続・朝ドライフ

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2022年08月31日

「ちむどんどん」第103回:なぜ智はあの狭そうな道で車に轢かれ瀕死の重体になったのか

「ちむどんどん」第103回:なぜ智はあの狭そうな道で車に轢かれ瀕死の重体になったのか


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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。

沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。

本記事では、その第103回をライター・木俣冬が紐解いていく。

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「ちむどんどん」第103回レビュー

ちむどんどん開店に向けて、歌子(上白石萌歌)が手伝いにやんばるから上京して来ました。

歓迎会が開かれ、鶴見の人たちと、田良島(山中崇)が集まります。そこで、歌子と智(前田公輝)がいったん席を外したときに、鶴見の人が「姉のお古、お下がりの智」なんて噂していることを立ち聞きして傷ついてしまいます。

そこでかかる大袈裟な劇伴。

あーあ、せっかく歌子と智がいい感じになりかかってきたのに残念。幸福には困難がつきものといっても、こんな悪意のない噂話の立ち聞きとは……。

そして、智が交通事故に遭うという急展開。

最近、ちょくちょく出てきた公衆電話とベンチとポストのある道で、智が轢かれて「瀕死の重体」になってしまいます。ネットでは「瀕死の重体」の言葉遣いがおかしいのではないかと話題になっていました。頭痛が痛いみたいなことでしょうか。とにかくすごく大変な状態であることを言葉を重ねて伝えたかったのでしょうか。

「あさイチ」では車が通るとは思えない道と話題になりました。

ロケでなく、狭い歩道のようなセットを使って、車の通る道での事故を表現するってなかなかの荒技です。これは朝ドラ史に残る、珍場面です。

すべては歌子と智が結ばれるため、だと推察します。

智がなぜか暢子(黒島結菜)を好きになって勘違いして結婚話まで突っ走ったため、面倒くさいことになっているんですよね。

姉に振られて妹と……という流れは、「ちむどんどん」を描くうえで参考にしたといわれる「若草物語」にあります(正確には「続若草物語」のほうで)。主人公ジョーの男友達ローリーはジョーを好きになりますが振られ、妹のエイミーと結婚することになります。

筆者は子供のとき、ジョーとローリーが結ばれないことが不満だったので、「ちむどんどん」の暢子と智と歌子の関係にももやもやを感じるのは当然なのかもしれません。

ただ、智が、矢作(井之脇海)が歌子に親切な態度をとっているのを見て嫉妬心を燃やしている様子が、暢子のときと同じで、もうそれはいいからと思ってしまいます。それが智のキャラなのでしょうけれど、恋愛になると一直線はもう卒業してほしい。

矢作が妻帯者だから抑えめですが、智がへんな対抗心を出すから、矢作が歌子に優しいことが下心にも感じられて、余計な描写だと感じます。

なぜだろう、いちいち、すんなりいかない。わざとねじっているのかなとも思いますが……。

わざとすんなりいかないようにしているように思えるのは、良子(川口春奈)の野菜給食計画。沖縄の野菜づくしは生徒たちに不評で悩むと、博夫(山田裕貴)が「食育」について助言します。

優子(仲間由紀恵)が晴海に畑仕事をさせて野菜を好きにさせたことから思いついた野菜給食。視聴者的には、野菜を自分で作るから美味しく感じることが見てわかっているのに、良子はそこに気づいていないことがなんだか不自然に感じるのです。というのは、比嘉家で一番賢いはずの良子がそこまで鈍いかなあと疑問に感じるんですよね。

そうやって、わざと遠回りしているかと思えば、田良島が、ちむどんどんを東洋グラフの東京の沖縄料理店特集に推薦しておいたと言うようなイージーモードもあって。登場人物に悩んで悩んで正解にたどりつかせたいのか、トントン拍子の無双にしたいのかどっちなんでしょうか。



(文:木俣冬)

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