「ブギウギ」スズ子、東京へ――<第26回>


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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。

「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。小さい頃から歌って踊るのが大好き、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる。

ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第26回を紐解いていく。

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東京の人たち

第6週「バドジズってなんや?」(演出:盆子原誠)はいよいよ東京編のはじまり。バドジズってなんでしょう、気になります。主題歌のブギのウギの「ウギ」もなんでしょう。余談ですが、「ちょうだ〜い」の節には、先日亡くなった財津一郎さんを思い出します。財津さんも若い頃はジャズを歌っていたそうですよ。

昭和13年、4月、スズ子(趣里)秋山美月(伊原六花)は、新設の梅丸楽劇団に入るべく、大阪から東京へ向かいます。

出発にあたり、はな湯の浴場をきれいに掃除するスズ子。儀式のようです。たぶん、梅丸少女歌劇団の稽古場などもお別れに掃除したことでしょう。ここでは劇団との別れより、家族との別れを重要視します。

みんなとのお別れに、ぴょんぴょん跳ねて手を振るスズ子がかわいい。

大阪から東京までの路線図が映って、遠いことがよくわかります。この時代、新幹線はまだありません。新幹線の発明がいかにすばらしいことだったか。

東京についてまず、下宿へ。
銀座が近く、部屋の窓から日帝劇場が見える好立地。

迎えに来てくれた下宿の旦那であり従業員の小村吾郎(隈本晃俊)は無口で身体が大きくてこわい顔していて、でも悪い人ではないようで、その妻で、下宿の主人であるチズ(ふせえり)はものすごーくおしゃべりで、絵に描いたような善人に見えます。隈本晃俊さんもふせえりさんも朝ドラに何作か出演しています。

小村家も花田家のように、妻がしっかり者で、夫はお尻に敷かれている感じ。でも吾郎は料理ができるようで、何もかも妻に頼りきりの梅吉(柳葉敏郎)タイプではないようです。

チズは東京の下宿の設定という説明セリフをペラペラとしゃべっているのですが、畳み掛けるように早口でしゃべるというキャラになっているので、説明がおもしろく見えます。退屈な説明セリフも、聞かせ方によって印象が変わるという好例です。

スズ子と秋山の行きつけになりそうなおでん屋台の主人・伝蔵を演じている坂田聡さんは朝ドラ初出演のようです。
伝蔵も、一瞬、こわそうに見えましたが、ちょっと抜けたところもあって、こわい人ではなさそう。いわゆる頑固おやじの店という感じでしょうか。

スズ子たちは、この屋台で、地元と東京の食の違いを知ります。
言葉も、食も、西と東ではちょっと違う。

大阪局が制作している朝ドラは、大阪を中心に、西方面が舞台になる作品が多いのですが、今回は大阪から東京に移動。なにせ、スズ子のモデルである笠置シヅ子さんの代表曲は「東京ブギウギ」ですから。でも「大阪ブギウギ」もあるのです。「東京ブギウギ」のヒットからご当地ブギが作られたその1作のようです。

東京の梅丸楽劇団はこれから世界レベルのエンタメを目指して、優秀な人材を集めているところ。演出家の松永大星(新納慎也)や作曲家・羽鳥善一(草彅剛)など才能のある人たちに揉まれて、スズ子と秋山がどんな活躍をするのか。

まずはスズ子と羽鳥の出会いが楽しみ。「ラッパと娘」の「娘」にピッタリなのがスズ子なのかーー。


(文:木俣冬)

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