インタビュー

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2023年07月29日

佐藤大樹インタビュー「25歳のときがあるから今がある」

佐藤大樹インタビュー「25歳のときがあるから今がある」

現在、放送中のドラマ「around1/4」。5人の男女が25歳前後でぶつかった壁に悩みつつ、それぞれの乗り越え方を見つけていく恋愛群像劇だ。

主人公の新田康祐を演じるのはFANTASTICSの佐藤大樹。これまでのイメージとは一転、本作では大人な一面を見せている佐藤。作品に対するこだわり、自身がぶつかった“25歳の壁”について聞いた。

ムードメーカーがたくさんいる現場だった

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――今回単独での初主演ということで、振り返ってみていかがですか?

佐藤大樹(以下、佐藤):スタッフさんが、座長、座長って呼んでくれて。僕もそう呼ばれるのが嫌いじゃないのですごく現場は楽しかったです。

ただ、5人(美山加恋、工藤遥、松岡広大、曽田陵介)でのシーンが本当に少なかったので、もっとあったら更に楽しかったんだろうな、と思います。

――5人でプライベートでも集まる機会はなく?

佐藤:そうなんですよ。もともとクランクアップはみんな同じ日だったんですけど、それもずれて別々のアップになりました。僕は次の日にライブがあったので、最初に上がっちゃいましたし、なかなか、集まれていないので、もし打ち上げがあったら、そこで初めて5人で飲めるのかな、と思います。

――座長として心がけた点はありますか?

佐藤:現場の雰囲気が良ければ良いほど、作品にも反映されると思っているので、とにかくムードメーカーみたいな雰囲気で盛り上げたいなって思ってたんですけど、意外とムードメーカーがたくさんいて。そんなことやる必要がなかったくらいです。あ! あと差し入れをいつもより多く入れましたね。みんな喜んでくれました。

――ちなみにどなたが一番ムードメーカーでしたか?

佐藤:工藤さんは男性女性関係なく気軽に話しかけてくれるし、スタッフさんともコミュニケーションをとって、現場を明るくしてくれましたね。現場が好きなんだなと思いました。
 

監督陣とも意見交換をしながら作り上げていった作品 

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――佐藤さんといえば、つい最近まで、制服を着る役を演じていらっしゃった印象があります。

佐藤:そうですね、24、25歳ぐらいまではよく着ていましたね(笑)。

――それが今回はすごく大人な役で、驚きました。

佐藤:それはやっぱりファンのみなさんも同じこと言っていて。いつからこんな役を演じるようになったんだ、って。高校生を演じてたのに、みたいな(笑)。

――役が変化するとともに、気持ちの変化もありましたか。

佐藤:求められるものが変わってきたんだな、と思いますし、でもどっちもできる俳優でありたいな、とまだ思います。自分は多分、年齢のわりに童顔なので、これは俳優としてはすごく武器になるな、と思っています。両方行き来できたらいいですね。でもしばらくは康祐みたいな役はやらないですね、きっと。

――大変でしたか。

佐藤:めちゃくちゃ大変です!(食い気味に)

撮影期間がタイトだったので時間に追われている部分もありましたし、特にセンシティブなシーンでは自分が現場を引っ張らなきゃいけないですし。でも相手が美山さんだったので、信頼関係を持って、2人で乗り切れました。

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――そのためにコミュニケーションも丁寧に取られたんでしょうか。

佐藤:プライベートでご飯に行ったわけではないんですけど、カメラが回ってないときもお互いをもっと知るように話はしましたね。本当にドラマの劇中に出てくる康祐と早苗の関係性そのものというか。お互いを知っていけばいくほど距離が縮まる、ということを実際に撮影中もやっていたので、それができたのは良かったなと思います。

――特にどこが難しかったですか。

佐藤:2人のシーンが圧倒的に多いんですけど、2人が距離を縮めたいんだけど縮められないみたいな。不器用な2人が、2人きりで高級ホテルに行くシーンとか、初めて同じ空間で一夜を過ごすシーンは、どこまで距離感を縮めていいのか分からなかったですね。結末を知っているからこそ、そこへの逆算として役作りをするのがすごく大変でした。それは撮影に入ってからも監督陣と美山さんとたくさん話し合って、意見交換をしながら作り上げていましたね。

――また、康祐の恋愛観が少し特殊なのも演じる上で難しそうだと感じたんですが、佐藤さん自身はどう受け止められましたか。

佐藤:とにかく生きづらそうだな、と思いました。撮影中も監督とずっと話していたんです。「本当にこういう生活してる人いるんですかね?」って。人を満足させるために一見チャラく見えて都合のいい、ちょうどいいバカを演じて、こんな生き方は僕だったらイヤだな、と。恋愛に対しても、人を喜ばせるために、全部尽くすんだけど、実は自分が一番満足できていないんですよね。

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――もし、佐藤さんが康祐にアドバイスをするとしたら?

佐藤:5人中、男が3人いるんだったら、まずそこに相談すべきだろうなと思うんですけど、康祐は全員に隠しているんですよね。やっぱり、最終的に男は絶対裏切らないし、親友を作って、自分の悩みを打ち明けられる人を1人でも増やした方がいいんじゃないかな、と僕は思ってます。

――今、25歳だからいいですけど、今後苦労しそうですね。

佐藤:特に会社に属していたらきっともっと人間関係で大変なことがたくさんありますよね。プライベートであれだけ悩んでいたら本当に生きづらいだろうと僕は思うので、そういう仲間を早く見つけてほしいですよね。
 

25歳のときの経験があるから今があるのかもしれない


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――今回、“25歳の壁”ということがテーマですが、佐藤さんが25歳のときはいかがでしたか。

佐藤:ちょうどLDHとしても300公演以上のライブの興行を予定したパーフェクトイヤーだったんですけど、それがコロナ禍の影響で中止になってしまって。めちゃくちゃ悔しかった印象があります。もう戻りたくないですね。本当に何していいかわからなくなった時期でした。

――当時はどのように心の整理をされたんですか?

佐藤:難しかったですよね。おうち時間、おうち時間と言われていたけど、何をすればいいかわからないときでした。やっぱりライブを軸にしていたから、それが一気にできなくなったときに、自分の無力さを感じたというか。

主演映画の公開も延びてしまって、写真集の発売イベントも対面だから中止になって……。いろいろ楽しみにしていたものが一気になくなった年でしたね。

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――この3年間で変わった部分はありますか。

佐藤:人前に立つことがより好きになりましたし、ライブをしているときは、「自分が一番好きなのはやっぱりここなんだな」と思います。

あと、それまでは映画が多かったですけど、なぜかコロナ禍に入ってから、ドラマに出ることが多くなったんです。1ヶ月京都に滞在して、「恐怖新聞」という作品に出たんですけど、そのあたりから今まで自分のことを知らなかった層にも知ってもらえるようになりました。そこからドラマが続いたので、それはそれで自分の中でいい経験になったな、と思いましたね。

――この数年で新たな層にリーチできたんですね。

佐藤:そうですね。もしその1年間、ずっとライブをしていたらドラマもできなかっただろうし、だからこうしてたくさんドラマに出させていただくのも、実は25歳の経験があったからなのかなと思います。
 

さわやかだと思ってもらえるうちに好青年役をやりたい 

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――佐藤さんは16歳の頃から活動をされていて。

佐藤:16歳のときにミュージックビデオに出たのが初めてですね。

――そこから12年、ここまででお仕事に対する壁を感じたことはありますか。

佐藤:初めて舞台をやったときですね。二度とやりたくないと思うぐらいしんどかったんですけど、終わったら達成感がすごいですし、芝居というものを知れば知るほど、楽しくて、深いな、と思いました。

――そのときは、とにかくぶつかっていくという感じだったんですか。

佐藤:もう何もわからないんで、ひたすらに。周りは劇団EXILEの町田啓太くん、鈴木伸之くんとか青柳翔さんとか、その中にいきなり素人が1人混じって主役をやっているような感じだったので、当時は本当にきつかったです。けど、それがあったから今があるな、と思います。

でも、基本的にはどのお仕事もすごく好きですね。

――同世代の方にお仕事の相談をされたりするんですか?

佐藤:同世代はいないかな。飲んだときも仕事の話はそんなにしないです。どちらかというと相談されることが多いですね。僕が聞きたがるタイプだからだと思うんですけど。 相当悩んでいない限り、僕自身はしないです。

お芝居に関しては、たまにあるとしたら、岩田剛典さんに。尊敬しているし大好きだし、岩さんは僕の作品をいつも気にかけてくれるので。それこそ、岩さんも今回のような体当たりの役をやられてるので、アドバイスは聞いたりしますけど、聞いてくださいって頼んだりすることはないです。自分で解決しちゃいますね。

――30歳まであと2年。何か成し遂げたいことはありますか?

佐藤:そうですね。いやあ……33までって僕は決めてるんですけど、ここから5年後、ゴールデンの主演をやりたいです。

――すぐにできそうな!

佐藤:いやいや(笑)。5年単位で全部考えているんですけど、あと朝ドラですね。朝ドラ好きなんで。

――どういう役をやってみたいですか?

佐藤:やっぱりヒロインの相手役ができたら一番いいですけどね。さわやかだと思ってもらえるうちに好青年役をやりたいです。ご年配の方々にも知ってもらえますし、巣鴨とか歩いたらみんなに声をかけてもらいたいです。おばあちゃんとかにも(笑)。

(スタイリスト=平松正啓<Y's C>/ヘアメイク=中山伸二<CONTINUE>/撮影=渡会春加/取材・文=ふくだりょうこ)

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