「ばらかもん」2話:餅まきで人生を悟った半田(杉野遥亮)、ゼッケンに文字を入れる
本記事では、第2話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
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「ばらかもん」2話レビュー
冒頭から、女子小学生に服の裾を引っ張られ困る杉野遥亮、宇宙人だと勘違いされ突き飛ばされる杉野遥亮、防犯ブザーを鳴らされる杉野遥亮、18歳の新人に負けて目に見えて落ち込む杉野遥亮、台風で台所の窓が割れ、雨漏りし、挙げ句の果てに停電して泣く杉野遥亮……と、ファンが見たい杉野遥亮のオンパレードだった。五島での生活も一ヶ月目に入った半田(杉野遥亮)、田舎での生活も慣れたもの……と思いきや、初めての台風に涙目状態。スマホを水没させ、大事なデータが入ったパソコンも雷にやられてしまえば、現代に生きる大の大人は全員、泣きたくもなるだろう。
ましてや半田は、自身のことを「書道をとったら何も残らない」人間だと思っており、おまけに満を辞して書いた大作は大賞を逃したばかり。18歳の新人に負けたと知っては、自己肯定感もダダ下がりである。
ちょっと扱いが面倒な存在になりかけている半田にも、五島の人たちは優しい。台風のなかでも窓の補強をしに来てくれたり、近くで雷が落ちたことを心配してやってきたり、ガス風呂が壊れたと相談すれば五右衛門風呂の入れ方を教えてくれたり。
あれだけ煩わしいと思っていた島の人間関係に、半田はわかりやすく救われ、癒されていく。
2話ではとりわけ、新船を祝う伝統の餅まきシーンが必見だった。視聴者でも、田舎出身か都会出身かで感想が真っ二つに分かれるだろう。本編でも、上ばっかり見ていたら餅は取れない、チャンスは意外にも下に落ちているとアドバイスを受ける。確かに、投げられる餅を空中でキャッチするよりも、人の手を逃れ地面に落ちた餅を狙うほうが効率が良い。
餅に群がる島民たちを見ながら「世の中には取れる人間と、取れない人間がいる」と人生を悟る半田。地面に落ちたチャンス=餅を狙え、と言われても「それでも取れなかったら?」と不安は拭えない。そんな彼に差し出された言葉が、とても優しい。
「その時はな、どうぞお先に、譲ってやって、もっと大きな餅を狙え」
餅まきで人生を悟った半田は、その後、島でおこなわれる体育祭のためにゼッケンに文字を入れた。徹夜で、参加する島民たちのぶんを仕上げた。島の暮らしに慣れてたまるか、と反発していた心が、島民たちの優しさによってほぐれている。
半田にとって、餅まきが「不覚にも、ちょっと、楽しかった」からだろうか。
(文:北村有)
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