続・朝ドライフ

SPECIAL

2023年12月12日

「ブギウギ」愛助の実家・村山興業は「わろてんか」の北村笑店<第52回>

「ブギウギ」愛助の実家・村山興業は「わろてんか」の北村笑店<第52回>


「木俣冬の続・朝ドライフ」連載一覧はこちら

2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。

「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第52回を紐解いていく。

[※本記事は広告リンクを含みます。]

▶︎「ブギウギ」画像を全て見る

「ブギウギ」をU-NEXTで視聴する

偶然に次ぐ偶然

 スズ子(趣里)の前に突然、現れた青年・村山愛助(水上恒司)
スズ子の大ファンだと言います。
梅丸楽劇団での「ラッパと娘」を見て、心打たれたことを滔々と語ります。
真面目に褒めながら、「こんなおもろい生き物」と言ってしまうところもご愛嬌。

不器用だけど、好青年ふう。宿代の半分も出して去っていった愛助は何者。
偶然、帰りの汽車でも乗り合わせます。
でも小夜(富田望生)は泥棒呼ばわり。追いかけて来たに違いない、「この世に偶然はねえ」と疑います。

混んでる汽車のなかで、泥棒、泥棒と、証拠もないのに大騒ぎするのは、感心しません。
同席の少女チセが愛助をかばいます。お芋もくれたと。

スズ子は、貧乏な学生さんと思い込んでいますが、宿代は半分払い、芋を譲り、と気前がいいというか、羽振りがいいというか。

その愛助を、たまたま居合わせた軍人が「坊っちゃん」と呼び、うやうやしく接します。
なんと、愛助は有名な村山興業の御曹司でした。

お金持ちだから宿代の半分くらい払えてしまう。でも、けっしてえらぶらず、むしろ謙虚。おとなしいのは、食事の席で「僕は戦地は……」と言っていたので、カラダが弱くて戦地に行けないのかもしれません。そこが六郎(黒崎煌代)とは違います。しかし、スズ子は、六郎を亡くしたのに、戦地に行くでしょ、と世間話のように切り出すのが意外な気もしますが。

村山興業の御曹司と聞いた途端、五木(村上新悟)が態度を急に軟化させます。まったく調子のいい人です。

汽車で偶然、隣り合わせる、知り合いの軍人が現れる……と、これは、朝ドラ名物「ご都合主義」
であります。それはともかくとして、村山興業は、吉本興業をモデルにしているとは明言してはいませんが、暗黙でそういう感じです。
つまり、「わろてんか」のヒロインてん(葵わかな)が切り盛りしていた北村笑店とほぼ同じです。
「わろてんか」では、てんの息子は準也で成田凌さんが演じていました。

愛助の正体がわかったところで、小夜が失くしたお金を見つけます。足袋のなかに入っていたなんて、お風呂にも入らず、寝る時も脱がなかったのでしょうか。不自然過ぎる。これは、愛助登場に合わせた吉本新喜劇的なドタバタのノリ?(偏見?)と思いましたが、考えてみれば、ないないと大騒ぎしたすえ、意外なところにあったという経験は誰しもあるものです。

小夜のドタバタなふるまいを、スズ子の歌う「ふるさと」が一気に浄化します。
少女のリクエストで歌うスズ子を、汽車の乗客たちは、しんみり聞き惚れます。一井(陰山泰)のトランペットの伴奏がさらにムードを高めました。

汽車の走行がずいぶんと静かで、まるで汽車が停まってしまったのかと思うような雰囲気でしたが、スズ子の歌で、世界が一瞬、止まったようなイメージかもしれません。

汽車に乗り合わせた人たちは、それぞれの目的地に向かっています。少女が、故郷を離れ岡山に行くのがちょっと寂しく思っているように、楽団の人たちは東京で公演できないから地方を転々と回っていて。汽車に乗る人は皆、目的に向かう希望や不安を抱えています。スズ子の「ふるさと」はそんな心に染みて、汽車のなかはひととき、永遠になったのです。

放送後の「あさイチ」では水上恒司さんがゲスト出演。大阪弁の難しさを語っていました。

(文:木俣冬)

“朝ドラあるある”満載!「朝ドラ辞典」を見る


木俣冬著「ネットと朝ドラ」、現在好評発売中

「ブギウギ」をU-NEXTで視聴する

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

(C)NHK

RANKING

SPONSORD

PICK UP!