『キングダム2 遥かなる大地へ』で注目したいアクション&“2人”の存在


海外の「プロレスラー×映画」について

日本でもプロレスは人気のエンターテインメントではありますが、本場アメリカでの人気は桁違いです。

アメリカ最大の(つまりは世界最大のプロレス団体)プロレス団体WWE(旧WWF)はビジネス面でいえばアメリカ4大スポーツに匹敵するものがあります。

このアメリカンプロレスで20世紀中、最も成功したスーパースターといえば、アントニオ猪木のライバルとして日本でも活躍したハルク・ホーガン

彼は1982年の『ロッキー3』でロッキーと異種格闘技戦をする役柄でスクリーンデビューを飾ります。その後も映画には出続けるのですが、持ち込まれる企画がB級ジャンル映画ばかりだったこともあって映画スターとしては成功したとは言い難いものでした。

B級の企画なら仕方ないという意見もありますが、A級のメジャーがハルク・ホーガンを重要なポジションに選ばなかったという見方もできます。

プロレスラーとしての圧倒的な人気とカリスマ性をハルク・ホーガンが持っていることを認めつつも、メジャー映画企画に彼をキャスティングしようという思考に至らなかったということなのでしょう。

以降、プロレスラーのハリウッドでの成功は難しいという見方が通説となっていました。

壁をぶち破ったのは“あの男”



21世紀に入ってWWFからWWEに団体名が変わりかける中で、1人のカリスマレスラーが登場します。ザ・ロックというリングネームの男でした。

今は、ドゥエイン・ジョンソンという名前で、ハリウッドのメガヒット大作の常連俳優として“ハリウッドの顔”にまで上り詰めた俳優です。

この頃はベビーフェイス(善玉)といってもチョイ悪なキャラが人気で、ザ・ロックは見事にはまりました。

そんな彼の映画本格デビューは大ヒットシリーズ第2弾『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』。本作でメインゲストの“スコーピオン・キング”を演じ、見事にハマりました。

その勢いのまま、主演スピンオフ作品『スコーピオン・キング』が公開されると全米興行収入1位を獲得という異例の大成功をおさめます。


『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(C)Universal Pictures

その後の俳優としてのキャリアは改めて言うまでもなく、今ではハリウッドで最も稼ぐ俳優の1人となりました。今年もアメコミ大作『ブラックアダム』に主演しています。

これを見たWWEは同じくスーパースターのストーン・コールド・スティーブ・オースティンがスタローンの『エクスペンダブルズ』に、HHH(トリプルH)が『ブレイド3』の悪役に出演するなどありましたが、ザ・ロック=ドゥエイン・ジョンソンほどの成功を収めるまでには至りませんでした。

ドゥエイン・ジョンソンに次ぐ男、デイヴ・バウティスタ

ザ・ロック=ドゥエイン・ジョンソンの成功を見たWWEは自社に映画製作部門を作るなど本腰を入れますが、なかなか第二の男が現れませんでした。

そんななか、意外な形で登場したのが当時バティスタ、現在はデイヴ・バウティスタの名前で活躍する肉体派俳優です。

B級アクションでデビューしたバティスタ=バウティスタですは、タランティーノが絡んだラッパーのRAZが監督主演を務めたカンフー映画『アイアン・フィスト』で敵役を演じ、ラッセル・クロウやルーシー・リューといったトップスターと絡んで少し異なるキャリア形成を始めます。


『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(C)2014 Marvel. All Rights Reserved.

そして2014年には『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のメインキャストを務めます。

本作で一気にジャンプアップした彼はその後、『007/スペクター』『ブレードランナー2049』といった文句なしの大作に登場して一気にハリウッドスターになりました。


『DUNE/砂の惑星』(C)2020 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

『ブレードランナー2049』で彼を起用したドゥニ・ヴィルヌーヴ監督はその後も『DUNE/砂の惑星』でもキャスティングしています。

第3の男、ジョン・シナ



『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』(C)2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

そして、第3の男が登場します。その名前はジョン・シナ

精悍な雰囲気を醸し出すジョン・シナは、軍人や警察官キャラがうまくハマりB級路線ではありましたが、コンスタントに映画に出演するようになります。

そして2018年の『バンブルビー』でメインキャストを務めます。『トランスフォーマー』シリーズのスピンオフ作品でもあるこの作品は、明らかなA級案件でした。

映画自体は本筋の『トランスフォーマー』シリーズの中でも興行で苦戦しましたが「作品に出演した」という既成事実は大きな武器になります。

そして2021年は大ブレイクの年になりました。『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』と『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』というメインキャストを務めた大作が連続公開し、一気に映画スターの仲間入りを果たしました。


『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』(C)2021 WBEI TM & (C)DC

『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』で演じた変則ヒーローのピースメーカー役が受けて、彼を主役にしたテレビのミニシリーズも作られています。

 映画で活躍する“選手”たち

今回たまたま、『キングダム2 遥かなる大地へ』での真壁刀義の好演から、映画のおけるプロレスラーの活躍を探ってみました。

例えば格闘家となるとあのブルース・リーも格闘家であり、再編集版の『ロッキーⅣ』も話題のドルフ・ラングレンも極真空手の有段者でした。



彼らの身体能力をうまく活かす存在がいれば、彼らは見事に映画スターになってみせていました。

出自はどうあれ、エンターテインメントの場の住人であることは変わりないので、これからも彼らの活躍を素直に楽しむのというのが正解でしょう。

(文:村松健太郎)

>>>【関連記事】<解説>『キングダム』が 邦画の域を超えた“10の魅力”

>>>【関連記事】俳優・大沢たかおの尽きない魅力:『キングダム』で見せた表現者としての凄さ

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

RANKING

SPONSORD

PICK UP!