「虎に翼」航一(岡田将生)、桂場(松山ケンイチ)に膝枕される<第125回>
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2024年4月1日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。
日本史上で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。困難な時代に生まれながらも仲間たちと切磋琢磨し、日本初の女性弁護士となるヒロイン・寅子を伊藤沙莉が演じる。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第125回を紐解いていく。
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美雪は美佐江の……
航一(岡田将生)は意を決したように桂場(松山ケンイチ)を訪ねます。話の流れから、朋一(井上祐貴)が家裁を辞める問題に関することを何かお願いに来たのかと思ったら、尊属殺に関することでした。
尊属殺とは、親殺しは重罪になることです。殺しに至るには理由もあるわけで、かつて穂高(小林薫)が違憲を唱えました。が、無念にも合憲とされて(昭和25年)、いま(昭和46年)に至ります。
それを今回、美位子(石橋菜津美)の義父殺しの事件で、今一度、考え直すときが来たのです。
時期尚早とつっぱねる桂場に、航一は激しく意見します。
興奮して頭に血が上ったのか、鼻血を出して倒れてしまい、寅子(伊藤沙莉)が迎えに来たとき、桂場の膝の上で寝ていました。
長いことを膝を貸していた桂場は足が痺れて立ち上がれず……。
どシリアスのあとのコメディ展開はありとして、鼻血が出るほど激するって、航一、いま、何歳でしたっけ? 60代に近いはずですが、岡田将生さんが若すぎて、血気盛んな若者の話に見えてしまいました。
話が飛びますが、次週予告で、尊属殺の大法廷にて「いけ〜!山田(土居志央梨)〜!」と轟(戸塚純貴)が叫んでいるのを見ても、これは若者が主人公のドラマだと感じます。朝ドラは主人公が晩年になるとゆったり落ち着いてしまっておもしろみが欠けていくため、もがき苦しみ躍動する若者のドラマ化したほうが感情移入できるでしょうから、あえて年齢は高齢でも若い感覚で描くというのはひとつのアイデアではあると思います。
航一と寅子が家に戻ると、子どもたちが高級肉を買って待っていて、エリート星家は贅沢に肉とワインで盛り上がります。最高裁長官の家系の良家がこんなにもちゃらっとしている。どこも同じ人間ということかもしれません。エリートの人たちの残念な言動を我々庶民はよく見ていますから。
年が開けて昭和47年、家裁に美雪(片岡凜)の祖母・佐江子(辻沢杏子)が訪ねてきて、美雪が美佐江の娘であることを寅子に明かします。美佐江は一冊の手帳を残して亡くなっていました。
その手帳には、新潟では無双だった美佐江が、東京に出てきてから新潟のときのようにいかなくなった悩みが綴られ、あの人を拒ばなければ何かが変わっていたのだろうかと思いを馳せているのを読んだ寅子は愕然となります。
「あの日、あと一歩だったのに それなのに それなのに私は…… 私のせいで」
あの日とは、第91回、美佐江が寅子に「なぜ人を殺していけないのか」と問いかけたとき、娘・優未がやって来たため、美佐江から娘をかばうようにしてしまい、美佐江の気分を害してしまったことがありました。
それっきり彼女とは関わりがなくなったはずで、寅子は、美佐江との対話の可能性を閉ざしてしまったのだと、20年経って気づいたのです。
劇的な展開ですが、ちょっとわからないのは、家裁では調査が大事とされているにもかかわらず、美雪の身元や生い立ちのようなものを寅子が事前に知ることはなかったのでしょうか。少なくとも母が亡くなり祖母が面倒を見ているということは認識したうえで関わっているとは思うので、母親はどうしたのだろう、母親の名前は美佐江ーー美佐江? とかなりそうなものですが。このドラマは一筋縄ではいかないところばかりです。あと一週!
(文:木俣冬)
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