©︎春場ねぎ・講談社/「五等分の花嫁∽」製作委員会
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2023年07月14日

「やわらかくて強い」声優・竹達彩奈が演じたキャラを好きになる理由

「やわらかくて強い」声優・竹達彩奈が演じたキャラを好きになる理由



「五等分の花嫁」シリーズの新作アニメーション『五等分の花嫁∽』が、TVスペシャルとして2023年夏に放送される。また7月14日(金)からは、全国の劇場にて3週間限定で上映されている。

「週刊少年マガジン」(講談社刊)で連載された春場ねぎによる大人気コミック「五等分の花嫁」が原作となっている本作。「落第寸前」「勉強嫌い」の中野家の五つ子・一花、二乃、三玖、四葉、五月と、アルバイトの家庭教師として彼女たちを「卒業」まで導くことになった上杉風太郎との高校生活を描いたラブコメディだ。

今夏放送される「五等分の花嫁∽」では、6人の高校生活最後の夏休みが描かれる。2022年5月に公開された映画『五等分の花嫁』から一年経ち、新作アニメーションとして再び五つ子に会えるのが今からとても楽しみだ。

今回は「五等分の花嫁∽」放送に際して、次女・中野二乃役を演じた竹達彩奈の魅力について綴っていきたい。

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「五等分の花嫁」優しさを隠したぶっきらぼうな二乃



「五等分の花嫁」で竹達が演じた二乃は、五つ子の中でも自分の意見がはっきりしていて、感情的になりやすいキャラクターであった。自分と意見や考えが違う相手にはストレートに伝え、絶妙にイラッとする言葉をぶつけるため、喧嘩する度にエスカレートしていく。一花・三玖・五月とは、観ているこちらの心が痛くなるような言い争い(時に殴り合い)を繰り返してきた。

だが、二乃がここまでストレートに意見を伝えるのは「影でコソコソするのは嫌」という彼女なりの考えがあるからだ。裏の顔がなく、誰に対しても平等に接しているのが彼女の魅力である。そして、強い言葉で相手を傷つけた時は自分も一緒に傷ついている。一見強い印象を受けるが、繊細で弱い部分も持ち合わせているのが二乃の性格だ。

竹達は、こうした難しい感情の変化を言葉に乗せ、二乃の強さと弱さを表現している。姉妹に向けて暴言を吐く二乃の姿に同情してしまうのは、言葉の裏にある姉妹を大事にする想いが声から伝わってくるからだろう。

そして印象的なのは、風太郎に対する態度である。最初は家庭教師として突然五つ子の仲に入り込んできた「部外者」風太郎に激しく抵抗した。睡眠薬を飲ませて強制的に自宅に帰したり、「あんたなんて来なければよかったのに」と叫んだり、嫌がる素振りが顕著であった。だが、一緒に過ごしていくうちに風太郎の魅力に気づき、一花に「愛の暴走機関車」と言われるほど積極的にアタックしていく。

普段は冷たくツンツンしているが、相手を好きと認識した時のデレ具合が凄まじい。竹達の照れながらも堂々としている演技があってこそ、「ツンデレ」な二乃がよりかわいく見えていた。

一筋縄では行かない、二乃の難しい性格を捉えてしっかりと声に感情を乗せていたため、いつの間にか応援したくなるような愛しいキャラクターが確立したのだ。

「たまゆら」(OVA)人を和ませるやさしい楓

©佐藤順一・TYA/たまゆら製作委員会

写真が大好きな高校1年生・沢渡楓が主人公のテレビアニメ「たまゆら」シリーズ。海と山に囲まれた穏やかな瀬戸内海の町、広島県竹原市が舞台となる本作は、楓と、楓の家族や友達との日常とささやかな夢が描かれている。

2011年10月から放送されたテレビアニメシリーズ1期「たまゆら~hitotose~」に先駆ける形で発表された「たまゆら」(OVA)では、4話にわたって楓・かおる・麻音・のりえが出会ってから仲を深めていくまでの様子を観ることができる。憧れの写真家・志保美りほの写真展に行ったり、大好きな父との思い出の場所を訪れたりすることで、楓が少しずつ成長していく様子にも注目だ。

竹達は「たまゆら」の中で楓役を演じている。引っ込み思案でおっとりした性格の楓は、周りを和ませる不思議な力を持つ。写真を撮るために橋から身を乗り出して落ちそうになったり、弟・香を追いかけて転んだりと、おっちょこちょいな一面もある。だからこそ、かおるたちも楓から目が離せないのだろう。

楓の存在が、ふわふわとしたやさしい作品の空気感を作り出している。そこには竹達のやわらかくて癒される声が必須である。竹達のやさしい声が楓のキャラクターと見事にマッチしていた。

また楓は、大好きな父を亡くして心に深い傷を負いながらも、今は父の形見であるカメラを持って街や友達を撮り続けている。こうした「悲しみを乗り越えた強さ」を持つのも彼女の魅力だ。普段はちょっぴり抜けていてふわふわしているが、父について語る時はいつも真剣で、大事そうに話す。楓が写真を通して父を思い出す度に、声から寂しさや喜びが滲み出ていて、思わずグッとくるのだ。

友達と話している時のやわらかい口調と、将来や父について考えている時の真剣な口調は同じ「やさしい声」でありながらも、受け取り方は異なる。竹達の絶妙な演じ分けによって、楓の人間性はより深みが増したと感じる。

「ソードアート・オンライン」直葉と、少しかっこいい仮想世界のリーファ



五感のすべてをゲームの世界に投影できる「フルダイブ型」のVRゲーム「ソードアート・オンライン(SAO)」を発端に、さまざまな仮想空間でのデスゲームを描いたテレビアニメ「ソードアート・オンライン」シリーズ。

竹達は「ソードアート・オンライン」シリーズの中で主人公・桐ヶ谷和人(キリト)の妹である直葉役と、直葉のゲーム内でのアバター・リーファ役を演じる。現実世界を生きる直葉と、仮想世界で生きるリーファのキャラクターの演じ分けが見事だった。

直葉は、キリトのことを強く想うがゆえ、本音を上手く伝えられなかったり、寂しそうな表情を見せたりすることがよくある。と思えば、大胆な発言や行動に出ることもあり、後になって思い出して1人で照れている。



思い通りにならなかったり、どうしようもない複雑な事情が絡み合っていたりと、リアルな世界だからこその難しさに直面している。コロコロと変わる直葉の心境に合わせた竹達の声が、感情の揺れ動きをよりわかりやすくしていた。

一方でリーファは、少し強気で頼もしい。直葉であれば言えなかったであろう発言や躊躇ったであろう行動をし、周りをリードしていく。仮想世界にいるリーファは、直葉の理想の姿なのかもしれない。直葉よりもハキハキと自信たっぷりに話すリーファは、少し怖いけれど頼れる存在であった。 

現実よりも“ちょっとかっこよくしている”仮想世界のアバター・リーファに共感できたのは、竹達の演じ分ける匙加減が絶妙だったからこそだろう。

キャラクターに深みが出る「やわらかくて強い」竹達彩奈の声

ぶっきらぼうだけど愛情たっぷりな二乃、やわらかくて周りの人を笑顔にする楓、兄を想う直葉・リーファ。竹達の声は、やさしい。だがそれだけではなくて、意志の強さも混在しているので、キャラクターに深みを感じる。

深みがあるから、気がつくと竹達が演じたキャラクターをもっと好きになっているのだ。

今後の彼女の新しいキャラクターとの出会いに、注目していきたい。

(文:きどみ)

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