『ドラえもん のび太と空の理想郷』が大人にも響いた理由
3月といえば……やっぱり映画『ドラえもん』!
3月3日(金)に映画『ドラえもん のび太と空の理想郷』が公開されました。筆者は初日に観に行き、心に響きまくったので興奮気味に語らせてください。
※本記事では『ドラえもん のび太と空の理想郷』のストーリーに触れています。未鑑賞の方はご注意ください。
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パーフェクトな自分ってなんだ?
今作は誰もがパーフェクトになれる理想郷(ユートピア)パラダピアが舞台。パラダピアは争いや犯罪や飢えがありません。誰もが幸せになれる国(……と言われている)まさに楽園です。パラダピアでは、どんな人も幸せになることができ、パーフェクトな自分になれます。
のび太もパラダピアでパーフェクト小学生を目指します。パーフェクトとはそもそもどのような状態を指すのでしょうか。ひどく曖昧な言葉です。子供の頃も、もちろん大人になってからも、パーフェクトな自分になりたい、完璧な自分になりたいと何度思ったことでしょう。しかし、どんなに完璧でパーフェクトな人がいたとしても、欠点がない人間なんてどこにもいません。本作は、自分のパーフェクトとは、幸せとは何なのかを問いかけます。
物語が進むにつれ、パラダピアの秘密も明らかになっていきます。パラダピアでのパーフェクトで幸せとは、心がなくなり支配されただけの状態。しかし、そんな状態は幸せじゃない。
「パーフェクトにならなくたっていい、これが僕だからだ!」
後半にドラえもんがのび太に言うセリフが本当に心に響きました。
それぞれの「らしさ」が好き
▶︎『ドラえもん のび太と空の理想郷』画像を全て見る今作の見どころのひとつが、ドラえもん・のび太・しずかちゃん・ジャイアン・スネ夫のそれぞれの「らしさ」。パラダピアで「らしさ」がなくなったしずかちゃん・ジャイアン・スネ夫は気持ち悪いとすら思えてしまったのですが、物語の後半でそれぞれの欠点を「らしさ」と肯定してドヤ顔で敵に言い放つシーンはみんながカッコ良くて痺れました!個人的に、ジャイアンとのび太君がドヤ顔で言うセリフが好きだなぁ。
のび太のダメダメなところも、しずかちゃんの強情なところも、スネ夫の意地悪だけど仲間思いのところも、ジャイアンの乱暴だけど勇敢な所も、失われてしまったら、もうみんなではない。
今作ではみんなの「らしさ」や欠点が本当に愛おしくて、大好きになります。私も欠点がたくさんあり、そんな自分が嫌いになることもあるけれど、自分「らしさ」がなくなってしまったら、もう自分じゃないですよね。『のび太と空の理想郷』を観て、自分の欠点もまるごと愛してあげようと思うようになりました。
『ドラえもん のび太と空の理想郷』大人にも響くストーリーだった
▶︎『ドラえもん のび太と空の理想郷』画像を全て見る『ドラえもん のび太と空の理想郷』は子供から大人まで楽しめる作品となっています。
「パーフェクトとは」「幸せとは」「自分らしさとは」——大人でも答えがでないテーマだからこそ、子供だけではなく大人にもおすすめ。ドラえもん・のび太・しずかちゃん・ジャイアン・スネ夫それぞれの「らしさ」がまさに世界を救う話だからこそ、「自分らしさ」に悩む全ての人に観てほしい映画です。ドラえもんが欠点も全て受け止めてくれます。
その他にも、永瀬廉が声を担当したソーニャが彼らと出会うことで変化していく様子や友情も必見です。特に最後のシーンはソーニャがロボットで良かったと思えるシーンで、映画『ベイマックス』のラストシーンに少し似ているなと個人的に思いました。
2024年の映画ドラえもんの公開も決定し、来年が楽しみで仕方ありません。
(文:前野真岐)
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