がわじわじするのですが……。
暢子がニーニーを応援しはじめた時点ですでに智が可哀相過ぎるわけですが、何も知らない彼は痛む足に耐えて全力を出そうとしたところ、賢秀が和歌子に失恋して脱力していたため、不戦勝ではないけどほぼ不戦勝のように、あっけなく勝ってしまいました。
この後、突然、智と暢子は夕日のきれいな場所にふたりきりに。智に誘われたのでしょうけれど、言われるままにこんなロマンチックな場所についていかないでーという感じです。
結果的に、暢子はそこでプロポーズされると、恋ではなく友情だと智の気持ちを勝手に解釈して押し付けます。
この場面、「若草物語」のジョーとローリーのエピソードをなぞっています。「若草〜」のふたりはとても気の合う友だちでしたが、ローリーがジョーに恋ごころを抱くと、ジョーは理性的に、自分たちの関係は恋愛になったらうまくいかないだろうと線を引くのです。
筆者は子供の頃、ジョーとローリーのコンビ推しで「若草〜」を読み進めていったのでこのくだりがショックで長いこと引きずりました。そのあと、ジョーとローリーが別の人と結婚するのがすごくいやだったのですが、大人になってからそういうこともあるのだと理解できるようになりました。
どんなに仲良くても結婚に向く相性とそうでない相性があるという教えがあります。
大人の経験をもとにしたであろう機微のある物語「若草〜」と違い、「ちむどん」の場合、暢子が和彦を好きというエピソードを入れてしまったがために、暢子と智の友情も、暢子と和彦の恋も、どっちも丁寧に描かれてなくて、暢子が智を拒否する流れがただただ残念な感じに見えます。本来、こっちのほうが現実的なのかもしれませんが。「結婚しよう」と暢子にいきなり迫る智は勘違いのやばい人のようだし、暢子じゃなきゃダメなんだと浜辺を走り去る智が、ねるとんみたいだったし、せめてエモくしてあげてほしいです。
(文:木俣冬)
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