『親のお金は誰のもの 法定相続人』三浦翔平インタビュー
本作は三浦翔平演じる弁護士・城島龍之介と、比嘉愛未演じる大亀遥海とその家族が、財産相続をめぐって“家族の在り方”や“隠された想い”に気づいていく物語。
本編に登場する6億円の真珠にちなみ、6億円の使い道について聞かれた三浦翔平の“お金の価値観”とは。
お金は、必要な分だけあればいい
▶︎本記事の画像を全て見る――本作は相続問題や後見成年制度など、“お金”が題材の一つである映画ですが、三浦さんご自身はお金をどのようなものだと捉えていますか?
三浦翔平(以下、三浦):人それぞれ見方によって変わってくると思うんですよ、お金の価値って。
僕が思うに、その人にとって必要な額さえあれば、じゅうぶんだと思うんです。なかったらなかったで、違う感情が出てくるはずだけど。
――ちなみに、今はどんなことに一番お金を使っていますか?
三浦:子どものガチャガチャです。僕たちが子どものころのガチャガチャって、1回2〜300円とかだったじゃないですか。今は1回500円とか、普通にありますからね。ちょっと頭にきますよ(笑)。
――2回やったら1000円になっちゃいますね……。ついつい買ってあげちゃうんですか?
三浦:いや、何かをがんばったご褒美に、ってことにしてます。
――映画には“6億円の真珠”が出てきますが、もし6億円が手に入ったら?
三浦:自分で使うには多すぎるし、何かを成し遂げようと思ったら足りないですね。
――趣味のために使いたい、なんて思うことはないですか……?
三浦:ないなあ。絶対的な好みが自分のなかにできているので、同じものを長く大切に使いたいな、って思うようになりました。
龍之介は「もっと悪くてもいいと思った」
▶︎本記事の画像を全て見る――本作で三浦さんが演じられたのは、幼少期に受けていたネグレクトがトラウマとなり、お金しか信じられなくなった弁護士・龍之介です。役柄をどのように解釈しましたか?
三浦:大人になっても闇を抱えたまま歪んだ性格になってしまって、預金通帳の数字しか信じられなくなった龍之介ですが、どこか母親の愛情に飢えているところもあって。若くして弁護士になり、自身で会社を立ち上げたということは、相当な努力を積んだのだろうというバックボーンもあります。
ラストシーンに至るまでの龍之介の感情の流れについては、田中(光敏)監督と話し合いましたね。自分では気づいていない、でも確実にある母親への思い。それが、比嘉愛未さん演じる遥海と出会い、投げかけられた言葉によって蓋が開く。でも、完全に許せるわけじゃないという龍之介の葛藤、せめぎあいを意識しました。
――基本的にはクールで感情を見せない龍之介ですが、途中で挟まれる幼少期の回想シーンが印象的です。
三浦:負の感情、それでも親を思う、前を向いた感情。台本をもとに田中監督と話し合い、龍之介というキャラクターを深めていきました。
――表面上、龍之介はとても“敵を作ってしまいやすい”性格ですよね。
三浦:実際、最初の打ち合わせのときに「(龍之介は)もっと悪くてもいいんじゃないか」って提案したんですよね。母親への恨みにまみれて育った結果、お金しか信用しない、もっと冷徹な人間にしたほうがエッジが効くんじゃないか、と思って。
ただ田中監督は「(龍之介を)嫌わせたくない」と仰ったんですよ。上辺だけ見れば嫌なヤツだけど、どこかかわいそうで切なくて、人間らしい「でも、わかるよなあ」って思っちゃう部分を残しておきたい、と。龍之介は、そんな監督の思いとともに作っていったキャラクターですね。
意外と、日本神話は奥深い?
▶︎本記事の画像を全て見る――比嘉愛未さんや小手伸也さんなど、共演者のみなさんとのエピソードで思い出深いものはありますか?
三浦:役柄上、小手さんと一緒にいることが多かったんですけど、日本神話の話を延々としてもらいました。天照大神の始まりから現代に至るまで、それはもう、延々と。とにかく小手さんの知識量がハンパじゃないんですよ。
意外と日本神話って、深掘りしてみるとおもしろいんだなあと、勉強になりました。
――なんとも、ロケ地の伊勢志摩らしいエピソードですね。美しい景色も印象的でした。
三浦:田中監督が、すごくこだわって撮影していましたね。ロケ地も含め、ケータリングなどもすべて地元の方たちに協力していただいて。どれも毎回美味しかったですよ、お肉もあるし海産物もあるし。
とくに僕が好きだったのは、牡蠣です。目の前に海が広がっている牡蠣小屋で、そこでしか食べられない養殖の牡蠣をいただいたんですけど、身が大きくて美味しくて。あとは伊勢海老も、思っていたより身は小さかったんですけど(笑)、濃厚で美味しかったですね。
――とても和気あいあいとした現場だったんじゃないかと想像しているのですが、いつも共演者の方とのコミュニケーションで気をつけているポイントはありますか?
三浦:これといってとくにはないんですけど、コミュニケーションが苦手そうな若手の子には、自分から話しかけに行きますね。お互いの役柄や、その立ち位置にもよるんですけど。基本的にコミュニケーションはとるタイプです。
最近は、とくにコロナ禍になってからは気軽にご飯にも誘いにくくなっちゃったので、難しいところではあるんですけどね。それでも、最近の作品で共演した子たちとは、少しずつご飯に行けるようになりましたよ。
見どころだらけの映画になった
▶︎本記事の画像を全て見る――田中監督の演出について、前回の『天外者』と比べての違いを感じられた場面があったら教えてください。
三浦: 強いて言うなら、今回はとくに、走ったり踊ったりといった動きのあるお芝居が多くて。躍動感があるように撮られてたのかな、と思います。
――たしかに、三浦さんをはじめ、小手さんや比嘉さんもステージ上で踊りはじめるシーンがありますね。
三浦:台本をもらったときから撮影当日まで「本当に大丈夫ですか?」って確認してました。
田中監督のすごいところって、お金に関する堅めのシーンや、家族のあたたかいやりとりのなかに、いきなりインパクト抜群の要素を入れても違和感がないところ。あれだけ脳裏に「?」が浮かぶようなシーンでも、観終わったあとは一瞬だけ忘れてるんですよね。ぜひ皆さんにも、劇場で確認していただきたいです。
――そのほか、この映画の「ここぞ!」な見どころを教えてください。
三浦:見どころだらけの映画になりました。いろいろな視点から観られるし、2回目3回目と観てもらえると、点と点が繋がる感覚も味わってもらえるはずです。
6億円の真珠をめぐる相続の問題、それによって浮かび上がる家族の思い、田中監督の伝えたい“愛の形”とは何なのか……。テーマが盛りだくさんの作品なので、観てくださる皆さんそれぞれの感覚で楽しんでもらえたら嬉しいです。
(ヘアメイク=石川ユウキ/スタイリスト=根岸豪/撮影=Marco Perboni/取材・文=北村有)
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