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2022年08月26日

<キャラの過去も解説>「シー・ハルク:ザ・アトーニー」第2話:MCU版「アリー my Love」!

<キャラの過去も解説>「シー・ハルク:ザ・アトーニー」第2話:MCU版「アリー my Love」!

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マーベル・スタジオが送るドラマシリーズの最新作「シー・ハルク:ザ・アトーニー」が2022年8月18日より配信された。

突如、強大なパワーを手に入れた女性弁護士・ジェニファー。緑の怪物・ハルクの後継者“シーハルク”となった彼女の運命やいかに……。

本記事では、「シー・ハルク:ザ・アトーニー」第2話の魅力をマーベル好きのライターが紐解いていく。

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アボミネーションとは?



今回のエピソードでは、ハルクの宿敵・アボミネーションが登場した。彼はマーベルの映画シリーズ第2作『インクレディブル・ハルク』(2008)に登場したキャラクター。

そのため、物語に本格参戦するのは14年ぶりになり、シリーズの歴史を感じさせる再登場となった。
『インクレディブル・ハルク』では、米軍兵士エミル・ブロンスキーが“超人血清”を打ち、怪物・アボミネーションに変身する。彼は暴走したハルクを止めるため、米国が召集した精鋭部隊の生き残りであり、圧倒的な力を持つハルクに嫉妬し、執念から自らをも怪物にしてしまったのだ。

のちにアボミネーションは『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021)にもカメオ出演。
シャン・チーの妹“シャーリン”が経営するファイトクラブで、なぜか『ドクター・ストレンジ』の魔術師・ウォンと戦う姿が描かれていた。

今回のエピソードではこの場面が登場。次回のエピソードでは、ついに、その真相が明かされる。

ちなみに、彼を演じているのはティム・ロス
クエンティン・タランティーノ監督作品や『海の上のピアニスト』はもちろん、「ライ・トゥ・ミー 嘘は真実を語る」では海外ドラマの顔にもなった名俳優である。

次回以降のエピソードでも、ぜひ、彼の熱演に注目していただきたい。

キャプテン・アメリカとの対比

初回では、アベンジャーズの代表ヒーロー・キャプテン・アメリカが性的なジョークを用いて扱われ、一部のファンから反感を買った。

キャプテン・アメリカは、いわゆる正義感の強い優等生タイプのキャラクターである。
シリーズを経て、次第に「政府」や「規則」というものに抗い「仲間」や「自由」を優先する人物へと変化したが、いまだに「正義の象徴」としてのイメージを大切にするファンも少なくない。

そのため、初回エピソードでウォルターが発していたジョークや、エンドロール後にハルクが明らかにする情報には、キャラクターを汚されたと感じてしまったファンもいたようだ。

しかし今回のエピソードでは、描写の意味合いが変わってくる要素があった。かつて、悪役として登場したアボミネーションをキャプテン・アメリカのなり損ないとして描くことで、両者が対となる存在であることを提示したのだ。

両者は政府の命令に従い、超人血清を打ったことで超人になった経歴の持ち主。しかし、皮肉にも一方はヒーローに、一方は悪役になってしまったのだ。

監督へのインタビューでは、もともと第1話が第8話で描かれる内容だったということも明かされている。そう考えると、前回の様々な描写に関する捉え方も変わってくるのではないか。

一部ではキャプテン・アメリカの「夢やイメージを壊す」と批判されていた第1話。
しかし、それらのセリフは、あくまで彼が「生身の人間」であったことを強調するためのものだったのかもしれない。

マーベル版「アリー my Love」

失職したウォルターがバーで落ち込む場面では、カウンター上のモニターにある映像が流れている。このドラマこそ、本作のモチーフとなった作品のひとつ「アリー my Love」だ。

「アリー my Love」は、90年代後半から2000年代まで5シーズンに渡り放送された大人気ドラマである。妄想癖の強い弁護士・アリーの恋愛や法廷での様子を描いた作品で、本作を見ると、主人公の設定・物語などが、いかに「シー・ハルク:ザ・アトーニー」に影響を与えてるのかがよく分かるだろう。

近年では、登場人物の娘を主人公にした仕切り直しともいえるシリーズ最新作の製作も発表されており、再ブームの兆しと言えるのかもしれない。

リキャスト問題



劇中では、ハルクが「今の僕は別人だ」というセリフがあり、その後にジェニファーがわざとらしくこちらに笑いかける場面が印象的だった。

これは、マーベル作品におけるリキャスト問題を踏まえたジョークと言えるだろう。リキャスト問題とは、シリーズ作品の中で登場人物を演じるキャストが変わることを意味している。

『インクレディブル・ハルク』(2008)では、エドワード・ノートンが演じたハルクは、『アベンジャーズ』(2012)以降、マーク・ラファロへと変更されている。
そのため第四の壁を飛び越えられるジェニファーが、視聴者に笑いかけるのは、裏事情を踏まえたメタフィクション的な描写と言えるのだ。

ちなみに、現在のマーベル作品では、その他にもいくつかのリキャストがある。

<マーベル作品でのリキャストの例>

・アイアンマンの相棒:ローディ
『アイアンマン』(2008)ではテレンス・ハワードが演じており、『アイアンマン2』(2010)以降、ドン・チードルに変更されている。

・アントマンの娘:キャシー・ラング
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)ではエマ・ファーマンが演じており、『アントマン』第3作はキャスリン・ニュートンが演じることが決定されている。

・アイアンマンの父:ハワード
『アイアンマン2』(2010)のジョン・スラッテリーは『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011)でドミニク・クーパーへ変更。しかし、この場合は両者が時々で同一人物を演じわける不思議な体制になった。


他にも「ワンダヴィジョン」では、リキャスト問題を思わぬ形で使用。
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』でクイックシルバーを演じたアーロン・テイラー=ジョンソンとX-MENシリーズで同役を演じたエヴァン・ピーターズを登場(アーロンは回想シーン)させたことで、登場人物が「リキャストした?」と言及する場面が登場している。

ハルクの現在



第1話のエピソードでは、サカール人がハルクに救助を求めたことが示唆されていたが、第2話はハルクが宇宙で“どこか”に向かっている様子が描かれた。

今回のエピソードはもしかすると、様々なマーベルヒーローたちが登場するコミックの人気エピソード「ワールド・ウォー・ハルク」実写化の布石なのかもしれない。

ちなみに現在の契約では、配給権利関係の事情でディズニーがハルクの単独実写作品を製作するのは難しいという報道が出ている。(2023年には現在の契約が失効するため、実現するとなれば、2024年以降になると言われている)



今回は「シー・ハルク:ザ・アトーニー」第2話の魅力を紹介した。

シリーズの人気キャラクターが登場し、30分が一瞬で過ぎてしまうという安定の面白さだった。

果たして、窮地に追いやられた主人公の運命やいかに。今後、登場するであろう豪華なゲストキャラクターや、役者陣の演技にも期待が高まる見事な第2話だった。

(文:TETSU)

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