FMR

STEP ZERO「フィールドマネージメントレーシングの挑戦」Vol.2

STEP ZERO「フィールドマネージメントレーシングの挑戦」
-モータースポーツの世界で可能性を追求する注目チームの年間密着ドキュメント連載-

クルマで速さを競う“自動車レース”。
その存在は知っていても、人によってはなじみの薄い世界だろう。

実際レースの現場は予想以上に規模が大きい。

TVやインターネットでF1などのレースを観ると、そこでは実に多くの人間が動いている。

何千何万とという数の観客があんなに熱狂するのか?

どこにそれだけの魅力があるのだろうか?

そもそもなぜレースをするのか?

どんな人たちが、どんな人生を背負い、何を目指して戦っているのか?

その魅力に迫るべく、あるレーシングチームの一年に密着した。

本記事は、そんな世界で愛される『モータースポーツ』の裏側や魅力を追う連載ドキュメントである。

INDEX

→Vol.1:モータースポーツとは何か/PSCJとは/参戦するFMRとは

→Vol.3:熊林社長、一般参加紹介&魅力解説

1STドライバー マックス・サロ

「岡山は初めて来ました。日本はフィンランドより天気が良くて、思ったより暖かいですネ」

3月下旬の岡山国際サーキットは最高気温13℃と肌寒かったが、北欧出身でスラリとした長身の18歳は気にかける様子もなくニコリと笑った。若手育成ドライバーのオーディションを突破して今シーズンのFMRポルシェをドライブする彼の名は、マックス・サロ。父はフェラーリなどで活躍した元F1ドライバー、ミカ・サロである。

このサラブレッドとも言える若者の起用が、今季のFMRの目玉の一つだ。母は日本人で、父はトヨタF1に乗ったこともあるという、一家で日本に縁があるところもなかなかにロマンがある。

「クルマに乗るようになったのは16歳の時。初めてのクルマは“モポアウト”で、それで学校にも行ってました」

モポアウト(Mopoauto)というのは、日本の軽自動車をさらに縮小したようなサイズでエンジンは原付バイク並みという“原付カー”のこと。フィンランドでは15歳からこの免許が取得でき、モポアウトを自分で運転して遠距離通学する高校生も多いという。

あたかも日本の高校の自転車置き場のごとく、生徒用の広大な駐車場があるそうだ。さすがクルマが生活文化として根付いたお国柄だ。父だけでなく、ミカ・ハッキネン、キミ・ライコネン、バルテリ・ボッタスなどの名ドライバーを多く輩出する理由もここに垣間見える。

「自動車関係の学校だったので、実習で自動車整備の仕事もしていました。その時にチーフメカニックに『レースやってみるか?』って聞かれたのがレーサーになるきっかけ。

今回は最初パパにメールが来て『マックス、日本でポルシェで走ってみるか?』と。『もちろん!』って即答しました。それまで本格的なレーシングカーには乗ったことなかったですから」

井出有治監督、就任理由と方針解説

現場でチームを率いるのは、井出有治監督。世界最高峰のF1まで登りつめた国内屈指のトップドライバーの一人である。このビッグネームの監督招聘もFMRのもう一つの目玉だ。並木オーナーとは一昨年に共通の知人を通じて意気投合し、昨年のスポット参戦時にはドライバーを務めている。

情熱あふれる熱いドライビングでレースファンに人気の彼だが、ステアリングを握らない監督としての立場をどう考えているのか。

「そうですね、ドライバーの時は速く走るために『コレが欲しい』『こうして欲しい』ってワガママばかり言ってて(笑)、でもそのかわりタイムを出して結果を残すという感じでした。監督になればそういうドライバーのコントロールとか、チーム全体の状況を見てうまく動くように考えなきゃいけない難しさはあります。でも、週末のレースに向けて準備していく中で、段取りや進め方を自分で考える、プランを立てて進めていくというのは監督ならではの面白さですね」

フィールドマネージメント社が関わってきたプロ野球チームに例えると、楽天の故・星野仙一監督のような猛烈指導系でいくのか、それとも日本ハム・栗山英樹監督のように温かく見守る系でいくのか、井出監督はどちらだろうか?

そのスタンスを尋ねると

「マックス(・サロ)のドライバーとしての能力を活かせる方向で、と考えてます。彼は性格が優しくて本当にいい子なんですけど、クルマにも優しすぎる面があってそれがタイムにも表れている。だから『クラッシュは困るけれど、もっとガンガン元気よく走っていいんだよ』と。それで徐々にタイムも上がってきてますので、彼に対してはそういう形が合っているのかなと思います」

と、ドライバーの性格に合わせた臨機応変のサポートを心がけている様子だ。

「目標はもちろんチャンピオンを獲ることですが、このチームとしてシーズンを戦う初めての年になるので、結果以外にもチーム員みんなが気持ちよくモチベーションを保ってレースをやっていくような環境を作って、同時に自分もその中で楽しめたらと思っています」

Vol.3へ続く(毎週木曜更新)

■写真・島田健次
■取材・文/長谷川貴洋
Text by Takahiro Hasegawa

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