続・朝ドライフ

SPECIAL

2024年08月22日

「虎に翼」明律大学女子部法科全員集合!<第104回>

「虎に翼」明律大学女子部法科全員集合!<第104回>


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2024年4月1日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。

日本史上で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。困難な時代に生まれながらも仲間たちと切磋琢磨し、日本初の女性弁護士となるヒロイン・寅子を伊藤沙莉が演じる。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第104回を紐解いていく。

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寅子、再婚

法的な婚姻届を出さない、事実婚にしようと提案した航一(岡田将生)に、寅子(伊藤沙莉)は今回は自分が折れると言いますが、それでは「愛情を利用した搾取になってしまう」と航一は譲りません。あくまでも穏やかに。

寅子の思いをとことん優先してくれる、すてきな航一さん。
遺言書を根拠に「夫のようなものを名乗る」と言う航一。彼は全世界に、寅子が僕の妻と公言したい人(映画祭のレッドカーペットを並んで歩くみたいなことでしょうか)なのに、
「夫のようなもの」に希望を少しだけ謙虚にするところが立派です。

遺言書を交わしたふたりは事実上の夫婦になりました。「内縁」とも言います。世の中には「事実婚」という考え方があるのですが、さすが寅子と航一は法律家だけあって、お互いが亡くなった場合、財産分与をどうするか、ちゃんと文書で記録しました。そう、事実婚ですと、遺産がもらえなかったり、各種手続きにおいても、法的な家族と認められないために不具合が生じてしまうのです。そうならないように、ふたりはしっかり手を打ったようです。

寅子と航一が事実婚を選んだのは、轟(戸塚純貴)たちのように法的な結婚を認められていない同性の恋人たちの実情を知ったこともあるのかもしれません。事実婚でも遺言書を作ることで法的な根拠になる可能性を提示してみせたのかなと。

すこし疑問なのは、寅子の想いを優先することがこのドラマの趣旨とはいえ、子供たちの立場をあまり気にかけてないことが不思議なのです。再婚にあたって、まず子供たちの置かれる状況に気を使うものとは世間が勝手に決めた常識に過ぎず、あくまでも自分がどうしたいかが優先順位の一番にくるものだということをドラマでは徹底しているようなのです。そこに引っかかりを覚えてしまうと、ドラマがすこし楽しめなくなります。このドラマを素直に享受できる人は、周囲に影響されない、自分をしっかり持っている人だと感じます。

ドラマのあちこちが気にかかってしまう人は、いつも周囲の反応を気にして自分の言動にブレーキをかけてしまいがちな人なのかなと。いや、もっと自由にやりたいことをやっていいのだと、このドラマは寅子を通して提案している気がします。ほんとうにそれは大事なことです。その一方で、いろいろ気にする人は、いろいろな可能性を考える、思慮深い、すてきな人だと筆者は思います。

新婚の直明(三山凌輝)は結婚式をあげますが、寅子はいわゆる普通な結婚式には心が踊らないようです。再婚だと式をしない人もいますね。でも、直明は寅子にもセレモニーを用意しようと考えます。直明は、寅子のみならず、家族たちが自分を大学にいかせてくれていまがあることを感謝して、その気持をなんとか表現したいと思ったようです。立派になって、結婚して、家族みんなが笑って泣いて、それが一番と噛み締める場面は心を打ちました。

直明が中心になって行った企画は、ばらばらになった明律大学女子部法科の面々を竹もとに集めることでした。
法服を着た仲間たちが勢揃い、寅子の再婚を祝います。同期も先輩たちも、みんなニコニコしているのですが、よね(土居志央梨)だけは澄ました顔。キャラが徹底しています。
皆が着ている法服は本物ではなくて、衣裳的なものでしょうか。本物は仕事以外で着るのはきっと許可されていないでしょうし(誰か教えて)。

寅子の再婚と平行して、原爆裁判の準備が着々と進行しています。昭和30年10月、第2回準備手続きが行われます。国側は賠償責任はないと主張し、原告側は広島への原爆投下は国際法に違反していると主張し、両者一歩も譲りません。

折しも法律を志した女子部卒業生たちが集まったとき、原爆裁判という重要な裁判が行われていることに意味を感じざるを得ません。


(文:木俣冬)

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