「ブギウギ」スズ子、「義理と人情」で誘拐未遂犯人を雇う。<第118回>
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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。
「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第118回を紐解いていく。
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アユミのお願い
なんて寛容な社会。愛子(このか)の誘拐未遂というか恐喝未遂犯である小田島(水澤紳吾)が息子・一(井上一輝)を連れて東京に戻ってきました。
世話してくれた親戚が北海道に引っ越すことになり、戻って来たのです。
一はけろっとしているし、スズ子は小田島と名前を聞いて「犯人」と気づくくらいのとぼけた感じで、仕事を探しているという小田島を、家事手伝いとして雇います。
小田島ははりきって庭の手入れをはじめます。
おもしろくないのは、タケシ(三浦獠太)です。
身代金の受け渡しで小田島と格闘して、怖い目にあったタケシですから、そんな人物を家に招き入れるなどありえないとスズ子に物申します。
「この世は義理と人情や」とスズ子は答えます。
ツヤ(水川あさみ)仕込みの「義理と人情」。
スズ子は滅多にその言葉を口にしませんが、小夜(富田望生)やタケシを雇ってきたのは、そういうことです。小夜には義理はないけど人情で、タケシは、山下(近藤芳正)への義理でしょう。タイ子(藤間爽子)にも義理と人情を返しました。
「なんもないからこそ義理立てするんや。なんぞええことあるかもしれへんやろ」(スズ子)なんもなくても義理立て? よくわかりませんが、自分が何かしたら、相手が義理を返してくれることもあるかもしれないという逆転の発想でしょうか。「なんぞええことあるかも」というのはそういうことでしょう。ちゃっかりしてるな。
いや、でも、世間は狭い。悪いことはできない。という言葉もありますし、いつどこで助けてもらえるかわからないからこそ、出会いを大事に、他人にやさしくしたほうがいいということでしょう。
その義理と人情の対象になりそうな人物が現れます。それは水城アユミ(吉柳咲良)です。スズ子がこの道を歩む上で、指針になった大先輩・大和礼子(蒼井優)の娘だったのです。
いまをときめく新鋭で、スズ子の立ち位置を危うくする脅威であるアユミ。年末の「男女歌合戦」でスズ子のトリの前という、かなりいいポジションになることを認めただけでも、十分、義理を返したといえそうですが、更に――。
「こんなこと言えた”義理”やないんやけど」とアユミの父であり、マネージャーの股野(森永悠希)が頼んできたのは、そのとき「ラッパと娘」を歌いたいということでした。
いくら義理と人情とはいえ、大事な持ち歌を、新人歌手に歌わせるのは簡単に許可を出せません。自分のために作ってくれた羽鳥(草彅剛)にも聞かないといけないと悩んでいると、「真相婦人」に飛ばし記事が出てしまいました。
例の鮫島(みのすけ)が喫茶店でスズ子と股野とアユミが話しているのを見かけて、写真を隠し撮りし、記事を書いてしまったのです。
喫茶店の外からなんで話の詳細がわかるのか謎ですが、あとでお店の中にいた人から話を聞いて、それももとに記事をでっち上げたのかもしれません。おそろしい、鮫島。
マネージャーのタケシは自分の知らないところで大事な話を進めたすえ、記事を書かれたことで、面目を潰されブチ切れます。
こういう話は、せめてホテルのラウンジとかで。喫茶店でも個室のある店で。
スズ子はいつまでも庶民感覚なのかもしれないですし、たまに、こんなとこに芸能人が!と驚くシチュエーションもありますが(先週のTBS系ドラマ「不適切にもほどがある!」でも大衆的な喫茶店「SCANDAL」に小泉今日子が来店していました)、街の喫茶店に紅白……じゃない「男女歌合戦」に出るくらい人気のスズ子とアユミがいたら、喫茶店も大騒ぎになりそうです。
(文:木俣冬)
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