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『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』大ヒットスタート!GACKT・二階堂ふみの魅力を振り返る
『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』大ヒットスタート!GACKT・二階堂ふみの魅力を振り返る
日本を笑いの渦に巻き込み、4年越しにまさかの2作目が公開された『翔んで埼玉』シリーズ。続編である『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』は、初日の興行収入が前作の164.5%(※前作公開2日目との比較)と、さっそく好調なスタートを見せている。
前作と今作合わせた見どころと、主演のGACKTと二階堂ふみの魅力について語りたい。
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ここがヤバいよ!『翔んで埼玉』の魅力
■千葉vs埼玉、大阪京都兵庫vs和歌山滋賀奈良の“出身地対決”
個人的にもっともツボなのが、いがみ合う地方がそれぞれ出身の芸能人をアピールしあうシーンだ。前作では千葉vs埼玉で、まずYOSHIKI(千葉・館山出身)の大漁旗が上がり、対抗してTHE ALFEE 高見沢俊彦(埼玉・蕨出身)の大凧が上がる。
埼玉陣営の麗が「世界的なロックバンド、X JAPANのYOSHIKI!」と声をあげれば(演じているGACKTがヴィジュアル系出身なことも相まって面白い)、阿久津(伊勢谷友介)も「あれは……ライブ本数日本記録を持つ、THE ALFEEの高見沢!くっ……嫌いじゃない」お互い相手陣営の出してきた芸能人に感心している様子なのもまたいい。
その後も次々と芸能人が繰り出され、たまに「弱い弱い」と下げされられる場面まであって笑ってしまう。
この対決が2でもあるから最高だ。今回は大阪・京都・兵庫vs和歌山・滋賀・奈良。それぞれ複数の県だということもあり、「この人もここなんだ」という驚きに満ちていたし、「この人出しちゃうんだ」という攻めの姿勢も素晴らしい。さらに、とある衝撃の展開もあるのでぜひ出身地対決のシーンに注目してほしい。
■対抗心強い地方vs地方のケンカ
笑っちゃいけないけど笑ってしまうのが、敵対し合っている地方の人同士が言い合うシーン。特に千葉出身の妻(麻生久美子)が、埼玉出身の夫(ブラザートム)がヤンキーと思しき改造車に「チバラキのヤローが!」と暴言を吐いたことでキレ散らかすところはすごかった。
「今なんつった?お前今チバラキつったろチバラキって」「だいたいよー、埼玉の田舎暮らしのお前が何で上から目線なんだよ」「熊谷は群馬なんだよ、ぐ・ん・ま」とまくし立てる。巻き舌がすごい。
該当の地域出身の方には腹立たしいのかもしれないが、他人事だと面白い。昔、職場で茨城出身の人と千葉出身の人がどちらがマックスコーヒーの本拠地か言い争っていたことや、埼玉の大宮出身の人が「え、熊谷って埼玉なの?群馬かと思ってた」と言っていたのを思い出してしまった。
そしてこの争い、もちろん2でもある。特に注目してほしいのが京都人のディスり。そして、前作では力を合わせていた埼玉も、大宮vs浦和の激しい戦いが起こるとか起こらないとか。
■デフォルメされる各都道府県
該当都道府県の人に怒られそうなデフォルメも笑ってしまう。千葉は海があるから磯臭いと言われ、使っているトランシーバー(?)も貝である。群馬に至ってはもう現代ですらなかった。
大阪はみんな粉もんを食べている。該当都道府県の方がどう思うかは別かもしれないが、「んなバカな」となりながらちょっと笑ってしまう、頭を空っぽにして見られる感じがいい。
■なぜかいつもHな目にあうGACKT
GACKTが演じる麻実麗は、前作も今作も敵に囚われてしまう。前作では磔にされてピーナッツをねじ込まれそうになったり、(百美の妄想という設定で)乳首を棒でいじられた上に阿久津とディープキスするシーンがある。
新作でも、片岡愛之助演じる嘉祥寺に粉もんを食べさせられ、乳首ドリルされる。もう何なんだかよくわからないけどすごい。ちなみに前作のキスシーンは、その方がBL感がお客さんに伝わってよいのではというGACKT本人の提案だったのだという。俳優たちの手を抜かない姿勢によってこの作品は成り立っている。
■片岡愛之助・藤原紀香・川崎麻世の三角関係
2の見どころのひとつは、実際に夫婦である片岡愛之助と藤原紀香が出演している点だ。二人とも前作の大ファンだったため即引き受けたというが、台本を読んで驚いたという。
大阪府知事(片岡)と神戸市長(藤原)の夫婦なのだが、二人の仲は冷え切っており、妻は京都市長(川崎麻世)と不倫しているのだ。さらに、なぜか3人はいつも同じ家におり、府知事が席を外した途端にいちゃいちゃし出したりする。観ているこちらも「いいのか!?」とびっくりしてしまった。
服装にもそれぞれの府県の特色が出ていて興味深いし、大阪府知事の悪徳な感じ、神戸市長のお高くとまった感じ、京都市長の鼻につく感じと、デフォルメされまくっているがそれぞれそれっぽさがある。
3人とも該当府県出身なので、熱意も一緒に楽しみたい。
■麗しすぎる登場人物たち
麗しい登場人物たちにキャストたちがハマっているのも大きな魅力だ。2.5次元作品を観ているような満足感がある。主役のGACKTと二階堂ふみはもちろんのこと、麗の本当の父親役を演じた京本政樹。二人が親子であるという説得力が凄まじかった。
阿久津を演じた伊勢谷友介も凛々しく、2から登場で男役(桔梗魁)を演じた杏もまた“滋賀のオスカル”という異名に大納得してしまう麗しさだ。もうなんというか、みなさん引き受けてくれてありがとう……という気持ちである。
ちなみに、麗に恋してしまう魁のモーションのかけっぷりがまた耽美ですごかった。東京に残る百美には気が気でないが、いいものを見せてもらった。
そして2に出演できなかった伊勢谷について、なかったことにするのではなく「阿久津はどうした?」と聞かれても側近の海女たちはうつむくだけで無言。ギリギリだがなかったことにしない愛情と笑いに変えるポジティブさを個人的には感じた。
GACKT
GACKTのこの作品での魅力と、これまでの作品を振り返る。『翔んで埼玉』
まず前作では高校生役ということで、一度は断ったという。さらに、続編を作ると聞いてやめた方がいいのではと言ったという。不安があったようだが、完成した作品ではそんなことを微塵も感じさせないハマりっぷりと振り切りっぷりだ。
『翔んで埼玉』の耽美だがふざけている(が当人たちは大真面目)な世界観は、二次元感のあるGACKTが演じたことで説得力を持って成立しているところが大きいと思う。
よく引き受けたな、ここまでやるのか、と何度思ったことだろう。美しくかっこよくありながら、ギャグやお色気要素もこなす。原作の魔夜峰央先生じきじきのオファーだったということだが、まさにGACKTにしかできない役だ。
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『BUNRAKU』
GACKTのハリウッドデビュー作となったのが『BUNRAKU』。彼が演じたのは、核戦争後の荒廃した世界で、曽祖父の代に奪われた家宝を取り戻しにやってきたサムライ・ヨシ。 長い黒髪を結び、袴を着た姿が凛々しい。本作品の見どころは、スタントを一切使わなかったというアクションシーンだ。
特にジョシュ・ハートネット演じる流れ者と腕くらべをするシーンは、武士とガンマンでありながらお互い素手でやり合っており、迫力がある。なんとこのシーンの撮影で救急車に運ばれたり、歯が折れて接着剤でやり過ごしたりしたというから、どれだけ本気でこの作品に取り組んでいたかが伺える。
(C)2010 BUNRAKU PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
そして単純にジョシュ・ハートネットとウディ・ハレルソンと並ぶGACKTにちょっと感動する。ストーリーがやや弱めでツッコミどころが多くもあるのだが、とびだす絵本のようなセットの映し方、カラフルな色使いや質感などが可愛くて面白い作品だ。
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アーティストとしての魅力
歌手としても活動するGACKTは、男性ソロアーティストの「オリコンシングルランキングTOP10獲得作品数」において日本で首位の記録を持っている。ここで、彼のアーティストとしての活動を少し振り返りたい。筆者がGACKTの存在を知ったのは、ヴィジュアル系ロックバンド「MALICE MIZER」の2代目ヴォーカルとして世に出てきたときだ。中世ヨーロッパのような衣装に身を包んだ彼らは世界観が確立されており、ビジュアルもサウンドも印象的なバンドだった。世界観にマッチしたGACKT(当時の表記はGackt)の圧倒的な美貌と麗しい歌声には、このジャンルを好きな人なら一目置いていた人も多かったのではなかろうか。
ちなみに『翔んで埼玉』のビジュアルは、MALICE MIZER時代のGACKTと近しいところもあり、懐かしく思い出した人もいるのではないだろうか。
その後ソロとなり、衝撃を受けたのが2曲目の「Vanilla」。
1曲目の「Mizérable」は、それまでのイメージと近しいところもあったのだが、ダンサブルなサウンドで踊る彼の姿はなかなかに衝撃だった。歌詞、めちゃくちゃ韻踏んでるし。それにしてもこのMVのビジュアル、FFの登場人物のようでこれまた美しい。
二階堂ふみ
二階堂ふみのこの作品での魅力と、これまでの作品を振り返る。『翔んで埼玉』
「埼玉県人にはそこらへんの草でも食わせておけ!」といった暴言と、もはや変顔なのではという激しい表情が印象深い百美。
初の男性役ではじめは戸惑ったというが、ものすごい振り切りっぷりだ。前作では、恋を知って変わっていく様子も見せてくれた。新作では他の者たちのお話にならない様子を見て「バカすぎる」と言うなど、毒舌も健在だ。
関西に行く麗に留守番を頼まれ関東に残るため、麗の身の安全や浮気など、さまざまなことを心配するポジションだ。そして彼の身にとあるトラブルが起こったときの様子がまたすごい。公開直前の証言映像でのなりきりっぷりも素晴らしいのでぜひチェックしてほしい。
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『人間失格 太宰治と3人の女たち』
“衝撃的”の意味で記憶に新しいのが、『人間失格 太宰治と3人の女たち』で演じた富栄だ。戦争から帰らない夫を待つ美容師だった彼女は、はじめは奥手な女性だった。だが太宰と恋に落ちることでどんどん溺れていき、精神が不安的になっていく。とうとう最後は「死にたいんです、一緒に」と笑顔で太宰を誘って心中してしまう。
(C)2019「人間失格」製作委員会
同じ“恋を知って変わっていく”という点では百美と一緒なのに、こちらは怖いというか、やばい。映画を観て“メンヘラ・ヤンデレ”と評する人が多かったのも頷けるし、登場人物として好きかと言われたらあまり好きになれない。
しかしその中でも、人が恋に溺れて狂っていく様子を体当たりの演技で見せてくれ、濡れ場ももっとも大胆だった。観ているこちらに恐怖を感じさせるほどの一途さはすごかったし、彼女の俳優人生の中で大きな意味を持つ役だと思う。
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「プロミス・シンデレラ」
これまで紹介した2役とは違う芯の強さが魅力的だったのが、ドラマ「プロミス・シンデレラ」の早梅役だ。不倫した夫に別れてほしいと言われて飛び出し、公園でホームレス生活を送るというどん底の境遇から物語は始まる。
性悪なボンボン・壱成(眞栄田郷敦)に嫌がらせされたのがきっかけで、なぜか彼の家に住み、彼の入れがやっている旅館で働くことになる。
早梅がとにかく筋の通った女性で、観ていて気持ちいい。初回では、壱成の「セレブパーティーの主役に恥をかかせる」というミッションのために参加したパーティーで調子に乗りすぎた壱成を「やりすぎだ」とバースデーケーキに沈める。それを見て壱成をバカにし始めた主役の女の顔にもケーキを投げつけ、「うっさいブス」と言い放つシーンは最高だった。
育った環境もあり人に頼れないところが弱みではあるのだが、少しずつ壱成と惹かれあっていく様子もまたいい。
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『翔んで埼玉』第3弾にも期待?思い切り笑える作品
「くだらないと笑ってくれたらうれしい」とGACKTも言っていた『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』。舞台である関西エリアでは、前作と比較して330%のスタートを記録するほどだそうだ。
ぜひ大画面で観て楽しんで、笑ってきてほしい。日本はまだまだ広い。なんなら第3弾も観たくなってしまったのは私だけだろうか。
(文:ぐみ)
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(C)2023 映画「翔んで埼玉」製作委員会