「日曜の夜ぐらいは...」第4話:サチたちが教えてくれる人生のブラッシュアップに必要なもの
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主演に清野菜名、共演に岸井ゆきのと生見愛瑠が名を連ねる連続ドラマ「日曜の夜ぐらいは...」(ABCテレビ/テレビ朝日系)が2023年4月30日よりスタート。脚本家の岡田惠和が、あるラジオ番組がきっかけで出会った女性3人のハートフルな友情物語を紡ぐ。
本記事では、第4話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
「日曜の夜ぐらいは...」第4話レビュー
「なんか悪くないよね。人生やり直してるみたいな感じで」
サチ(清野菜名)が若葉(生見愛瑠)、翔子(岸井ゆきの)と一緒にパンケーキを食べながらつぶやいた一言に胸がキュッと締め付けられた。人生はゲームのようにリセットすることができない。そう頭ではわかっていても、やり直したいと思わざるを得ない日が人生には度々訪れる。
そこにあるのは、後悔だ。本当はこうしたかったのに、何らかの理由でできなかったという後悔は仕方なかったと納得していたつもりでも、時折自分に襲いかかってくる。
サチたちは一等の宝くじが当たり、それぞれ一千万という大金、いわば人生をやり直すチャンスを手にしたはずだった。だけど、現実はやっぱりままらない。
サチは、邦子(和久井映見)が車イス生活になった時に何もしてくれなかった父の博嗣(尾美としのり)にお金を無心され、3万を渡してしまった。若葉は同じようにお金を奪いにきた母のまどか(矢田亜希子)から一千万を守る代わりに、働いて貯めた92万を差し出し、翔子は欲しくもないものを次々と買わされてしまう。
人生をやり直すどころか、さらに後悔が積み上がっていく一方だった。
そこに歯止めをかけたのが、互いの存在だ。たまらなくなって連絡を取り合った3人は丸1日を一緒に過ごすこととなる。
カフェで映えるスイーツを食べ、ショッピングをして、サチの家でお泊まり。側から見れば、そんなことで?と思うようなことであったとしても、3人は嬉しくて楽しくてしょうがない。それは今まで彼女たちが手に入れたくても入れられない貴重な時間だった。
サチたちは1日を過ごしながら“友情の歴史”を語り合う。そこにはできれば忘れたい忌々しい記憶があった。
母親の介護のため、高校を中退することになったサチには心から心配してくれる親友がいたが、その優しさを受け取る余裕が当時はなかったのだ。これから楽しいことがいくらでも訪れるであろう親友の優しさが同情にしか思えず、八つ当たりし、袂を分かった。後悔してもしきれないほどの後悔が今もサチの頭を頭をもたげる。
一方、若葉は親友だと思っていた人に裏切られた記憶がある。教室でひとりぼっちだった若葉に「友達になろう」と言ってくれたその子は、裏で“本当の友達”に自分との間にあったことをネタとして提供していた。
遠慮のない性格の翔子はなぜかいつも友達に疎まれ、次第に孤立してしまう。こうしてる間にもいつか嫌われるんじゃないかという恐怖が湧き上がり、「恋人じゃないけど、別れる時はちゃんと別れようって言って。こういうとこ、嫌だからもう無理って。直すから一緒にいてとか言わないから」とサチと若葉にお願いする翔子の笑顔があまりに切ない。
誰もが友情が壊れる瞬間の痛みを知っているから、どこか慎重になってしまうのだろう。だけど、その日一日を一緒に過ごしてみて彼女たちはその恐れすら3人なら乗り越えられることを実感する。
3人でいれば、自分のためにお金を使うことができるし、一人なら躊躇ってしまうような場所にも行けて、聞こえてくる雑音も気にならない。そしてとうとう、若葉から「一緒にいたい。一緒に生きていきたい。一緒に使いたいです」と2人に希望が投げかけられる。
きっと人生をやり直すにはお金だけでは不十分で、本当に必要なのは「自分で自分を幸せにするための勇気」なのだろう。その勇気を互いの存在に与えてもらった3人は、残った全員分のお金を元手にカフェを開業することを決意する。
見たこともないほど晴れやかな彼女たちの笑顔は、同僚との楽しくないカラオケから抜け出し、3人の元に駆けつけたみね(岡山天音)が思わず涙してしまうのも分かるくらいに眩しい。3人の幸せは私たち一人ひとりの希望だ。あなたも幸せになっていいのだと言ってくれているみたいな気がする。
一方で、サチが働くファミレスのセクハラ社員・田所(橋本じゅん)と父親の博嗣が知り合ったことや、ケンタというタトゥーを入れた翔子にサチが近所にできたカフェの店員・賢太(川村壱馬)を紹介した時に若葉が浮かべた表情が妙に気にかかるのだ。
賢太はお店の人ではなく、カフェをプロデュースする会社で働いているとのことで今後彼女たちの取り組みに参加することが予想される。強力な助っ人になってくれそうだが、これまで好かれたくもない人に好かれ、それによって同性から理不尽なやっかみを受けてきた若葉のことだ。もし仮に誰かが恋愛に発展した場合、友情にヒビが入ってしまうかもしれないという恐れがあるのかもしれない。
一緒に何かをするにあたっては、そうしたトラブルの可能性も十分ある。ただそれも含め、彼女たちの人生の彩りになることを願ってやまない。
(文:苫とり子)
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