インタビュー

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2023年11月05日

風間俊介インタビュー「今自分が持っているものを愛おしく感じる物語」

風間俊介インタビュー「今自分が持っているものを愛おしく感じる物語」

10月22日からスタートしたドラマ「たとえあなたを忘れても」(日曜よる10時・ABCテレビ)。

浅野妙子オリジナル脚本による、ピアニストになる夢に挫折した美璃(堀田真由)と記憶障害を抱えている空(萩原利久)、そして二人の周りを取り巻く人たちの物語だ。

そんな中で美璃の支えとなるのが、風間俊介演じる、美璃のいとこで心療内科の医師・遠山保。自身が演じる保に「シンパシーを感じる」という風間。作品、そして風間から見た美璃と空の魅力について聞いた。

染み入るような作品になる


――今回のオファーが来たときのお気持ちを教えてください。


風間俊介(以下、風間):「たとえあなたを忘れても」というタイトルに、まず儚さのようなものを感じていました。

浅野さんの脚本を読めば読むほど、物語において記憶が失われるかもしれない、失われてしまうということが分かっていると、それでもうそこに物語が生まれますし、寂しさ、切なさもあって。これを映像にしたらきっと美しいものになるんだろうな、と思っていたんですが、本当に美しくて。染み入るような作品になるのかな、と思っています。

――ご自身が演じられる保というキャラクターについてはどのように捉えていらっしゃいますか。

風間:保は心と向き合う心療内科の医師ということで、いろいろなことに一線を引きながら客観的に物事を見ています。そこに自分の主観や想いをあまり綻ばせないキャラクターだと思うんですね。僕自身もその点にはシンパシーを感じるところがあって。このキャラクターが一線引いて客観的に上からの俯瞰で物事を見ているからこそ、その人をさらに俯瞰して見ることで、キャラクターの中ではなく、もうひとつ奥に行けそうな気がしています。

――シンパシーを感じるのはどういったところでしょう?

風間:それがいいときも悪いときもあるんですけど、話しているときに「この言葉で伝わるかな」「この言葉で興味を持ってもらえるかな」ということを、どこかでチェックしていると思うんですよね。フィルターをかけて話しているから、仲が良い友人からは話し方が胡散臭いと言われることがあるんですけど(笑)。

保自身も優しくて穏やかなキャラクターなんですけど、物語が進んでいくと、寄り添うというよりは、少し離れたところから見守るからこそ、頼りがいがあるけど、少し遠く感じる。どこか達観していると彼に指摘するキャラクターも出てくるんですけど、その人が言う「あなたはどこか常に距離をとっているような気がする。でもそういう人が心のお医者さんになるんだな、とも思った」というセリフは保を造形する中で核となる言葉だな、と思っています。

「これは私の物語かもしれない」


――今回、堀田真由さんが演じられる美璃、萩原利久さんが演じる空は、風間さんから見てどういった魅力がある人物でしょうか。


風間:まず美璃は、すごく共感できるキャラクターではないかな、と思っています。美璃は、経済面での不安だったり、自分が目指していたものが叶わなかった過去だったり、「これが自分なんだ」というものを打ち立てづらかったり。日常の中でどこか立ち行かない想いを抱えている人たちが「これは私の物語かもしれない」と思っていただけるのではないかと思います。

ドラマって、いろんなドラマがあってほしいな、と思っていて。個人的な話になってしまうんですけど、仲良くさせてもらっていて、好きな脚本家の坂元裕二さんが「10元気な人が100元気になる物語はたくさんあるから、マイナスにいる人がゼロになるような作品を書いていきたい」とおっしゃったことにすごくグッと来たんです。

今回、浅野さんが書いてきてくれた作品はラブストーリーと言われているんですが、この作品は多分、見終わった後に、明日自分が目にするものや、今自分が持っているものを愛おしく感じて大切にしようと思う物語だと思うんですよね。

――美璃自身も気づいていくような。

風間:それを気づかせてくれるキャラクターが、日常が消えていってしまう空という存在です。空は誰かの想いを踏みにじりたいわけじゃないのに、踏みにじってしまう可能性を秘めています。本人にその自覚がない、失ってしまったことに気付けていないキャラクターなので、空と対峙する人たちがどういう想いなのか……。

言葉がまとまってないんですけど、このキャラクターたちも同じく答えを出せないでいると思うので。その人は変わってないけれど、その人の記憶から自分がいなくなったとき、その人を変わらずに愛せるのだろうか、だとか。空は、自分が物語や周りを動かしていくんだけど、「革新的に動かしていく」のではなくて、結果的に「動かしていってしまう」んだと思うと、本当に切ないけれども、魅力的なキャラクターだなと思ってます。

――美璃をはじめ、空に対する接し方はそれぞれ異なってくると思うんですが、もし風間さんだったらどのように接すると想像されますか?

風間:リアルな話、1回、2回はできると思うんですよ。でも、「あと何度これが繰り返されるんだろう」と思ったときに、自分ができるかどうかはちょっと分からないんですよね。もしかしたら、慣れて自分の中でフォーマットが生まれるかもしれないですし、辛くなってしまうかもしれないですし。

僕も友人がそうなったら、なのか、子どもなのか、親なのかによって変わってくるな、と思います。今回の物語、空とどう向き合うべきなのか、いろんな人たちの立場があるんですけど、今話しながら、檀れいさんが演じる空の母親というところに、ドキッとさせられていましたね。

ただ歩いているシーンが胸に来る


――今回、神戸での撮影です。スタッフ含めて、すごく良い雰囲気で撮影されているとお聞きしました。


風間:本当に丁寧に撮っています。光ひとつをとって言っても、「今の太陽の角度だったらあともう少し待ったら……」だとか、「今」を切り取ろうとしているんだな、と思うとすごく集中しますし、うっかりミスしたくないな、と思いますよね。

――こだわりを持って撮影されている。

風間:そうですね。1話を観たときに、本当に「会話」が交わされて物語が進んでいるからこそ、会話がなく、ただキャラクターが歩いているシーンが一番胸にくるものがあります。なので、このドラマを観てくださる方々にワガママを言わせてもらえるんだったら、何かをしながらではなく、この作品のためだけにお時間をいただけたら嬉しいな、と思います。

(取材・文=ふくだりょうこ)

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