公開情報

ニュース

2023年06月20日

6月公開の注目作!逞しく生きる女性が主人公の映画3選|映画『山女』公開記念

6月公開の注目作!逞しく生きる女性が主人公の映画3選|映画『山女』公開記念

©YAMAONNA FILM COMMITTEE

福永壮志監督の映画『山女』が、6月30日(金)より全国順次公開となる。

大飢饉に襲われた18世紀末の東北の寒村。先代の罪を負った家の娘・凛は、人々から蔑まされながらも逞しく生きている。ある日、飢えに耐えかねた父の伊兵衛が盗みを働いてしまう。父の罪を被った凛は、自ら村を去り、禁じられた山へと足を踏み入れる。そこで、伝説の存在として恐れられる“山男”と出会い、凛の運命は大きく動き出す――。

柳田國男の名著「遠野物語」から着想を得た本作は、自然を前にしてあまりに無力な人間の脆さ、村社会の持つ閉鎖性と同調圧力、身分や性別における差別、信仰の敬虔さと危うさを浮き彫りにしながら、一人の女性が自らの意思で人生を選び取るまでを描いたオリジナルストーリー。

監督・脚本は、『リベリアの白い血』『アイヌモシリ』で民族やルーツにフォーカスを当ててきた福永壮志。共同脚本に劇作家で、放映中のNHK連続ドラマ「らんまん」を手がける長田育恵を迎え、現代につながる社会の歪みとそこに生きる人々の物語を作り上げた。

©YAMAONNA FILM COMMITTEE

『山女』では18世紀後半の東北の地で、家父長制がきわめて根深い村社会において女性であるがゆえに、脆弱な立場で虐げられてしまう女性・凛が主人公として描かれる。いつか底辺の身分と生活から抜け出して欲しいと願う父・伊兵衛の期待を受ける弟の庄吉とは違い、女性である凛は、ひたむきに一家を支えても報われることはない。

圧倒的な自然の前ではあまりにも無力な村社 会、その閉鎖性と集団による同調圧力、身分や性別における格差、貧しい生活を支える信仰の敬虔さと危 うさを浮き彫りにしながら、一人の女性が自らの意志で人生を選び取るまでを描く。 

時代を超えて、人智の及ばぬ自然を前に、人は何を受け入れ、何と共存しながら生きていくのか。自分 らしく生きること、人間らしさとは、何なのか。あらゆる局面で多様性が問われつつある今、凛の物語と 彼女が下した決断は、こだまとなって私たちの明日に響く。

今回、本作と同じく、過去な運命・境遇に翻弄されながらも逞しく生きる女性たちを描いた6月公開の作品の中から3作をピックアップ。『山女』鑑賞前に、それぞれの立場で懸命に生きる彼女たちの生き様に触れてみてはいかがだろうか。

『ウーマン・トーキング 私たちの選択』(6月2日公開)

(C)2022 Orion Releasing LLC. All rights reserved.

2010 年、自給自足で生活するキリスト教一派の村で起きた連続レイプ事件。これまで女性たちはそれを「悪魔の仕業」「作り話」である、と男性たちによって否定されていたが、ある日それが実際に犯罪だったことが明らかになる。タイムリミットは男性たちが街へと出かけている2日間。緊迫感のなか、尊厳を奪われた彼女たちは自らの未来を懸けた話し合いを行う―。

第95回アカデミー賞脚色賞を受賞した本作は、実話を基にした物語ではあるが、あくまでも架空の村が舞台の寓話仕立てとなっている。それは鑑賞者に、本作が知らない時代の遠い国の出来事ではなく、まさに自分たちが当事者であるという自覚を呼び起こす。監督・脚本のサラ・ポーリーによるこの仕掛けは、『山女』の原案である『遠野物語』を記した柳田國男が同作の序文で「目の前の出来事」と強調する姿勢と通じる。

『アシスタント』(6月16日公開)

(C)2019 Luminary Productions, LLC. All Rights Reserved.

名門大学を卒業したばかりのジェーンは、映画プロデューサーという夢を抱いて激しい競争を勝ち抜き、有名エンターテインメント企業に就職した。業界の大物である会長のもと、ジュニア・アシスタントとして働き始めたが、そこは華やかさとは無縁の殺風景なオフィス。早朝から深夜まで平凡な事務作業に追われる毎日。常態化しているハラスメントの積み重ね……しかし、彼女は自分が即座に交換可能な下働きでしかないということも、将来大きなチャンスを掴むためには、会社にしがみついてキャリアを積むしかないこともわかっている。ある日、会長の許されない行為を知ったジェーンは、この問題に立ち上がることを決意するが――。

目に見えない差別によって、役割を固定化され抑圧される主人公のある1日を描いた本作。映画業界をめぐる膨大な実話から練り上げられた、「SHE SAID シー・セッド その名を暴け」に連なる物語だ。

『トゥ・レスリー』(6月16日公開)

(C)2022 To Leslie Productions, Inc. All rights reserved.

テキサス州西部のシングルマザー、レスリーは、宝くじに高額当選するが数年後には酒に使い果たしてしまい、失意のどん底に陥る。6年後、行き場を失ったレスリーは、かつての友人ナンシーとダッチのもとへ向かうが、やはり酒に溺れ呆れられてしまう。そんな中、スウィーニーという孤独なモーテル従業員との出会いをきっかけに、後悔だらけの過去を見つめ直し、母親に失望した息子のためにも、人生を立て直すセカンドチャンスに手を伸ばしはじめる。

前述の2作品とは違い、家族を振り回す立場に陥った女性を描いた作品。主人公・レスリーを演じたアンドレア・ライズボローは第95回アカデミー賞主演女優賞にもノミネートされ、アルコールに溺れながらも人生を立ち直そうともがき苦しむその演技が高く評価された。

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

RANKING

SPONSORD

PICK UP!