「ばらかもん」最終回:半田(杉野遥亮)の再起のメッセージは「楽」……みんな「きばれよ!」
本記事では、最終回をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
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「ばらかもん」最終回レビュー
終わってしまった。「ハートフル島コメディ」と銘打たれたとおり、仕事や夢に向き合いつつ悩む半田(杉野遥亮)の様子や、五島のみんなとの交流に心が温まる「ばらかもん」が、ついに最終回。考察も恋愛もないけれど、毎週水曜の夜、確実に私たちは癒されていた。父のように立派な書道家になる夢を、いったん保留にした半田。彼は島で書道教室を立ち上げ、そこに通う子どもたちを指導することで、自分の夢を若い世代に託した気持ちでいたのかもしれない。「お前たちの書く字が、俺の字だと思ってる」の言葉に、その思いが込められているように思う。
料理人になる夢をもった浩志(綱啓永)は、調理師学校に通うため東京へ。漫画家になる夢をもった珠子(近藤華)は、思いきって応募した作品が佳作をとる。父の酒屋を継ぐと決めた美和(豊嶋花)は、店を畳んだ父の次のステップに気を揉んでいたが、活路がひらけたことで安心を取り戻した。
そして、なる(宮崎莉里沙)はようやく、優一郎(岡田義徳)のことを「お父さん!」と呼べた。
半田が未来を託そうとした子どもたちは、どんどん成長し、各々の夢や目標を見出して、そこに向かって進み始めている。半田自身も、決して自分の字を模索することを諦めたわけではなかった。
島に住んで、一年。季節を一巡りし、もう一度、春を迎えた。新一年生が入ってこない小学校では、代わりに「一年先生」として、半田の歓迎会がおこなわれる。企画者は、子どもたち。
メインイベントとして、教室中を覆うほどの大きな紙と、体全体で抱え持つような長さの筆を渡された半田。子どもたちや島の人々が見守るなか、見事な「楽」という字を書いてみせた。
「先生には、先生の字を書いてほしい」
いつだって、なるの言葉には裏表がない。下手な忖度がないからこそ、真っ直ぐに届く。きっと半田は、これからもなるたちの先生で居続けるし、立派な書道家になる夢も同時並行で追い始めるだろう。
この物語は最終回を迎えた、けれど、夢や目標を叶えるために進み、ときには迷ったり止まったりする半田やなるたちは、生き続ける。そんな彼らは、思い出したように繰り返すのだ。「きばれよ!」と。
(文:北村有)
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