2020年も恐怖が熱い!マニアックJホラー映画5選

キング・オブ・Jホラー監督の
究極のモキュメント『P.O.V.』

POV~呪われたフィルム~<DVD>(2枚組)

最後に、1980年代末から90年代初頭にかけてのオリジナル・ビデオ『ほんとにあった怖い話』シリーズなどで、後々世界的に大流行することになったJホラーの基盤を作り上げた先駆者で、“キング・オブ・Jホラー”として多くの著名映画人からリスペクトされ続けている鶴田法男監督作品から、2012年度に発表された秀作『POV~呪われたフィルム』をご紹介。

本作に登場するのは、人気若手女優の志田未来(本人)と川口春奈(本人)。

二人は全国から寄せられた投稿動画を紹介するケータイ向け番組『志田未来のそれだけは見ラいで!』の心霊映像特集の収録中、予定のない映像がモニターに流れたのを見て驚くとともに、それが春奈がかつて通っていた中学の“学校の怪談”をネタに撮影したものだったことから、霊能者の言葉に従ってディレクターやマネージャーともども除霊のために学校に赴きます。

しかし、やがて一行は学校に閉じ込められるとともに、数々の怪現象に遭遇しながらこれ以上はない恐怖に見舞われていくのです……。

“POV”とは“Point Of View”、つまり「視点」を意味する略語ですが、本作はフェイク・ドキュメンタリー=モキュメンタリーの手法を採りながら(つまりは志田未来は志田未来を、川口春奈は川口春奈を演じているわけです)、シーンのほとんどが出演者が撮影した映像を用いているという設定で、実際に出演者が撮ったものも使われています。

冒頭のアイドル番組のきゃぴきゃぴした雰囲気から、学校に閉じ込められてからの緊迫した恐怖の構築は、手持ち映像のブレなども臨場感として功を奏するとともに、鶴田ホラー独自の“死霊から見据えた目線”まで体感させられて、ゾクっとなること必至。

今も人気の若手女優二人(特に川口春奈は大河ドラマで時の人となってますね)が織り成す迫真かつ素直な恐怖演技も好感の持てるところ。

さらにはこの作品、エンディングでトドメの恐怖の構築がなされているのですが、これも伝説の名画座“三鷹オスカー”を実家に育った鶴田監督ならではの、恐怖をもって映画館にオマージュを捧げたと思しき秀逸な幕引きでした。

なお、鶴田監督はこの後も死者と会話できるアプリの恐怖を描いた『トーク・トゥ・ザ・デッド』(13)や鶴田流ゾンビ映画『Z~ゼット~果てなき希望』(14)などを撮ったのち、中国に招かれて撮った呪われたネット小説をめぐるホラー映画『网络凶铃/ワンリューシュンリン』(“ネットワークのリング”といった意味)が昨年12月6日より中国全土1万館越で公開されたばかり。

今は一刻も早い日本上陸を、大いに待望したいところです!

(文:増當竜也)

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ライタープロフィール

増當竜也

増當竜也

増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画レビュー・コーナー『戯画日誌』を連載中。近著に『映画よ憤怒の河を渉れ 映画監督佐藤純彌』(DU BOOKS刊)がある。

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