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2024年07月07日

『蛇の道』オリジナル版の脚本家・高橋洋はリメイク作をどう見た?

『蛇の道』オリジナル版の脚本家・高橋洋はリメイク作をどう見た?

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『岸辺の旅』(14)で第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞に輝き、『スパイの妻 劇場版』(20)では第77回ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞を受賞、『Chime』(24)のワールド・プレミアを第74回ベルリン国際映画祭で行うなど、世界三大映画祭を中心に国際的な評価を次々に獲得し、世界中の映画ファンから熱い視線を浴び続けてきた監督・黒沢清。

『蛇の道』は、そんな黒沢監督が、98年に劇場公開された同タイトルの自作をフランスを舞台にセルフリメイクし、自ら「最高傑作ができたかもしれない」と公言するほどのクオリティで放つリベンジ・サスペンスの完全版である。

この度、1998年に公開されたオリジナル版『蛇の道』の脚本を務めた高橋洋のコメントが到着した。

脚本家・高橋洋が見た、リメイク版『蛇の道』


高橋はJホラーブームを牽引した『リング』シリーズを手掛ける脚本家で、黒沢清監督とは1997年のオリジナルビデオ作品『復讐 運命の訪問者』で初めてタッグを組み、その後1998年には『蛇の道』『蜘蛛の瞳』と復讐3部作を立て続けに制作。旧知の仲であり黒沢監督にとっても盟友と呼べる存在だ。

今回、フランスの制作会社からリメイクのオファーを受け、真っ先に『蛇の道』をリメイクしたいと答えたという黒沢監督。


フランスでリメイクされると知った高橋は、「黒沢さんが特にこの作品を気に入っていることは前から知っていたのですが、リメイクすると知って嬉しかったですし、驚きました。黒沢さんがこの物語を語り直すとしたらどうなるんだろう、というのが今回のフランス版のメインだなと感じました」と、全く新しい映画として受け入れ、大きな期待を寄せたという。

オリジナル版から大きく改変した部分は、主人公が男性から女性になっている点だが、これに対し高橋は「オリジナルは哀川翔さんがありきだったので、それがなくなるときにどうなるんだろうと考えました。東洋人の女が復讐の主体であり、さらにそれにアルベールが依存しているというのは異様なものがありました」と、フランス人男性の中で一人、日本人女性の存在が異彩を放っていたと印象を明かす。


監禁・拷問シーンなどはオリジナル版を踏襲しつつも、クライマックスには全く異なる衝撃の展開が待っているが、「僕はこの映画のラストのやりとりが一番怖いと感じた」と高橋はいう。

柴咲コウ演じる小夜子とその夫、青木崇高演じる宗一郎のワンシーンは、主人公を女性に改変したことによって、より一層恐怖を感じさせる。是非劇場で確かめていただきたい。

『蛇の道』作品情報

【予告編】


【ストーリー】
ジャーナリストのアルベール・バシュレ(ダミアン・ボナール)とパリのとある病院で心療内科医として働く新島小夜子(柴咲コウ)は、高級アパルトマンの1階で、エレベーターから出てきたミナール財団の元会計係ティボー・ラヴァル(マチュー・アマルリック)を襲撃。ガムテープで身体をぐるぐる巻きにし、寝袋に押し込むと、車で郊外の廃墟と化した隠れ家に連れ去り、監禁する。壁の鎖に繋がれたラヴァルの前に、無言のまま液晶モニターを運んでくるアルベール。スイッチを入れ、そこに少女が微笑むホームビデオが映し出されると、彼はようやく「僕の娘だ。殺された」と重い口を開き、「娘のマリーは財団関係者に拉致された。あなたがやった。そうですね?」と詰め寄る。 だが、ラヴァルは「私はやってないし、何も知らない」と嘯くばかり。イライラを募らせたアルベールは拳銃を彼の頭に突きつけるが、小夜子に「焦らないで。時間はいくらでもあるんだから」と言われ、銃を取り上げられると、ようやく平静を取り戻し、その場を立ち去る。

すると、背後から「後で後悔するぞ」という、脅すようなラヴァルの声が聞こえてきたから、小夜子も黙ってはいない。一瞬の迷いもなく、彼のぎりぎりのところを狙って銃弾を撃ち込むと、鋭い眼差しで「このあたりには誰も住んでいない。いくら叫んでも、助けは来ないわ」と吐き捨てた。アルベールと小夜子が出会ったのは3ヶ月前。娘の死のショックで精神を病み、小夜子が勤める病院に通院していたアルベールに、「私は 心療内科の医師です。5分ほどよろしいですか」と小夜子が声をかけたのが最初だった。そのときのことを思い出しながら、「結局、君まで巻き込んでしまった。どんなに感謝すればいいか」とアルベール。「いよいよね。ふたりで最後までやり遂げましょう」という小夜子の声にも力が入る。

彼らは本気だった。ラヴァルが「トイレに行かせてくれ」と叫んでも、失禁しても放置し続け、空腹を目で訴える彼の前でプレートに乗った料理をぶちまける酷い仕打ちを続けたのだ。そんなある日、過酷な状況に耐えきれなくなったのか、ラヴァルから驚きの証言が飛び出す。ミナール財団には有志たちが作った孤児院のような児童福祉が目的のサークルがあって、ラヴァルは「集められた子供たちはどこかに売られていったのではないか?子供たちを売買して売れ残ったら始末する、そんなことができる黒幕は財団の影の実力者ピエール・ゲラン(グレゴワール・コラン)しかいない」と主張したのだ。だが、鵜呑みにはできない。ラヴァルから聞き出したピエールが潜伏する山小屋に向かったアルベールと小夜子は、猟師と一緒に山から帰ってきた彼を脅し、拘束。ピエールの入った寝袋を引きずりながら、猟師の追撃を振り切るように森林、丘陵地帯を駆け抜け、隠れ家に戻ると、ラヴァルの横の鎖にピエールを繋いでふたりを突き合わせる。するとやがて、彼らの口から、それまでのすべての出来事を覆す衝撃の真実が浮かび上がってきて…。 果たして、アルベールの娘マリーは、誰に、なぜ殺されたのか。事件の思いがけない首謀者とは─。

国境を越えた“徹底的復讐劇”の先に待つ真実とは──

【クレジット】
出演:
柴咲コウ ダミアン・ボナール
マチュー・アマルリック グレゴワール・コラン 西島秀俊
ヴィマラ・ポンス スリマヌ・ダジ 青木崇高

監督・脚本:黒沢清

原案:『蛇の道』(1998年大映作品)

公式サイト:https://eigahebinomichi.jp/

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