エヴァもガンダムもセーラームーンもいなかった!驚愕のNHKアニメ100年ベスト番組!

■「キネマニア共和国」

日本でアニメーションが初めて作られてから、今年で100周年。これを記念して5月3日、NHK-BSプレミアムにて『発表!あなたが選ぶアニメベスト100』が生放送されました。

100年の間におよそ1万本も製作されてきたというアニメ作品の中から、ベスト作品を視聴者のweb投票で選んでしまおうというこの企画、60万票を超える投票の中から選ばれたのは……。

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.232》

な、何ともすごい、前代未聞の結果になってしまったのでした……(でも個人的には何だか嬉しい!)。

タイバニクラスタとラブライバー
今のアニメ・ファンの熱気たるや!

とりあえず、ベスト10までの結果を列記していきましょう。
(ベスト400までの結果は下記参照)
http://www.nhk.or.jp/anime/anime100/ani_report/

①「TIGER&BUNNY」
②『劇場版TIGER&BUNNY The Rising』
③「魔法少女まどか☆マギカ」
④「ラブライブ!」(TVアニメ1期)
⑤「ラブライブ!」(TVアニメ2期)
⑥『劇場版TIGER&BUNNY The Beginning』
⑦「コードギアス 反逆のルルーシュ」
⑧「カードキャプターさくら」
⑨『ラブライブ! The School Idol Movie』
⑩「おそ松さん」

何と、この中には、いわゆるこの手の番組の定番ともいえる名作群、たとえば「新世紀エヴァンゲリオン」(14位)や「機動戦士ガンダム」(17位)、「宇宙戦艦ヤマト」(29位)、「美少女戦士セーラームーン」(60位)も入っていません。
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宮崎駿監督作品も「未来少年コナン」(39位)がトップで、映画だと『ルパン三世カリオストロの城』(44)が後のスタジオジブリ作品よりも上位にランキングされています(まあ、これは世代的に納得かな)。

ルパン三世 カリオストロの城 MX4D版

原作:モンキー・パンチ (C)TMS

またこのベスト10、「TIGER&BUNNY」と「ラブライブ!」はそれぞれ3種類の作品が入っていますが、なぜこのようなことになってしまったのか?

これは投票方法のせいで、実は今回、毎日別個の3作品まで投票OKという、いわば組織票ウエルカムともいえるシステムだったのです。

ですから、たとえば「TIGER&BUNNY」ファン(巷では“タイバニクラスタ”と称されます)は、「TIGER&BUNNY」(TV)『劇場版TIGER&BUNNY The Rising』『劇場版TIGER&BUNNY The Beginning』を、そして「ラブライブ!」ファン(巷では“ラブライバー”と称されます)は 「ラブライブ!」(TVアニメ1期)「ラブライブ!」(TVアニメ2期)『ラブライブ! The School Idol Movie』を毎日投票したのではないかというのが容易に想像されます(新シリーズ『ラブライブ!サンシャイン‼』も33位と大健闘)。

でも、それならば「新世紀エヴァンゲリオン」もTV版に加えて『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』(これがまた数バージョンあるのです!)『THE END OF EVANGERION 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 AIR/まごころを、君に』といった劇場用映画、さらには『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズも現在継続中なので、これらを記す手もあったのでしょうが、逆にエヴァくらいのビッグ・ネームになってしまうと、どうしてもこれらを一緒くたにして「新世紀エヴァンゲリオン」と投票したくなるのが人情。

(ちなみに「TIGER&BUNNY」3作品と「ラブライブ!」3作品をそれぞれ1本とみなした場合、かろうじてエヴァは10位入賞となります。またそう考えると、実は何気にすごかったのは「銀河英雄伝説」だったのかもしれません。そういえば最近、新シリーズが製作されるというニュースも!)

「宇宙戦艦ヤマト」も、ヤマト・ファンの多くがTV第1シリーズを象徴的に選んでしまったのでしょう(その意味では劇場版第2作『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』が75位にランクインしているのは快挙なのかも)。「美少女戦士セーラームーン」も無印から「R」に「S」など、最近はリメイク版も作られていますので、何となく一緒くたにしてしまったのかなと。

ガンダム・シリーズに関してはもう“ガンダム”の冠がついた作品は数十種類に及び、今も継続中なので、逆にファンの好みが分散したというか(たとえば「機動戦士ガンダムSEED」が40位、「機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ」が70位)、その意味ではファースト・ガンダムが20位以内というのは大健闘なのかもしれません。

全世代ファンのアニメ戦国時代開始!?
でも、どの作品も誰かの1番!

とにもかくにもこれら名作群のファンのみなさんは、NHKの番組だし、当然これらがベスト10に入るものと思い込んでいたのではないでしょうか。またNHK自体、今年に入ってからアニメ100年を謳いあげる特集番組を定期的に組んでは、過去の名作群をさりげなくアピールして全方向世代に投票を呼び掛けていた印象もあります。おそらくアニメ好きを自認する人たちは1回か2回は投票したとは予想もできます。

(ちなみに私は、自分の生涯のアニメ映画ベスト5の中で比較的地味であろう恩地日出夫監督の「地球(テラ)へ…」や浦山桐郎監督の「龍の子太郎」などを最初の頃せっせと投票していたのですが、そのうち仕事が忙しくなるにつれ、ついついおっくうになってしまい、いつしか投票することすら忘れていました。結果、両作品とも400位圏外でした……)

しかし、タイバニクラスタやラブライバーはもっと意欲的に、「TIGER&BUNNY」や「ラブライブ!」のタイトルが入ったものは投票できる限り投票してやれといった勢いでこの企画に望み、結果として、今、日本で一番熱いアニメ・ファンがタイバニクラスタでありラブライバーであるという厳然たる事実を、全国に広く示すことになったのです。

(ちなみに「TIGER&BUNNY」とは、実在する企業のロゴをつけて悪と戦うヒーローたちの姿を描いたものなので、通常NHKでは放送不可。しかし今回ベスト1記念として、企業ロゴなしの海外版をこの後本邦初放送してくれました。これもタイバニクラスタとしては、やったり! ではあったことでしょう)

今回のアニメベスト、「オーソドックスな名作群を入れました」的なフツーの域を優に超え、今の各アニメ作品ファンのちょっとした群雄割拠といいますか、アニメ・ファンの熱気を痛感せずにはいられませんでした。

もし来年も同じ番組が企画されたら、次は「魔法少女まどか☆マギカ」や「コードギアス 反逆のルルーシュ」「おそ松さん」ファンの逆襲が始まるかもしれませんし、エヴァやヤマト、セーラームーン世代も心を入れ替えて(⁉)臨んでくれるかもしれません。ついにはモノクロ版「鉄腕アトム」や「魔法使いサリー」世代も立ち上がってほしい! 一方で若いファンは今後も続々と作られる新作に目を向けていくでしょうし、どうやら日本は全世代を巻き込んでのアニメ戦国時代に突入してしまったのかもしれません(いや、突入してほしい!)

最後に、同番組自体も実力派声優陣の生アフレコ・コーナーや、アニメ好きなゲスト陣コメントも含めて実に面白く(乞う再放送!)、中でも俳優の上川隆也とフリーアナウンサーの松澤千晶の司会ぶりは最高でした(ついでにDAIGOも笑えました)。

ゲスト陣のこだわりコメントのひとつひとつに難なく受け答えできてしまう上川さんの神対応は、やはりこの人本当にリスペクトすべきアニヲタだなと感服。終始クールビューティを装いつつも、要所要所で乙女モードを淡々と忍ばせる松澤さんにも魅了。

特に30位に「少女革命ウテナ」が入ったとき、「進撃の巨人」(28位)や『まどか☆マギカ』(劇場版〔新編〕26位)と「ウテナ」が並んでいるってすごい! などと、滔々と語り続けるさまの可愛らしさといったら! しかもそのとき「僕は『化物語』(45位)の冒頭を初めて見たときに『ウテナ』みたいだと思ったんです」と、サラリと返せてしまう上川さんの素晴らしさ!

そして番組最後の彼のコメント。

「奇しくも上位にランキングした作品がオリジナル作品が多いことに、今の日本のアニメの力を感じます」

これには拍手を送りたくなりました。そう、今の国産実写作品に欠けているのは、このエネルギーなのだなということまで、彼から熱く教えてもらえた次第です。

さらには「どの作品も誰かの1番で、それを共有できたのが素敵でした」と、これまたサラリと述べた松澤さんもナイスでした。

P.S.

『TIGER&BUNNY』『ラブライブ!』『カードキャプターさくら』と、10位内に入った作品の劇場版初公開時の配給元は、実はいずれも松竹なのでした(『TIGER&BUNNY』劇場版2作のみテイ・ジョイと共同配給)。今回の偉業達成を記念して、どこかの劇場でイベント上映してくれないかなあ。

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(文:増當竜也)

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