「エルピス」第3話:謎の男(永山瑛太)が真犯人だと決めるのは、まだ早い
本作は長澤演じるスキャンダルで落ち目となったアナウンサーと若手ディレクターらが連続殺人事件の冤罪疑惑を追いながら、“自分の価値”を取り戻していく社会派エンターテイメント。共演は鈴木亮平、眞栄田郷敦ら。
本記事では、第3話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
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「エルピス—希望、あるいは災い—」第3話レビュー
死刑が執行された3人のなかに、松本良夫(片岡正次郎)は入っていなかった。ホッと胸を撫で下ろしたところで、第3話に登場する3人の新キャラを振り返りたい。まず、木村弁護士(六角精児)から紹介された政治部の記者・笹岡まゆみ(池津祥子)。まさにマシンガントークというやつで、なかなか刺激的なキャラクターに恵那(長澤まさみ)と岸本(眞栄田郷敦)は圧倒されてしまう。
八頭尾山に思い入れがあり、個人的に事件を調べている彼女のおかげで、恵那たちは多くの情報を得た。当時、松本死刑囚の取調べを担当した刑事にインタビューが叶ったが……。やはり、松本は冤罪ではないかと思わざるを得ない内容だった。
この勢いに乗り、被害者遺族にコンタクトを取ろうとするが、難航する。
なんとかインタビューが実現した井川純夏(木竜麻生)は、被害者の一人・井川晴美の姉。
井川晴美は、犯人と思しき人物とともに八頭尾山に入る姿を目撃されている。彼女は下着を売る商売をしていたのではないか、と無責任な憶測をされていた。
まるで、それなら被害を受けても仕方ない、と言わんばかり。自己責任を押し付ける風潮には、冷静な姿勢で臨みたい。
「何がなんでも、信じるわけにはいかないって思ってきました」
純夏の強い言葉に後押しされた恵那。順番が前後するが、彼女はもうひとり、無視できない人物と接触している。暗い、高架下のような場所で、民芸品を売るような店で出会った謎の男(永山瑛太)だ。
目元に怪しい光が宿る男。髪は長く、20代に見ようと思えば見られる。あからさまに、八頭尾山で目撃されている真犯人のプロファイリングと一致する。
しかし、彼を真犯人と決めつけるのは、まだ早い。
明らかに「この人が真犯人ですよ〜」とミスリードを誘う見せ方なのである。
この謎の男が出現したシーンは、まるまるカットされても物語の展開に支障がない部分だ。
ドラマ「最愛」と同じように、序盤で伏線らしきものを散りばめておき、良きタイミングで必要なものだけ回収する手法であることを、私たちは視野に入れておこう。
3人の新キャラにより、いっそう物語が加速した。
次回以降のキーとなるのは、精魂込めて作ったVTRを騙し討ちのように放映した余波が、どのように物事に影響するか。
そして、「話したいことがある」と言って恵那の自宅にやってきたにも関わらず、一夜を過ごしただけで帰っていった斎藤(鈴木亮平)の真意やいかに、といったところか。
(文:北村有)
「エルピス」インタビュー「CINEMAS+ MAGAZINE」にて掲載中!
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