「リバーサルオーケストラ」第7話:初音(門脇麦)が完全復活!オーケストラはひとりじゃない。
本作は“元”天才ヴァイオリニストと変人マエストロが地元のポンコツオーケストラを「大改造」する一発逆転音楽エンターテイメント。民放GP帯ドラマ初主演をつとめる門脇麦や門脇と『あなたの番です 劇場版』以来の共演となる田中圭他、ポンコツ楽団の団員を演じる個性的なキャストが集結した。
本記事では、第7話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
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「リバーサルオーケストラ」第7話レビュー
人間、ずっといい子ではいられないものだ、と思う。三島(永山絢斗)から持ち掛けられたテレビ出演。
初音(門脇麦)は迷っていたが、市長に押されて出演を受け入れてしまう。
ただ、人気ヴァイオリニストの三島が突然名前を出したとあって、初音の過去を暴く人も。名前を検索すれば、おおよその情報が出てくるぐらいに初音は有名だ。
と、なると10年前のステージ逃亡事件も明らかになってしまう。
未だに演奏会の曲、チャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルト(通称:チャイコン)を弾けない初音はますますスランプにハマッていく。
さらに朝陽(田中圭)に誘われて行った食事会では、高階藍子(原日出子)と三島、三島の父・光太郎(加藤雅也)と同席という地獄絵図に。
光太郎だけが楽しそう。そして世界的マエストロの光太郎と話しているときの朝陽はちょっと無邪気さもあってかわいい。こういう顔もするんだな、朝陽は……。
しかし、初音は三島にチクチクと嫌味を言われ、さらには「ステージに立つ資格がない」と言われてしまう。これは、10年前のときにも三島が初音に向かって放った言葉でもある。
この言葉が初音を追い詰めていく。
玉響の団員たちは「大丈夫」「慌てなくていい」と励ますが、初音にはそれさえも重荷になってしまう。思いを爆発させ、団員たちと衝突する形になった初音は練習場を飛び出す。
でも、初音は「私のことを甘やかさないで」とタンカを切っていたけれど、ある意味いい環境にいるのでは、と思う。トラウマから復活するには、すごく優しい場所だ。「大丈夫」と手放しで言えるのは、みんなが初音のことを信頼しているから。
しかし、初音は信頼できていない。団員たちのことも、自分のことも。
それをわざわざ家までやってきた朝陽に指摘される。まあ朝陽、本当はもう少し優しい言葉をかけるはずだったと思うのですが……。でも、これが初音の心を強くする。
そして、団員たちは初音に愛想を尽かしたりしない。ひとりでも練習できるようにとチャイコンを演奏した動画を撮り、初音に届けた(本来はこれを朝陽が届けるはずだったのに、気持ちが昂ってしまった朝陽よ……)。
迎えたテレビ出演の日。団員たちの動画に勇気づけられた初音は、前を向いていた。
が、不安はあるに決まっている。
そんな初音にアドリブでチャイコンを弾かせようとする三島。
いじわるな奴! と思っていたのだが、実は、三島自身も自分の気持ちを分かっていなかった。
初音は戸惑いながらもヴァイオリンを受け取る。思い出したのは玉響の団員たちのこと。
ひとりではない。みんなと一緒に弾いている。
そう思うと、のびやかに楽しく、本来の演奏をすることができた初音。
完全復活の瞬間だ。
さぞや悔しがっているだろう、三島……と思ったが、違った。心の底から嬉しそうな笑顔を見せる三島がいた。
自分ができないことへのふがいなさ、自分より先に父と共演したことへの嫉妬。そのステージを逃げ出したことへの怒り。
さまざまな感情が三島の心を頑なにさせていた。めちゃくちゃ柔らかい笑顔で、この場に蒼(坂東龍汰)がいたらどう思ったことか……。
それぞれが優しいから観ていてホッとするし、誰の心も置いてきぼりにならないのがこのドラマの良いところだな、と改めて思う。
今回は、初音を心配して、両親が谷岡家に戻ってきた。でも、実は妹の奏奈(恒松祐里)にこそ、今は両親の存在が必要だったように思う。
おそらく、蒼に想いを寄せているのだろうけれど、それを押し隠して、初音をサポートしている。それが両親からの「がんばりすぎないで」で少し心を緩ませることができたのではないだろうか。
それでいて1話たりとも気が抜けないのがこのドラマでもある。
オーボエ首席・穂刈(平田満)の事故、そして玉響に本宮(津田健次郎)のスパイがいる……?
物語はさらに加速していきそうだ。
(文:ふくだりょうこ)
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