「エルピス」第9話:村井(岡部たかし)の好感度は上がり、斎藤(鈴木亮平)の好感度は下がっていく
長澤まさみ主演の“月10”ドラマ「エルピス—希望、あるいは災い—」が2022年10月24日放送スタート。
本作は長澤演じるスキャンダルで落ち目となったアナウンサーと若手ディレクターらが連続殺人事件の冤罪疑惑を追いながら、“自分の価値”を取り戻していく社会派エンターテイメント。共演は鈴木亮平、眞栄田郷敦ら。
本記事では、第9話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
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「エルピス—希望、あるいは災い—」第9話レビュー
どれだけ「真実」を追い求めても、デカすぎる権力にひねり潰され、なかったことにされる。今日もどこかでそんな不条理が起こっており、けれど、「なかったことにされる」のだから私たちには見えない。岸本(眞栄田郷敦)が退職に追い込まれたのは、決して自ら辞表を出したのではなく、八飛署の刑事にハメられたから……といった見方が有力。
岸本が贈賄&脅迫のダブルパンチで、現在はふたたび実家に戻り引きこもりになっている事実に、恵那(長澤まさみ)は懐疑的な目を向ける。岸本がそんなことをするだろうか、そう疑う人間が一人もいなくなってしまったら、いよいよ本当に岸本は「孤独」だ。
結果的に、岸本は週刊潮流に拾われ、ジャーナリストとして新しい道を歩むことに。最重要人物である大門副総理(山路和弘)の娘婿・大門亨(迫田孝也)への接触に成功、くわえて、過去に大門らが「強姦事件を揉み消した過去」について証言をとるにまで至ったが……。
それが世に出る直前で、亨は「病死」。実際のところ、自死に見せかけられて殺されてしまったのだ。
相手は強大で、恐ろしい。「権力」と一言でまとめてしまえば簡単だが、大きくなりすぎた力は、人の命を奪うことになんの後ろめたさも覚えなくなる。「都合が悪いから」、そんな理由で消されてしまっては元も子もない。
「友達は真実だけだ」と岸本は言うが、真実を追い求めることと、自身の命を守ること、天秤にかけたらどちらが重いのだろうか。そしてきっとこの問題は、長い歴史のなかで連綿と問い続けられてきたものだ。
大門亨が亡くなった理由について察知した村井(岡部たかし)は、汚いやり方をする大門側に対し、そして何事も知らぬ存ぜぬで通そうとする報道姿勢に対して怒りを向ける。
1〜2話では、ただのうるさいセクハラカラオケおじさんだと思っていた村井だが、回を増すごとに好感度が上がっていく。誰よりもジャーナリズム魂を熱く燃やしていたのは、村井だったのだ。
対して、斎藤(鈴木亮平)の好感度は下がっていく一方である。村井が斎藤に対し「引き返すなら、今だ」と言ったとおり、これ以上、大門側に肩入れするなら未来は危うい。
彼には早いところ恵那の元へ引き返してもらい、彼女に渡した指輪の意味合いについて、あらためて言葉にしてほしいところだ。せっかくのベッドだって、このまま買い戻し損にはしてほしくない。
次週の最終回にて、「真実」への向き合い方が問われる。
(文:北村有)
「エルピス」インタビュー「CINEMAS+ MAGAZINE」にて掲載中!
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