『おむすび』ハギャレン対恐喝ギャル【第15回】


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2024年9月30日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「おむすび」。

平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結(よねだ・ゆい)は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。「何事もない平和な日々こそ一番」と思って生きてきた結。しかし、地元で伝説と化した姉の存在や、謎のギャル軍団、甲子園を目指す野球青年など、個性的な面々にほん弄されていく。そんな仲間との濃密な時間の中、次第に結は気づいていく。「人生を思いきり楽しんでいいんだ」ということを――。
青春時代を謳歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。そして目指したのは“栄養士”だった。
「人は食で作られる。食で未来を変えてゆく。」 はじめは、愛する家族や仲間という身近な存在のために。そして、仕事で巡りあった人たちのために。さらには、全国に住む私たちの幸せへと、その活動の範囲を広げていく。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。
今回は、第15回を紐解いていく。

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平穏無事はさみしい?

ハギャレンのみんなが家に来たことを知らないお父さん(北村有起哉)。実は組合の集まりの帰り、ハギャレンを見かけているのですがそこに結(橋本環奈)が混じっていたことには気づいていません。
聖人はおりいって結に神戸に帰らないかと尋ねます。糸島の人たちの地元愛に触れて自分の地元愛の行方を考えてしまったようです。
神戸と言われて、結の脳裏に浮かんだものはーー。


タイトルバック開け。結は海辺へ四ツ木(佐野勇斗)とまた会います。彼はまたいちごをくれますが、そこに間違えて、夢ノートが入っていて、四ツ木の野球選手としてのサクセスストーリーが書いてありました。

四ツ木は、農家を継ぐのは立派な夢だけれど、平穏無事に生きるのが夢ってちょっとさみしくないか?と問いかけます。結はキザだと笑います。平穏無事に生きるのが夢も悪くないと筆者は思いますが、それは当たり前のことで、平穏無事のベースの上に、それぞれの夢が自由に乗っかっていくということなのでしょう。

帰宅すると、お母さん(麻生久美子)は神戸でも糸島でも結のいたいほうを選べはいいとやさしい。
お姉ちゃん(仲里依紗)だったらどうするか、結は歩のことを考えます。姉がギャルになったのは何か夢があったからなのでしょうか。愛子は歩は不良になったわけじゃないと娘の気持ちを慮ります。さすが、元ヤンキー。たぶん、愛子もヤンキーだけど不良じゃなかったのでしょう。

人は見かけではない。
ある日、結とハギャレンが街を歩いていると、先日、交番の警官たちから聞いた恐喝ギャルと遭遇します。男性に絡んでいるギャルたちを止めるハギャレン。同じようなものと一括りにされそうになりますが、結は毅然と、ハギャレンは「あなたたちとは違います」と、ハギャレンは掟に則ってださいことをしないのだと立ち向かいました。

もちろん恐喝は良くないことです。ただ、ハギャレンは服もメイクもかわいいし夢を持っていると、恐喝ギャルたちはそうじゃないと断じてしまっても良いものでしょうか。こういうふうに、比較して線を引いてしまうと分断されちゃうので、言い方、接し方には気をつけたい。恐喝ギャルたち、完全に悪役なのがちょっとさみしい。

でも、結の「ごはんをきれいに食べる」という台詞は良かったです。ごはんをきれいにとは、おいしく残さずいただくことだと思うのですが、それは生きることの基本かなと思います。

ハギャレンのことを認めはじめた結のもとに、ふいに姉が帰ってきてーー。
どうなる第4週。

さて。恐喝をいち早く止めに入ったのは、タマッチこと佐藤珠子(谷藤海咲)。ダンスが得意で、結のことをカンタンには認めなかった芯の強い人物です。
タマッチ(左)とるーりー(みりちゃむ) 写真提供:NHK  

演じている谷藤さんは、パラパラは今回、初挑戦。でも幼い頃からヒップホップやジャズダンスをやっていたそうです。

「(橋本環奈さんと)共演して印象的だったのは、タマッチがムスビン(結)に「かっこよかったよ」という第3週・第15回放送のシーン。ムスビンが怖い相手に向かってギャルのことを熱弁してくれる瞬間、すごく嬉しくなって本当に泣きそうでした。タマッチは泣くキャラでもないし、ここで泣いたらタマッチちょっとダサイか…と我慢したけどとてもいいシーンだなと思います」

タマッチの役作りについては、「筋通ってなくない?」というセリフを大事にしているそうです。

「タマッチの情熱がどこにあってハギャレンに対してどう思っているのか、監督と相談しながら役を作っていきました。よく出てくる「筋通ってなくない?」というセリフに、彼女の全てがあらわれていると思います。タマッチは総代表のルーリー(真島瑠梨/みりちゃむ)に負けないぐらい、ハギャレンに強い思いを持っているんです。だからギャルを悪く言われると、もう本当に許せなくなる。カッとなるスイッチが入るシーンは、何でカッとなったか皆さんに気づいてもらえたら嬉しいなと思いながら演じています。

私自身も「やると決めたらやり通す」とか「変な言い訳をしない」という気持ちがあるので、タマッチがムスビン(ヒロイン・結/橋本環奈)に抱く鬱憤(うっぷん)はすごく理解できました。ただ、難しかったのがギャルならではの切り替えのはやさ。ムスビンにさんざん当たっていたのに、もう一緒にプリクラ撮るの!?って思うじゃないですか(笑)。でも、その1日経ったら忘れちゃうぐらいのポジティブさや引きずらないところが、ギャル持ち前の明るさに繋がるんでしょうね。タマッチにとってハギャレンは最高に楽しいチームだから、その前に何があってもみんなといれば楽しい!ということだと思います。

ギャルって本当に人生楽しそうで、未来よりも今!みたいなところに憧れがあったので、タマッチを演じて自分も少しそうなれている気がして嬉しくなりました」

第4週では、いよいよ糸島フェスティバルでパラパラを披露することになります。タマッチの振り付けとレッスンの成果に注目です。

(文:木俣冬)

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