「アトムの童(こ)」第3話:いくらなんでも、ここまでやるか……?5000万返済にのしかかる「データ全消去」
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山﨑賢人主演、岸井ゆきのや松下洸平が出演する日曜劇場「アトムの童(こ)」が、2022年10月16日より放送を開始。
山﨑賢人演じる安積那由他(あづみ・なゆた)は、凄腕の若きゲームクリエイター。とある事件をきっかけに開発から離れているが、企業や販売元を通さずに個人で制作していたスタイルは「ゲーム業界のバンクシー」「インディー」と呼ばれ、知る人ぞ知る存在だった。そんな彼を探しているのが、経営崖っぷちの老舗おもちゃメーカー・アトム。ゲーム業界の覇権争いを描くドラマが、始まる。
本記事では、第3話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
「アトムの童(こ)」第3話レビュー
まさか……としか言えない。海(岸井ゆきの)が新社長となったアトム玩具の財務顧問・鵜飼(林泰文)が、ここまでスパイらしい動きをするとは、予想していなかった。ドラマ公式サイトのあらすじや相関図にさえ名前のない彼が、徹底的にアトム玩具を潰す立ち回りをしている。「鵜飼やめろ」タグができても、おかしくない。
興津社長(オダギリジョー)の息がかかった、やよい銀行の小山田(皆川猿時)による策略で、アトム玩具は倒産の危機に。1ヶ月以内に5000万円を返済できなければ、アトム玩具の社屋・土地・技術特許すべてがSAGASのものになってしまうのだ!
小山田がそんなことをするのは、定年後にSAGASの役員に就任し、悠々自適な老後ライフを送るため。
そして、おそらく鵜飼も、私立学校に入る娘の学費のために悪事に手を染めている。
二人を並列にしてしまったら鵜飼に申し訳ないが、自己保身のためにひとつの会社の未来を潰そうとしている点では同じだ。
次から次へとやってくる困難に立ち向かうため、那由他(山﨑賢人)と隼人(松下洸平)はゲーム制作以外にも、資金調達のため営業にまわることを決める。過去、金策にあえいだ親友・公哉を亡くした経験から、しっかり学んでいることを示唆していた。
隼人と親交のあるパブリッシャー・晶(玄理)の教えのもと、エレベーターピッチ(一昔前に流行した、エレベーター内の数分で投資家にプレゼンする手法)の練習をしたり、クリエイターと投資家を繋ぐプレゼン大会「GAME TO MATCH」に参加したり。
努力の甲斐あって、インドの投資家と縁を繋ぐことができたが……。
なんと、鵜飼がゲームのデータを全消去してしまったところで、3話は終わる。
いくら家族のためだからって、こうも出世のために人の心をなくせるものだろうか? 4話の予告を見る限り、那由他たちは消えたデータの復旧を急いでいるが、重ねての消去を企んでいる様子。頼むから……頼むから誰か、鵜飼の裏切りに気づいて告発してほしい!
那由他が「GAME TO MATCH」会場で、興津社長からの質問に対し「俺はアトムのファンなんです」と宣言したシーン。とくに、ものづくりに携わる方たちの心に、ジワッと沁みるセリフだったのではないだろうか。ファンだからこそ、身を粉にできるのだ。那由他たちのゲーム作りに注ぐ情熱を削ぐことだけは、絶対にしないでほしい。
(文:北村有)
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