男性の中に眠っていた女性としての真の自分…『リリーのすべて』

世界で最初に性別適合手術を受けた実話ベースの『リリーのすべて』。監督は『レ・ミゼラブル』のトム・フーパー監督、主演は15年度アカデミー主演男優賞のエディ・レッドメイン。同作を一足先に見させていただきましたのでご紹介させていただきます。

リリーのすべて ポスター

(C)2015 Universal Studios. All Rights Reserved.

エディの演技・仕草が光る

もともと演技力の高いエディ・レッドメインですが、今回は女性に変わっていく演技が見事。あるきっかけで自らの中にある女性に目覚めるのですが、そのハッとした瞬間、そこに女性が垣間見られました。

手つきに注目して見てみると、徐々に変化していく様をより感じられるかもしれません。

昨年度『博士と彼女のセオリー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したエディ・レッドメイン。今回の演技でもアカデミー賞主演男優賞にノミネートされましたが、負けず劣らずの再びの実在の人物の熱演。

きっとあなたの心に焼き付くことでしょう。

ヒロイン・ゲルダの献身的な愛に涙

主人公の妻ゲルダ役にアリシア・ヴィキャンデル。『コードネームU.N.C.L.E.』での演技も記憶に新しい女優さん。本作では女性になっていく旦那を献身的に支えるヒロインを演じています。

リリーのすべて

(C)2015 Universal Studios. All Rights Reserved.

性格的にはあまり妥協せずこうと思ったら聞かないタイプ。主人公に元に戻って欲しいと思いつつも、主人公の苦悩を受け入れ彼を助けていきます。また彼女も主人公同様に凛とした生き方で綺麗でとてもお似合いの夫婦です。

主人公がリリーになるということは、自分の前から夫を失うということを分かっていても、愛する人の願いを叶えたいという相手の思いを尊重することを選んでしまいます。それがとても健気で切ない。真の主人公とも言えるこのゲルダ。アカデミー賞助演女優賞受賞も納得の演技です。

世界で初めて手術を受けた実話

主人公がこの手術を受けるまで、誰も受けたことがなかった性別適合手術。当時は今ほど医療が発達していなかったので、リスクの方が高かったことでしょう。

それでも、本当の自分になりたい、ありのままの自分じゃないと意味がないという思いから手術に踏み切ったのです。偽らずに素の自分で生きていくのはとても難しい。偽っていくと段々生きていくのが苦しくなっていくかもしれません。だからこそ性別適合手術を受けることにしたのでしょう。

手術に至るには、妻の存在や支えが必要でした。彼女がいたからこそ、主人公も一歩を踏み出します。お互いがお互いを補完しあう関係。ある意味男女間で理想の関係と言えるのではないでしょうか?この2人だからこそできたのかもしれません。

二人の生き方と献身的な愛情、未知の領域へと踏み出す姿勢などがとても綺麗な映画でした。途中で布石もあるのですが、ラストカットはこうきたか!という感じで、とても美しいです。そのラスト、是非劇場でご覧ください。

『リリーのすべて』は3月18日から全国公開です。

(文:波江智)

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