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2022年08月18日

「ちむどんどん」第94回:田良島が口添えして賢秀は逮捕されないことにもやもやする

「ちむどんどん」第94回:田良島が口添えして賢秀は逮捕されないことにもやもやする


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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。

沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。

本記事では、その第94回をライター・木俣冬が紐解いていく。

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「ちむどんどん」第94回レビュー

今朝の「おはよう日本関東版」の朝ドラ送りは次の朝ドラ「舞いあがれ!」に向けてアップを開始したようです。

ねずみ講にはまった賢秀(竜星涼)のために暢子(黒島結菜)は開店資金200万円を
違約金として悪徳業者に渡してしまいます。それについて、
「ここはひとつ登坂不動産に相談したほうが」
「わかります?『正直不動産』というドラマがありました」
と朝ドラ送りをしたのです。

自局の番組は朝ドラだけではないという偏らない視野と思いきや、「正直不動産」には次の朝ドラ「舞いあがれ!」のヒロイン福原遥さんが出ていたのです。

「舞いあがれ!」と福原遥さんに期待する想いが送りに出てしまったのではないでしょうか。開始まであと、1ヶ月半!

「ちむどんどん」第94回、冒頭、三郎(片岡鶴太郎)が、田良島(山中崇)が口添えしてくれて、賢秀が捕まることはないと語ります。ええええ。聞きづてならない。贔屓にもほどがあります。これは、警察やマスコミが裏でずるいことをしているという皮肉でしょうか。

賢秀はどうしてこんなに守られているんでしょうか。少年時代、共同売店のレジの小銭を盗んだときも、賢三(大森南朋)が悪いのは俺だと言ってかばうのです。

「関係ない」と言う賢秀に「関係ないなんて言うな!」とムキになる賢三。家族が大事なのはわかるのですが……。
比嘉家の結束は強い。200万円を失った暢子に、良子(川口春奈)は家族三人・海外旅行にいくお金を援助することにします(発案は博夫〈山田裕貴〉)。

麗しい家族愛。どんなにつらいことがあってもなぜか助かる比嘉家。200万円が簡単に行ったり来たり。これだといつか本当に倍にして返す大逆転があっても白けてしまいそう……。お金なんてほんとうはこんなものだという、お金の価値への批評でしょうか。

第94回で、学べたことは3つあります。

:国家権力や大手マスコミは公平ではない。
:お金は天下のまわりもの。とってもとられてもなんとかなる。

そしてつめはーー

どれだけやらかしても賢秀のような人を見放してはいけない。受け入れる。それが多様性の時代なのであるということ。多様性とはかなりの苦痛を伴うことなのだということ。

なんというか辛口というか珍味なドラマです。

暢子と房子(原田美枝子)の別れの晩餐のメニュー・ナポリタンのようなものでしょうか。イタリア料理かと思いきや、そうではないナポリタン。イタリア料理を模して日本で独自に誕生、発展を遂げた料理。イタリア料理じゃないからと否定することもなく、
我々はなんとなく受け入れています。

違うものが存在することを受け入れていかないといけないのでしょう。とはいえ、盗みを受け入れることはないでしょう。善人で、良子と博夫の結婚を後押ししてくれたといったって、ぜったいにだめなものはあって。それは命や物を奪うことだと筆者は思うのです。他人のものを奪うことに対してこのように曖昧に描き、なんとかなるように描いてしまうと、まわりまわって他人の領土を奪う、命を奪うことにも鈍感になっていくような気がして、すこしこわくなります。

朝ドラの視聴者は賢明なのでドラマを鵜呑みにするわけないと作り手は信じているのでしょうか。実際、さまざまな批判の声が上がっています。要するによくないことにはどんどん声を出すことを促すドラマなのでしょうか。
「悪いのは俺」という賢三のセリフもじつはかなりの皮肉じゃないかとは思うんですよ。こんなふうに貧しく教育も受けられず、人生の迷子になっている人たちがいるのは誰のせいなんでしょうね。ふふ。

ともあれ、賢秀が今度こそ生まれ変われるといいなと思います。

さて。第94回で印象に残ったシーンは3つあります。

:和彦、賢秀、智(前田公輝)の3人のシーン。怪我して、切ない3人がなかなか味わいありました。以前、前田さんにシネマズプラスで取材したとき、このシーンのことを語ってくれました。もっと3人のシーンがほしいとおっしゃってましたが、たしかに、男3人、それぞれが不器用に生きていく話が見たい。たぶん、羽原大介さんはそういうほうがお得意ではないかと想像します。

:暢子と房子の晩餐。「(房子のことを暢子は)絶対忘れる」と子供のようにむくれる房子の可愛さ。かつて賢三が自分のもとに帰ってこなかったことをずっと引きずっているのでしょう。三郎にも去られたわけで。房子はずっと孤独だったんですね。暢子は「絶対忘れない」と言います。ようやく房子にも離れていても思いやれる家族ができたのでしょう。



トミ「そんな!だって何年もかけてためたお金でしょ。また貯めるのに何年かかるのよ」

三郎「トミよ わかってるんだから言うなよ」

トミ「ごめんなさい」

トミを演じているしるささんは、「ちむどんどん」の脚本を書いてる羽原大介さんの劇団に参加している俳優さんのようです。いつもなんとなくあまゆに存在しているトミ。このように「わかっているんだから言うなよ」と言われてしまう説明セリフみたいなものを用意してもらえてラッキーですよね。ぜひとも爪痕を残してほしいものです。また、我那覇役の田久保宗稔さんも羽原さんの劇団で活動しているかたのようです。何度も登場していてだいぶ印象に残ってきました。しるささん、田久保さんは、羽原さんのある意味家族のような存在で大切にされているのではないかと思います。この機会を生かしてご活躍されることを願ってやみません。


(文:木俣冬)



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