「舞いあがれ!」第58回:柏木は遠距離、貴司は五島、気になる舞の恋模様
本作は、主人公が東大阪と自然豊かな長崎・五島列島でさまざまな人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。ものづくりの町・東大阪で生まれ育ち、 空への憧れをふくらませていくヒロイン・岩倉舞を福原遥が演じる。
本記事では、第58回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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舞と朝陽少年
就職がリーマンショックによる不景気によって一年延期になった舞(福原遥)は五島へーー。祥子(高畑淳子)が怪我したため手伝いをすることになりました。そこへやって来たのは、森重美知留(辻本みず希)と朝陽(又野暁仁)母子。お試し移住をするためです。五島では今後、子供たちの受け入れをしようと考えていて、その一環の企画です。朝陽は少し変わっていて、学校に行きたくないと言ったり、せっかく出してもらったお菓子を食べなかったり、ちょっと気難しい子です。東京にいたときは、すぐに怒るからとお友達とも仲良くやれなかったとか。
むすっと愛想なく、学校にも行かず縁側で空を眺めている朝陽。舞は朝陽の横が空いているにもかかわらずそこには座らず、柱を隔てた引き戸を空けてそっと座ります。舞も子供の頃、ナイーブだったから、いきなりずかずかと朝陽のそばに近寄るなんてことはしないのでしょう。そこは心得ています。
ちょうどそこに飛行機が飛んできます。舞は引き戸を隔てたところで飛行訓練をはじめます。英語をブツブツ唱えている舞とぼーっと空を見ている朝陽。朝陽はちらりと舞を気にします。背後から祥子も見ていて「呪文のごたるな」と感心します。ここの画が印象的でした。
朝陽はそのまま夜まで同じ場所で空を見続けていて、その夜、舞には柏木(目黒蓮)から電話がかかってきて、ひととき語り合います。
「入社が1年のびた」と舞が言うと「リーマンのせいか」とすぐに理解する柏木。
今週からメインライターの桑原亮子さんの担当になっているのですが、作家によって雰囲気がこう変わるのかと驚きます。航空学校編ではおせっかいでドタバタして見えた舞がナイーブで飛行機大好きキャラに戻り、ネタキャラのようだった柏木も配慮のある落ち着いた人物に見えます。学校を卒業して大人になったと解釈することもできますが、縁側のゆったりした、野良猫に近づいていくときのように朝陽と距離をちょっとずつ縮めていく時間の描写などは作家の個性だと感じます。
「飛行機とおんなじやで 後ろ向きには進まれへん」という飛行機に掛けた言葉も印象的です。
朝陽が縁側で白い布に赤い実を並べはじめ、足りなくなったら舞がそっと補充する場面も、情緒がありました。ちょうど舞はパイロットの勉強中で「乗員の信頼を得るようにすること」の項目を読んでいたところで、朝陽への気遣いはパイロットの道のひとつでもあるようです。
朝陽は赤い実を並べ続け、舞は今度は椅子を庭に置いて航空訓練をはじめると、朝陽が真似をはじめます。興味のあることはすぐに覚えてしまう、独特の優れた能力があるようです。
と、そこへ、紙飛行機が。貴司(赤楚衛二)でした。五島に来ているけれどケータイを持っていないそうで、舞が手紙を出したのを読んだのでしょう。そのいでたちは少し八木(又吉直樹)に似てきたようにも見えます。
何かと思わせぶりに出てくる貴司。舞は柏木一筋なのでしょうけれど、視聴者としては貴司の存在も気になります。
【朝ドラ辞典 ゲストキャラ(げすと)】朝ドラに限ったことではないが、レギュラー登場人物のほかにゲストとして限られた期間だけ出演する登場人物がいる。
一話完結の連ドラだと各回にゲストが出るのが当たり前だが、朝ドラはたまにゲストが主になる番外編的なターンがある。『舞いあがれ!』の第12週の森重母子はそのパターンであろう。
(文:木俣冬)
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