(C)2023「THE LEGEND & BUTTERFLY」製作委員会
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2023年01月27日

【木村拓哉】時代劇の原点『武士の一分』を振り返る|『レジェンド&バタフライ』公開!

【木村拓哉】時代劇の原点『武士の一分』を振り返る|『レジェンド&バタフライ』公開!

(C)2006「武士の一分」製作委員会

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興行収入193億円を突破した『ONE PIECE FILM RED』、同じく興行収入89億円を突破した『THE FIRST SLAM DUNK』などの記録的なヒットもあって、自社歴代最高の興行収入を記録した東映が2023年に創立70周年記念の勝負作として公開するのが『レジェンド&バタフライ』です。

本作は、『るろうに剣心』5部作の大友啓史監督とNHK大河ドラマ「どうする家康」の脚本を手掛ける古沢良太がタッグを組んだ超大作時代劇。LEGENDこと織田信長に木村拓哉が、BUTTERFLYこと帰蝶(=濃姫)には綾瀬はるかがキャスティングされました。

これまでも多くのヒット作・話題作で共演してきた2人が、戦国乱世に生きながら“愛”を育む特別な2人を演じ切ります。

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木村拓哉、“時代劇映画の原点”は初主演映画



多くのドラマ、映画でヒット作・話題作に出演し続けてきた木村拓哉の映画初主演作は、2006年の山田洋次監督の時代劇映画『武士の一分』でした。

テレビでは過去に時代劇の経験はありましたが、本作が時代劇映画としては初出演であり、出演映画としても初めての単独主演作品でもありました。


そもそもの流れとしては、遡ること4年前の2002年のこと。ここで山田洋次監督が初めて手掛ける本格時代劇として藤沢周平原作の『たそがれ清兵衛』を発表します。主演には真田広之、ヒロインに宮沢りえを配したほか、舞踏の世界では国際的な地位を築いていた田中泯が本格的に映画出演をしました。

『たそがれ清兵衛』は興行収入の面でも成功を収めたほか、批評の面でも絶賛を浴びて、ロングランを記録。さらには『トワイライトサムライ』のタイトルで海外でも公開され、この年のアカデミー賞の外国語映画賞(現国際映画賞)にノミネートをされました。

時代小説の作家として知られてきた藤沢周平は、意外にも映画化は本作が初めて(ドラマ化は多数あり)、この成功を経て多くの作品の映画化企画が進みます。山田洋次監督もこの流れで3部作構想を発表し2004年に『隠し剣鬼の爪』を永瀬正敏と松たか子主演で映画化。

山田監督作品以外にも藤沢周平作品は『蝉しぐれ』『山桜』『必死剣鳥刺し』などが映画化されました。これらの作品で特筆する部分は“ラブストーリー”の要素が強かったことでしょう。

時代劇は侍としての面目やお家の大事、仇討ちなどが“剣を抜く動機”として描かれがちな一方で、藤沢周平原作映画の多くは“大切な人への想い”がその一番の動機となっています。

(C)2006「武士の一分」製作委員会

『武士の一分』もまた、そのタイトルとは裏腹に木村拓哉演じる三村新之丞と檀れいが演じるその妻・加世との“夫婦愛”が大きなテーマでした。

木村拓哉の映画出演&主演、しかも山田洋次監督の時代劇ということで大きな話題を呼んだ『武士の一分』は配給元の松竹の当時の最大のヒット映画となりました。(現在は『おくりびと』がトップ)

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2023年木村拓哉、再び“愛”を描いた時代劇へ!

©2023「THE LEGEND & BUTTERFLY」製作委員会

『武士の一分』から17年『レジェンド&バタフライ』で、木村拓哉が久しぶりに時代劇映画に帰ってきました。数え年齢で49歳で没した織田信長を撮影当時49歳だった木村拓哉が演じるという、非常に運命的な巡り会わせの映画となりました。

木村拓哉に限ったことではありませんが、俳優もやはり年を重ねるとラブストーリーは徐々に演じにくくなります。これは年齢的に現実味、リアリティがなくなってしまうからでしょう。もちろんその世代の恋愛というものあってしかるべきですが、エンタメの題材としては需要が少ないというのもまた事実です。

©2023「THE LEGEND & BUTTERFLY」製作委員会

そんな中での『レジェンド&バタフライ』

時代劇と後は舞台作品などでいえることとして、演者の実年齢と演じるキャラクターの年齢とが必ずしも重ならなくても許されます。『レジェンド&バタフライ』はそこをうまく活かした印象です。

『レジェンド&バタフライ』では木村拓哉は信長の10代から最期までを演じ切り、10代のキャラクターを演じても違和感をもたせないのは時代劇というジャンルゆえでしょう。

©2023「THE LEGEND & BUTTERFLY」製作委員会

そのため、久しぶりに木村拓哉の“若々しい恋模様”も見られます。しかも、相手役(BUTTERFLY=帰蝶=濃姫)がこれまでも多くの作品で木村拓哉とコンビを組んできた綾瀬はるかということもあって、硬軟自在の阿吽の呼吸を見せてくれます。

織田信長の人生、特に桶狭間の戦い以降の人生は歴史に詳しくない人でも知られているために、フィクションの介在する隙間というのが自然と少なくなるのですが、脚本を手掛けた古沢良太は意図的に戦国時代的な見せ場ではなく、その時に合った“信長個人”の姿を描き出すようにしています。

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今年2023年の大河ドラマ「どうする家康」の脚本も手掛けている古沢良太は、この『レジェンド&バタフライ』で初めて時代劇を手掛けました。現代劇で、特に二転三転するテンポの良さを売りとした古沢脚本のリズム感をそのまま時代劇に持ち込んだことは功を奏したと思います。

そんなこともあってか、見ている時の気分は時代劇を見ているというより現代劇を見ているような気持ちにさせてくれました。実は上映時間が2時間48分もある大作です。それでもいいテンポ感が続くので、中弛みせずに一気に見せ切ります。

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かなりしっかりと歴史が残っている信長の生涯ではありますが、もちろんフィクションやアレンジの入る隙もあって、本作では特に最後の時である宮沢氷魚演じる明智光秀が起こす“本能寺の変”の解釈・光秀の動機付けには唸りました。

もちろん『るろうに剣心』5部作を完成させた大友啓史監督の手腕も健在です。外連味溢れた見せ場にメロドラマ調とも言うべきウェットな部分を持ち込むのはお手の物。

大友監督自身も映画には手ごたえを感じているようで「『るろうに剣心』とはまた違った種類の熱量の溢れる映画になっている」という言葉を試写に伺った際に頂きました。

誰もが知る信長という人物を描くという一見、無謀というか平坦な物語になりかねないものを木村拓哉×綾瀬はるか×古沢良太×大友啓史という組み合わせが、非常にエモーショナルな戦国恋愛絵巻に仕上げてきました。

目指すは実写年間最大ヒット!



『ONE PIECE FILM RED』や『THE FIRST SLAM DUNK』など、大ヒット作を出した2022年の東映は、どちらもアニメーションでした。やはりここは実写映画でも実績を残したいところです。

興行収入100億円というのは、ヒットの目安としてよく取り上げられるようになった数字ですが、100億円に届いた実写映画は『踊る大捜査線』と『踊る大捜査線THEMOVIE2レインボーブリッジを封鎖せよ!』の2作品だけです。

邦画・洋画も併せて2023年1月現在で42作品の100億円映画(うち7本は200億円映画)がありますが、実写邦画にとっては非常に高い壁となっています。東映としては1990年の『天と地と』が約90億円、2005年の『男たちのYAMATO』の50.9億円など。

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『武士の一分』が興行収入41億円を超えていること、木村拓哉主演映画が平均して40億円前後を記録していることなども考えると、やはり『レジェンド&バタフライ』は『男たちのYAMATO』は越えて、2023年の実写映画ナンバーワンヒット&21世紀東映実写映画ナンバーワンヒットを狙ってくるでしょう。

年齢的にも50代に入った中で『レジェンド&バタフライ』は、今後の俳優・木村拓哉の指針のひとつになってくると思うので、大きな成果を期待したいところです。

(文:村松健太郎)

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| 2006年 | 日本 | 121分 | (C)2006「武士の一分」製作委員会 | 監督:山田洋次 | 木村拓哉/檀 れい/笹野高史/小林稔侍/緒形 拳/桃井かおり/坂東三津五郎 |

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