続・朝ドライフ

SPECIAL

2023年04月26日

「らんまん」神木隆之介と宮野真守が自由を唱える力強い演説最高<第18回>

「らんまん」神木隆之介と宮野真守が自由を唱える力強い演説最高<第18回>

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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。

「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。

ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第18回を紐解いていく。

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時は今ーー!

突如、自分が峰屋の実子ではないと教えられ、弟と思っていた万太郎(神木隆之介)と結婚しろと言われた綾(佐久間由衣)は、ショックで家を飛び出します。

向かった先は、ひそかに思いを寄せる幸吉(笠松将)のところ。が、彼には妻らしき人物がーー。

さらにショックを受けて綾は立ち去ります。

この妻らしき人が妹だったりはしないのでしょうか。妻だとしたら、幸吉はなぜ綾のかんざしをずっと持っていたのでしょうか。身分違いのお嬢様の高価そうなかんざしが彼にとっては宝物のように思えたのでしょうか。

綾を探す万太郎と竹雄(志尊淳)は、見当をつけて、沈下橋(増水時、川に沈むようにあえて設計された欄干のないフラットな橋で高知にはたくさんある)を渡り、高知に向かいます。

綾は演説を聞きに来ていました。

序盤からずっと万太郎が、植物とはひとつたりとも同じではないこと、日陰でも力強く咲く生命力があることになどに着目してきたことが、ここで花開きます。

早川逸馬(宮野真守)が、民衆を草にたとえ、役立たずの象徴のように言うと、思わず「違う」と物申し、その気はなかったけれど聴衆の面前に立たされ、逸馬に反論することに。

万太郎の主張は草は無力ではない、それぞれが生きる力を持っている。

勘の良い逸馬はそれを聞いて、「天賦人権」「生存の権利」「同志の団結」と置き換えていきます。
ここの脚本、見事過ぎて惚れ惚れしました。

植物の魅力と民衆の力が重なり合い、自由、を求める気運はさらに高まります。

万太郎「時が来たら」
逸馬「それはいつじゃ」
「今じゃ!」(←民権ばあさんこと楠野喜江〈島崎和歌子〉

たくさんの人に呼びかけるには、声がはっきり、言葉がしっかり聞き取れることが大事。声優である宮野さんの言葉はしっかり伝わってきます。

声優といえば、神木さんも声優をやっていますから、彼の言葉もよく耳に、心に、入ってきます。

宮野、神木のダブル演説は最強です。

「神回」という言葉が一時期流行りましたが(朝ドラ辞典参照)、朝ドラにおける神回判定は、例えば、まだ寝ながらテレビをつけていて、あるシーンでパチっと目が覚めるようなとき。万太郎の植物愛と逸馬の唱える自由民権運動の演説が重なり合う第18回はまさにそれでした。

言葉は思いを伝えるもの。この回で忘れてはいけないのは、この自由民権運動が
「運動は若者を中心に加熱していきました」とナレーション(宮崎あおい)が語ることです。明治時代は若者が立ち上がっていた。令和の今も若者よ立ち上がり声を出せ。朝ドラを若者がどれだけ見ているか定かではありませんが、この切実なる思い、伝われーーと思います。

民衆の力を農家の桶洗の歌(酒造りの歌と同質のものですね)や自由の数え歌などで表現しているのも。NHKってこういう社会運動系のドラマを作ると、しっくりハマる。これはもう伝統なのでしょう。

ただそういうゴリゴリしたことだけで終わらせず、喜江が、綾と万太郎を「仲のえいきょうだいやのう」と言ったときの万太郎と綾と竹雄の反応を映し、運動の根っこにあるのは、極めてパーソナルな問題であることも描いていることが良いところだと感じます。



(文:木俣冬)

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