(C)2023 映画「BLUE GIANT」製作委員会 (C)2013 石塚真一/小学館
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映画コラム

REGULAR

2023年02月21日

アニメ映画『BLUE GIANT』が全細胞を沸き立たせる大傑作である「5つ」の理由

アニメ映画『BLUE GIANT』が全細胞を沸き立たせる大傑作である「5つ」の理由



4:「映画」にしてくれて、本当にありがとう

映画館で観るべき理由、それはアニメとしての圧倒的な表現、キャラクターに合わせてもいる音楽の魅力にあることをわかっていただけだろうか。スクリーンで観てこそ、まるでライブハウスに来て、内面も含めて成長していく彼らの演奏をほぼ「生」で目で見て音で聞き、ずっとその記憶が残り続けるような、観客たちと「興奮と感動を分かち合う」体験ができるだろう。

そして、スクリーンでかけるべき映像と音を作り出したことだけでなく、2時間という映画の時間に物語を凝縮したこと。だからこその感動があったことも賞賛したい。映画では、テレビアニメやドラマとは違い、限られた時間の中でどのように原作を「再構成」をするかも見所のひとつではある。しかし、それは作り手にとっては難しく、また原作のファンからは賛否が出やすいポイントでもある。だが、このアニメ映画『BLUE GIANT』その点においても、完璧という他ない。

(C)2023 映画「BLUE GIANT」製作委員会 (C)2013 石塚真一/小学館

なにしろ、映画の物語にあたる原作漫画の5〜10巻を読むと、エピソードの取捨選択、細かい構成の入れ替え、タイトに細かい心理描写を入れている。上映時間が限られている「映画の物語のため」の改変が実に的確で拍手したくなるほど、すべての映画化作品がお手本にしてほしいと願うほどだったのだから。それは、原作漫画で石塚真一と2人で協力して物語を手がけていたNUMBER 8自身が、今回の映画の脚本を執筆したためでもある。

具体的に原作漫画から変わったポイントでは、「(パンフレットでアニメ評論家の藤津亮太も指摘している、原作の3巻にある)冒頭で大が野良猫にかける言葉」「大と雪祈がバンドを組むまでの過程」などに注目してほしい。そしてクライマックスの原作漫画と異なる展開では「映画ならではの『BLUE GIANT』の物語」として、原作を読んだ方も、全く知らない方にも、劇中最大の感動を呼び起こしてくれるだろう。

(C)2023 映画「BLUE GIANT」製作委員会 (C)2013 石塚真一/小学館

実は、映画化にこだわったのは原作者の石塚真一であり、それは「実際のジャズのライブのように大音量で、熱く激しいプレイを体感してもらえる場所は映画館しかない」との考えによるものだったとか。初めはテレビシリーズを想定していた立川譲監督もそれに納得したそうだが、筆者も「『映画』にしてくれて、本当にありがとう」と感謝を告げたい。

5:青春は「終わる」「二度とない」からこそ、愛おしい

キャッチコピーの「二度とないこの瞬間を全力で鳴らせ」は、映画の魅力と主題を見事に言い表している。誰にとっても、青春は人生のどこかに何度もあるものだが、「同じ」青春は二度とない。その青春の二度とない瞬間を、演奏シーンのひとつひとつの「魂を込める」ようなアニメの表現と、ジャズという音楽の魅力そのもので提示しているのだから。

そして、原作漫画には「ジャズは一生同じメンバーで演(や)るものじゃない。組む人間はどんどん変わっていくものです」というセリフがあり、今回の映画でも少し違った場面で言及される。それは、前述した3人の仲間たちの「終わり」を示唆しているのだ。

(C)2023 映画「BLUE GIANT」製作委員会 (C)2013 石塚真一/小学館

そのセリフは確かに現実的ではあるのだろうが、冷徹で人間味の欠ける印象もあるだろう。だが、映画はこの3人の物語にフォーカスした上で、「一生同じメンバーで演らない」事実でさえも、目から涙がダムのように溢れる「青春の終わり」の物語の感動につなげているのだ!原作漫画からあったこのセリフを、このように「昇華」されるなんて……!

それを持って、やはりアニメ映画としても、音楽映画としても、青春映画としても大傑作だと断言する。加えて「1本の映画の中だけでこんなにキャラクターみんなが大好きになれるなんて」とも、改めて思う。

最後に、あえてアニメ映画『BLUE GIANT』の不満を挙げるのであれば、演奏シーンで「3DCGに切り替わる」場面に違和感があるということ。それまで漫画そのままのタッチだったキャラクターが、急に「人形っぽくなる」ような、悪い意味でのギャップを感じてしまったのだ。

『THE FIRST SLAM DUNK』で「漫画のキャラがそのまま動いている3DCG」を観たばかりということもあって、もう少し上手くできなかったのかな、とも正直に思ってしまう。本作を絶賛している方でも苦言を呈しているのは、これが決して小さくはない欠点だからだろう。

ただ、個人的にはそれもモーションキャプチャーで捉えた演奏の動きをわかりやすく見せるためのものとして、納得できる範囲ではあった。何より、演奏シーンでバラエティ豊かな表現をしていることは本作の最大の魅力。「表現のひとつ」として肯定的にみることはできるだろう。

さて、ここまで本作の魅力を書ききったが、ここまで絶賛して観てくれなかったら、どうしたらいんだ。しつこいのはわかっているが、もう一度言おう。今すぐ『BLUE GIANT』の劇場情報をチェックし、観に行ける上映回を予約し、映画館に足を運んでください。お願いします!

▶『BLUE GIANT』上映劇場情報

(文:ヒナタカ)

▶︎『BLUE GIANT』を観る

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