『青春夜話』は激しすぎる性描写と純愛を同時に楽しめる傑作!

『青春夜話 Amazing Place』について、前回の舞台挨拶に続き今回はレビューを掲載する。

ストーリー

青井深琴(深琴)と野島喬(須森隆文)は、4歳違いの同じ高校の卒業生。いまは20代の会社員となった彼らはひょんなことから出会って意気投合。男女の仲も意識して、一晩を過ごすことになる。

だが喬はラブホテルではなく、通っていた校舎に深琴をいざなう。深琴は次第に、喬が<青春のやり直し>をしたがっていると思うようになる。自身も、学校時代で良い思い出のなかった深琴は、喬とともに、誰も居ない学校を治外法権に「復讐」の夜にしようと盛り上がる。

だが母校はその晩ずっと無人ではなかった。「呑みすぎちゃったかな」と学校に戻ってきた当直の女教師・山崎を、裏門で待ち受ける影。
いまこの学校は、大人になってしまった者の、一晩だけのAmazing Placeと化そうとしていた。(公式サイトより)

予告編

タイトルからは想像できない激しい濡れ場に注目!

報われなかった高校時代の日々を、大人になってしまった今から取り返そうとする若いカップル、深琴と喬。

二人は夜の学校を舞台に、様々なタブー破りに挑戦する。学生時代にあれ程疎ましかった教師もクラスメイトもいない教室やプールで、二人は遠い昔に得られなかった青春時代の輝きを取り戻そうとするかの様に、激しいSEXに溺れていくのだが・・・。

とにかく本作で主演の二人、深琴と須森隆文の存在感がスゴい!多くの観客の方が、自身の高校時代にその姿を重ねて感情移入出来る演技を見せてくれる上に、二人の体を張った体当たりの濡れ場が全編に炸裂するサービス振り!

ちょっと女性一人での鑑賞には、多少の勇気が必要と思える程の塗れ場が展開するのだが、彼らの報われなかった青春の悲しみを込めて二人が見事に演じているので、後述するもう一つの物語と合わせ、意外にも本作の後味は爽やかになっているので、ご安心を!

タイトルやポスターからの印象と内容とのギャップに臆することなく、是非とも劇場でこの二人の恋の行方を見届けて頂ければと思う。

青春夜話 Amazing Place サブ3

肉欲と純愛、相反する二組の男女の一夜が交差する!

夜の学校で肉欲におぼれる二人、深琴と蕎。学生時代への憧れと、暗い青春時代のトラウマに囚われた彼らとは真逆の存在として、本作ではもう一組のカップルが登場する。正にこれから恋愛へ一歩踏みだそうとする二人、初老の用務員の猪俣と女教師の山崎先生だ。

観客の興味を引きつけて、映画の見せ場を作るのが深琴と蕎のカップルの物語なら、本作に深みと余韻を与えて作品の質を高めているのが、この二人の物語なのだ。本編では、白髪初老の男が花束を買って幸福そうな表情で店を後にする姿が、まず何の説明もなく観客の前に登場する。てっきりこれは何かの暗喩?単なる笑い要員としての登場と思いきや、まさか彼がもう一つの重要な物語の主役だったとは!

じつは彼が花束を買った理由とは、密かに思いを寄せる孤独な女教師の山崎に、愛の告白をするためだったと後に判明する意外性!

観客の誰もが思うはずだ、「えっ、マジで?上手くいくわけ無いだろ」と。

ところが物語が進むにつれ、観客にはこの猪俣という男が本当に純粋に山崎先生のことを想い、少年の様に一途な想いで告白に臨もうとしていることが判ってくるのだ。猪俣の過去などは一切説明されないのだが、演じる飯島大介が見せる少年の様に済んだ瞳と笑顔に、我々観客はこの男が歩んできた決して平坦では無かったであろう人生を確かに感じ取る。そして、彼のこの告白が上手くいって欲しい!と心から願うようになってしまう。

更に、お相手の山崎先生を演じる安部智凛が、この有り得ない組み合わせに抜群の説得力を持たせる。

宿直中の学校を抜け出して、一人バーで酔いどれるその姿。それだけで彼女の過去の恋愛遍歴までも想像させる演技がまず素晴らしい!そんな彼女が深夜の学校で初老の用務員から受けた、ストレート過ぎる愛の告白と花束のプレゼント。さあ、果たして彼女の反応は?

この先の展開は是非劇場に足を運んで、ご自分の目で確かめて頂ければと思う。この二人の恋の結末こそ、正に本作の副題「AMAZING PLACE」に相応しい物なので、必見です!

最後に

本作で展開するのは、もはや過ぎ去った青春時代の亡霊に苦しめられる若い男女の姿と、これから青春が始まろうとする中年と初老の男女の姿。そこに込められたメッセージ、「青春に遅いも早いも無い、外見が老いて年齢を重ねようとも、心と感性が少年の輝きを保っていれば、奇跡は起こるのだ!」をスクリーンから感じた時、我々観客の心にも青春の日の炎が灯る気がした。

有り得ない組み合わせの男女が、有り得ないシチュエーションで繰り広げる一夜の夢物語を、貴女も是非劇場で体験してみては?

もう一度夢を信じる気持ちと、明日への活力を貰えるこの『青春夜話 Amazing Place』、全力でオススメします!

(文:滝口アキラ)

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    ライタープロフィール

    滝口アキラ

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    映画ライターにしてブルース・リー研究家。主な著書に、「ブルースリー超全集」「俺たちのジャッキーチェン」「俺たちの007」などがある。映画のコミカライズや、日本オリジナル映画主題歌などの、「失われた映画カルチャー」にも造詣が深く、TBSラジオ「ウイークエンドシャッフル」へのゲスト出演、今関あきよし監督作品への声優出演、更には「実際に映画に出演する映画ライター」として、現在「毎月1本必ず映画に出る」をノルマに活動中。その抜群の企画力と、交友関係の広さには定評がある。

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