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2023年12月06日

「大奥」第20話:ついに“帰りたい場所”となった大奥。いくつもの無念は綺麗な願いの結晶に

「大奥」第20話:ついに“帰りたい場所”となった大奥。いくつもの無念は綺麗な願いの結晶に


NHKドラマ10「大奥」のシーズン2が2023年10月3日に放送開始となった。よしながふみの同名漫画を原作に、3代将軍・家光の時代から幕末・大政奉還に至るまで、若い男子のみが感染する奇病により男女の立場が逆転した江戸パラレルワールドを描く本作。シーズン2の後半「幕末編」では、古川雄大、愛希れいか、瀧内公美、岸井ゆきの、志田彩良、福士蒼汰らが出演する。
本記事では、第20話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。

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「大奥」第20話レビュー

「瀧山。生きるとは、ただ別れるだけのことなのか?」

瀧山(古川雄大)にそう問いかけた天璋院(福士蒼汰)と瓜二つだった有功が、大奥に連れてこられてから約200年。一体、何人が無念の死を遂げたことだろう。志半ばで理不尽に命を奪われた者、愛する人の顔を浮かべながら死んでいった者……。目を閉じれば、色んな人の顔が浮かび、彼らの無念を想像するだけで胸が痛む。そしてまた一人、まだこれからという人物が天へと召されていった。

3代・家光以来の上洛で、孝明帝(茂山逸平)と対面を果たした家茂(志田彩良)。勝(味方良介)の助言に従って開国の必要性を説いたところ、男性の装束で駆けつけた家茂の心意気もあり、孝明帝から理解を得ることができた。だが、家茂には頼みたいことがもう一つ。それは和宮(岸井ゆきの)の存在を明らかにし、孝明帝の妹という証となる宸翰(しんかん)を賜ることだった。

母親である観行院(平岩紙)からその存在を隠されていた和宮。結局は大奥にきても観行院の心は変わらず弟の元にあり、最終的には京都へと帰っていった。しかし、和宮の母親に執着する気持ちも薄れたように見受けられる。それは無条件に一緒にいたいと言ってくれる家茂がいるからだろう。家茂は側室も持たず、和宮との間に亀之助という養子を迎え、ともに育てることを決めた。

女性同士の家茂と和宮が血の繋がらない亀之助を父と母として囲む光景に、私は一瞬にして色んな人の顔が浮かんだ。愛する有功との間に子ができず、好きでもない相手と関係を持たなければならなかった家光(堀田真由)。同じように子を作ることを強いられ、何人もの男性と寝所をともにする必要があった綱吉(仲里依紗)。そんな綱吉を愛するがゆえに自ら手にかけた吉保(倉科カナ)。ただ一緒にいたいからいる家茂と和宮は、彼女たちの願いを代わりに叶えたとも言える。

しかし、そんな二人もまた理不尽に引き裂かれる。かねてより脚気を患っていた家茂は体調が優れない中、慶喜(大東駿介)が勝手に決めた二度目の上洛中にそのまま帰らぬ人となった。和宮の元に帰ってきたのは、家茂がお土産として買った打掛と袿が一着ずつ。二人はそれを着て、とりかえばや遊びに興じる約束をしていたが、果たされることはなかった。

最後の最後まで和宮のことを気遣っていた家茂。死に目に居合わせた志摩(中村アン)にも「心安らかに旅立ったと伝えて」と訴えていた。だが、志摩は敢えて真実を伝えた。胸をかきむしるほどに苦しみ、「親子さまに会いたい」「大奥に帰りたい」と悔やみながら死んだということを。あまりにも苦しい。けれど、そのおかげで和宮はどれほど自分の存在が家茂にとって大切であったかということを知ることができた。

生きるとは、ただ別れるだけのことではない。家光と有功の時代から多くの者たちが無念の死を遂げてきたが、彼らの願いは次の世に、また次の世にと託され続けてきた。その結果が、短い時間ではあったが家茂と和宮が肩を寄せ合い過ごした幸せな日々なのだ。だからこそ、家茂にとって大奥は帰りたい場所となり得た。

だからきっと、家茂のやり残したことも誰かが引き継いでくれる。戦を回避し、人々の平穏な日々を守ることに心血を注いだ彼女の思いを。そして大政奉還、江戸城無血開城と時代は進んでいき、ついに願いの結晶のような大奥は終焉を迎える。

(文:苫とり子)

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