「どうする家康」第22話:長篠の戦いが人の心を変えた……心優しき信康(細田佳央太)はどうなる?
2023年1月8日放送スタートしたNHK大河ドラマ「どうする家康」。
古沢良太が脚本を手がける本作は、弱小国の主として生まれた徳川家康が乱世を生きる姿を描いた波乱万丈エンターテイメント。大河ドラマ初主演となる松本潤が従来のイメージとは異なる「ナイーブで頼りないプリンス」の家康に扮する。
本記事では、第22話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
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「どうする家康」第22話レビュー
「これはなぶり殺しじゃ」そうつぶやいたのは信康(細田佳央太)だ。
長篠の戦い。
武田軍と織田・徳川の連合軍の戦いは織田・徳川軍の圧勝に終わった。というより、織田軍の財力の強さだろう。3,000丁の鉄砲で武田軍を圧倒。
当時の鉄砲は弾を込めるであったり、火縄銃であるから、発砲までに時間がかかる。が、数があればそれも問題はない。
信長(岡田准一)は「これがこれからの戦い」だと言う。
鍛錬を繰り返し、己の体を鍛えたものが勝つのではなく、財を持つものが勝つ。
戦など起こらないのが一番だけれど、それでも複雑になるこの気持ちをなんと説明すればよいのか。
倒れていく武田軍を見て秀吉(ムロツヨシ)は楽しげに言う。「おもしれえように死んでいくわ!」
秀吉が天下統一するのだけはどうにか阻止したいと思ってしまう。「最強の兵どもの最期を謹んで見届けよ」と言う信長のほうがまだいい(でも、家康に「本当に信長の家臣にならなくていいのか」と囁いたりするから侮れない)。
そして、家康(松本潤)と信康は圧倒されるばかりだ。
当然、こんな戦いを見せつけられて「家臣になどならない」と突っぱねられる徳川家ではない。それぐらいわかっている。もう織田信長の家来になるしかないのだと。
まず家康と信康に命じられたのは武田勝頼(眞栄田郷敦)の息の根を止めること。
長篠の戦いで圧倒的な強さが見られた織田軍だったが、一方で勝頼の将としての器の大きさ、カリスマ性が証明された。さらに父・信玄(阿部寛)を越えようとする気持ちと若さがある。負けようとも、武田軍は侮りがたし、ということを見せつけた。
武田軍との戦の中で存在感を見せるのは信康だ。先頭に立ち、兵を鼓舞し、敵を倒す。勇ましい武将の姿を見せる。
が、今回の物語の冒頭で映し出されたのは幼いころの信康と亀だ。虫も殺さないような、優しい少年だった。その心の一部を長篠の戦いで壊された。
敵を殺し、血を浴び、その武功を語る姿はこれまでとは全く異なるものだ。
家康と瀬名(有村架純)の子どもらしく、信康も亀(當真あみ)も優しい子だ。そんな心を捻じ曲げてしまう力が戦にはある。悲しいことに。
また辛いのが、信康自身も人を殺すことに麻痺しているわけではない。戦場の夢を見て、うなされる。
瀬名が見たのは、庭で蟻を見つめ、涙をこぼしている信康。
武功を得意げに語る信康の姿を見て、瀬名は不安を膨らませていた。
そんな瀬名の様子に気がつき、家康も声をかけるが、瀬名が何を心配しているのか、根っこの部分に家康は気がついていない。
瀬名は何を一番大事にしているのか。
それが今後の彼女の行動の動機になってきそうだ。
(文:ふくだりょうこ)
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