私と映画Vol.1 「丸橋全人歯科 丸橋賢院長の根底を支えるあのセリフ」[PR]

丸橋全人歯科/丸橋賢(まるはし まさる)

群馬県高崎市に患者が全国からやってくる有名歯科がある。それが「丸橋全人歯科」だ。
歯の噛み合わせが悪いと、まず姿勢が狂い、肩こり、腰痛を招く、ついには血行不良やストレスで免疫までも下がり、影響は「全人」に及ぶ……。筆者を一目見て「あなた、左肩が凝るでしょ?」とピタリと当てた丸橋賢院長に、人生の歩みと、これに関わった映画について聞いた。

丸橋全人歯科

ダンボール一杯の脅迫状

閉鎖された社会では自由な発想がタブーになってしまうんです。
1980年代、私は思い悩んでいました。歯周病の患者さんに、私が歯科大学で学んだ通りのブラッシングをお薦めしても、一向に快方へ向かわない。私は疑念を持ちました。「もしかしたら、これまで唱えられてきた学説が間違っていたんじゃないか?」と。私はいくつかの手掛かりから食事に原因があるのではないかと考え、日本国内はもちろん、モンゴルの遊牧民やブータンの山岳民族まで訪ね、その歯を研究対象にしました。すると「食生活と血液に異常がある人ほど歯周病にもかかりやすい」という相関関係がみてとれたのです。

私は、自由な発想で「歯科の世界の常識」を疑いました。すると、別の事実が見えてきた。噛み合わせに異常があると、それは体の各部、さらには全人格に悪影響を及ぼすのです。人はかむことで前後左右のバランスをとっています。これが狂うと、まずは姿勢が狂い、肩こり、腰痛を招く。ついには血行不良やストレスで免疫までも下がっていく。患者は体を悪くし、時には無気力、苛立ち、鬱病など、精神のバランスまで崩していきます。しかし、噛み合わせを修正すると、これらが快方に向かうことが、はっきり読み取れたのです。

私はこの事実を歯科医師会などで報告しました。そして「日本の歯科医療はこのままではいけない」と提言しました。そもそも業界内では「歯医者がいじった歯はよけい悪くなる」などと言われているのです。読者の皆さんも、そう感じませんか? しかし、保険医療の範囲内では、それまでの治療法しか実施できないのです。

もちろん、この提言をするには勇気が必要でした。多くの歯科医師が信じ、実施してきたことを否定するのですから、猛反発をくらうことは目に見えていました。しかし実際は、それ以上でした。私のもとへ、ペテンだ、詐欺だと脅迫状が届くのです。記念にとっておくうち、ダンボール一杯になりましたよ(笑)。

丸橋全人歯科

忘れ得ぬ一言、「仮面をかぶれ!」

そんな時、私を支えてくれたのは、ある映画のセリフでした。

作品は、今村昌平監督の「神々の深き欲望」です。この映画は生命の原風景を描ききっています。舞台は、文明から隔絶された南海の孤島・クラゲ島。島の人々は、原始的な神・ドンガマを信仰し、様々な掟に支配されています。信仰心は強く、村には神に仕える女性もおり、皆は時に、仮面をかぶってドンガマを祭っています。

しかし、映画を観るうち気付くのです。掟や因習は、すべて閉鎖社会を維持していくためにつくられたものであることに。

長老は、掟や因習を上手に利用し、自らの欲望を満たしていく。そう、支配的な地位にある人間がつくったシステムには、必ず、支配的な人間が欲望を満たせる装置が内包されているのです。そして、男性の長老と、神に仕える女性との男女関係などからこれが明らかになったあと、物語の終盤、印象深いセリフが発せられます。

村人は村長の号令のもと、ドンガマへの信仰に疑問を抱いた者を追い詰めます。村長は、彼らを捉えようとするまさにその瞬間、村人たちに、ドンガマを祭る時につける仮面を示し「仮面をかぶれ!」と号令するのです。

私には、ムラの掟に異を唱える者と、掟を信仰し、支配構造の中で生きる村人との対立が、歯学界の現状のように思えました。そして、因習に縛られた村人が、ついに現実から目を背ける瞬間、仮面をかぶることが、この社会の暗喩なのだとしか思えないのです。

丸橋全人歯科

「口腔をのぞくと、病んだ世界が見える」

私は学生時代から、小説を読み、映画を観ることが好きでした。小説は、大岡昇平、武田泰淳などの「第一次戦後派」の作品。映画は、大島渚、そして今村昌平監督作品。哲学書も読みました。実存主義のジャン・ポール・サルトルなどです。

この世代の作家や監督は、第二次世界大戦という地獄を見て、性善説など「人間とはこうあるべき」という理想を打ち砕かれた人ばかり。だから、人間の現実を元に世の中を見よう、という思想が貫かれています。

これらの作品によって培われた感性があるから、私は、あまたのバッシングに立ち向かっていけたのだと思います。仮面をかぶり、現実から目をそらせてはいけない。そして、私の敵は、しょせん、仮面をかぶった者ばかりなのだ、と。

私の感性は、私を裏切らなかった。そして、長時間かけ、それは証明された。今や、歯の噛み合わせが悪いことによって肩こりや腰痛が発生する、ということは常識になりつつあります。さらには、有名スポーツ選手など、著名な方たちが全国から来院するようになりました。私は、歯学界というムラの住人たちに打ち勝ったのです。

私は、この映画を観ると、1984年――今から30年以上前に私が出版した書籍に記した言葉も思い出します。

「病んだ口腔をのぞくと、私の目には病んだ世界が重なって見える」

【プロフィール】
丸橋賢(まるはし まさる)
丸橋全人歯科
1944年、群馬県生まれ。1971年に東北大学歯学部を卒業し、1974年群馬県高崎市で「丸橋歯科クリニック」を開業。1981年に「良い歯の会」の活動開始し、2004年に「丸橋全人歯科」を開業し、院長へ就任。以来現職。五輪のメダリストや芸能人など、数々の著名人の噛み合わせを治療し、食事にアドバイスを与え、現在も丸橋全人歯科には全国から患者が来院する。著書に「体調不良は歯で治る!」(角川学芸出版)など

    ライタープロフィール

    夏目幸明

    夏目幸明

    経済ジャーナリスト。1972年愛知県生まれ。早稲田大学卒業後、広告代理店へ勤務し、経済ジャーナリストに。「日本で一番多くの社長を取材しているジャーナリスト」として、現在は様々な企業でコンサルタントも務める。著書多数。

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