<『沈黙の艦隊』公開!>現代ミリタリー大作映画“3選”
[※本記事は広告リンクを含みます。]
9月29日(金)に公開予定の大作映画が、かわぐちかいじの代表作を映画化した『沈黙の艦隊』。大沢たかおが主演だけでなくプロデューサーも兼任する入魂の一作です。
大沢たかお演じる海江田四郎は海上自衛隊きっての天才と呼ばれる男。そんな海江田は死を偽装して日米の秘密軍事作戦に参加し、原子力潜水艦の船長となります。ところが極秘裏に行われた試験航海中に突如、乗員ともども反乱を起こし“戦闘国家やまと”の建国を宣言します。
映画『沈黙の艦隊』
圧倒的な信念とカリスマ性の持ち主海江田四郎を体現する大沢たかおに加えて、海江田と因縁深く、その思惑を読み続ける海上自衛隊の潜水艦艦長の深町を玉木宏、そのクルーを水川あさみやユースケ・サンタマリアが演じています。
また、江田の思惑を測りかね、対応に奔走する日本政府の人間として江口洋介・笹野高史・夏川結衣・橋爪功、事態を追い続けるニュースキャスターに上戸彩といった面々が並んでいます。また“アメリカ政府”と“アメリカ海軍”が重要な立ち位置にいることもあって、海外キャスト(&英語セリフ)も多いスケールの大きな映画に仕上がっています。
©かわぐちかいじ/講談社©2023 Amazon Content Services LLC OR ITS AFFILIATES. All Rights Reserved.
監督は『水曜日が消えた』『ハケンアニメ!』の吉野耕平監督という、少し意外なチョイスですが、CGクリエイターとして『君の名は。』にも参加したことがあるだけに、潜水艦による海中戦を見事に映像化しました。
製作にAmazonスタジオが参画しているというのは業界的には面白いところです。
『DEATH NOTE』以降のワーナー・ブラザースや『キングダム』のソニー・ピクチャーズなど、外資系映画会社の邦画参入が珍しくなくなってきましたが、動画配信サービスの王手がメジャー邦画の製作に手を挙げた形になります。
色々な資本が邦画に入ってくれるのはリスクもありますが、可能性を広げることになるので今後に期待です。
現代ミリタリーは難しい。
最初からタイトルを台無しにするようですが、現時点での“自衛目的以外の武力は持たない”という憲法の規定もあって、現代日本を舞台にしたミリタリー作品というのは成立させることが非常に難しい状況にあります。
その辺りの日本の抱える事情は新垣結衣・綾野剛主演でドラマ化もされた「空飛ぶ広報室」や『シン・ゴジラ』の武力行使の描写にも見て取れます。
つまり日本では、例えば『トップガン マーヴェリック』のような積極的かつ好戦的な映画は創りにくいのです。お隣の韓国や中国と比べても本数は圧倒的に少ないでしょう。むしろミリタリーという色を薄くした“怪獣映画”の方が、防衛省が協力した作品が圧倒的に多いのではないでしょうか。
とはいえ1945年以前(日清戦争~太平洋戦争)までが題材になると、本数がぐっと増えてきます。
- 『男たちの大和 YAMATO』
- 『聯合艦隊司令長官 山本五十六 太平洋戦争70年目の真実』
- 『ローレライ』
- 『真夏のオリオン』
- 『永遠の0』
- 『アルキメデスの大戦』
上記のように、パッと思い出しただけでもポンポンとタイトルが上がります。
現代ミリタリー映画3選
日本という国が抱える現実的な事情を考えると、現代ミリタリー映画の中でも、特に大掛かりな作品は多くないと言えます。それでも数年に1本は、スタッフ・キャスト・時間・お金をかなりかけた作品があります。
1:『ミッドナイト イーグル』(2007)
高嶋哲夫の小説を『八日目の蝉』『聯合艦隊司令長官 山本五十六 太平洋戦争70年目の真実』成島出監督が映画化した山岳&ミリタリーサスペンスアクション。
北アルプスで謎の武装工作員と遭遇した元戦場カメラマンの活躍を描く1本です。主人公のカメラマン・西崎を大沢たかおが演じ、その後輩の新聞記者の落合を玉木宏が演じていて『沈黙の艦隊』より先に共演を果たしています。
この2人は『キングダム』シリーズでも絡んでいるのですが、まだまだ“飽き”を感じさせない組み合わせですね。他に竹内結子・吉田栄作・大森南朋・藤竜也といった重厚な名前が並びます。当然というべきですが日本政府側の人間も多数登場し、藤竜也は総理大臣を演じます。
ちなみに“防衛庁”から“防衛省”に格上げされてから初めての全面協力作品です。
▶︎『ミッドナイト イーグル』を観る
2:『空母いぶき』(2019)
『沈黙の艦隊』と同じ、かわぐちかいじの原作コミックの映画化作品です。かわぐちかいじと後述の作家・福井晴敏は現代ミリタリー大作映画のキーパーソンでもありますね。監督は『ホワイトアウト』や『Fukushima50』の若松節朗。
決して遠くない未来に初めて“空母”を保持した日本が舞台で、国籍不明の軍事勢力が突如として日本最南端の領土を襲撃した所が物語は始まります。未曾有の緊急事態の中で“空母いぶき”が現場に派遣されます。
西島秀俊と佐々木蔵之介がW主演の立ち位置に入り、これに藤竜也。村上淳、市原隼人ら自衛官として登場。日本政府の人間として佐藤浩市が内閣総理大臣を演じています。
▶︎『空母いぶき』を観る
3: 『亡国のイージス』(2005)
先述の『空母いぶき』に企画として参加し、映画化を前提に「終戦のローレライ」を執筆するなど、2000年代以降の日本の“ミリタリージャンル”の担い手と言える作家の福井晴敏の同題小説を超豪華キャストで映画化したのが本作。
真田広之・寺尾聰・佐藤浩市・中井貴一という日本アカデミー賞俳優が4人も揃い、その脇を実力派キャストが固めます。また、勝地涼のブレイク作でもあります。
タイトルにもある通り突如として反乱を起こしたイージス艦をめぐるサスペンスアクションであると同時に、最新兵器によって首都・東京が標的となり、残された時間はわずか10時間というタイムリミットサスペンスの要素もあります。
【関連コラム】「真田広之の魅力」をたっぷり堪能!おすすめ“5作品”
▶︎『亡国のイージス』を観る
二重苦を乗り越えて
特に日本においては、先述の事情もあって“国防×エンタメ”というのは難しいものになっています。おまけに、架空でありながらも細かいリアリティを求められるジャンルでもあります。
日本においては現実的な事柄として考えにくいことに真実味を持たせなくてはいけないという、いわば“二重苦”のような状況にあります。
それでもその難問に挑む映画人もいるわけで、今回挙げた3作品や『沈黙の艦隊』がその難題に挑んでいることになりますね。
(文:村松健太郎)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。