『ガルパン最終章第2話』は1年半待ち侘びた甲斐のある傑作だった!

(C)GIRLS und PANZER Finale Projekt 

『ガルパン最終章第2話』は1年半待ち侘びた甲斐のある傑作だった!

戦車道部の女子高校生らが戦車を駆って戦闘、いや試合を繰り広げるという奇抜な設定ながら、そのリアルな戦車の諸描写とそれに伴う溢れんばかりの戦車愛、映画ファンならニンマリすること請け合いの映画的オマージュの数々、さらには各キャラクターの魅力などもあいまって日本中、いや、今や世界中の戦車マニアやアニメ&映画ファンをも巻き込む勢いで快進撃中の『ガールズ&パンツァー』(通称ガルパン)、その『最終章第2話』がようやく6月15日(土)から劇場上映されました。

前作『最終章第1話』が公開されたのが2017年12月でしたから、およそ1年半待たされたわけで、正直に申すとさすがに少し気持ちが離れてしまっていたことを白状します。

何せ1本1時間弱という中編仕様の全6部作企画ですから、製作スタッフの労苦はともかくとして、さすがに待たせすぎ。

(あの『スター・ウォーズ』だって、今は2年に1本のペースで新作が作られてますしね)

そんなわけで、今回は初日から意気込んで、いざ! というほどでもなく、公開されて数日後の平日にフラリと呑気な気分で(……というのはウソです。実は初日と二日目はどの劇場も満杯に近く、お好みの席を確保できなかった)劇場へ赴いたのですが……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街391》

今度のガルパン、傑作でした! 公開されて早や3週が過ぎたにも関わらず、まだ3回しか見れてない自分が恥ずかしく思えるほどのハイ・クオリティ&興奮&感動の1時間弱!

やっぱりガルパンはいいぞ。いや、もはやすごいぞ!

フランス・モチーフの
BC自由学園との激闘!

まず『ガールズ&パンツァー最終章』の基本ストーリーは、学園の存続をかけてTVシリーズ(&OVA)で見事に全国大会で優勝し、劇場版では大学生選抜チームとの試合にも勝利した西住みほ率いる大洗女子学園戦車道部が、今度は冬の大会「無限軌道杯」に挑みます。

その理由は、元生徒会メンバーの3年生・河島桃が現状では大学合格が難しいということで、AO入試で大学に合格できるよう、彼女を隊長に据えて勝利を目指そうというものでした。

かくして、日頃桃に恩義を感じている面々が集ってのサメさんチームも新たに加わっての第1回戦の相手はBC自由学園。

エスカレーター組と外部生組との間で対立を続け、チームワークに難ありという事前情報をもとに作戦を組んだ大洗女子学園でしたが、実はその情報が敵の罠であり、一気に窮地に追い込まれてしまいます……。

というのが前作『第1話』のあらましですが、今回の『第2話』は大洗とBC自由学園の試合の続きから始まります。

ガルパンに登場する日本各地の戦車道部は、たとえば聖グロリアーナ女学院=イギリス、サンダース大学付属高校=アメリカといった風に、それぞれ世界各国のイメージ及び第二次世界大戦時まで保有していた諸国の戦車を登場させています。

今回のBC自由学園のイメージは、ずばりフランス。

元ネタとしては、第2次世界大戦中ドイツの占領後に誕生したヴィシー・フランス政権と、イギリスやアフリカに亡命してレジスタンス活動に従事じた自由フランスを合併させているわけで、当然両者の仲が良いわけがありません。

ちなみにエスカレーター組のリーダーの名は押田、外部生組のリーダーは安藤、そして双方を束ねる隊長はマリー。

これって『ベルサイユのばら』のオスカルとアンドレ、マリー・アントワネット王妃からいただいたものであるのは明白で、もっともオスカルとアンドレは相思相愛の仲として最後に結ばれますが、押田と安藤は……というところがミソ。

さらにいつもケーキばかり食べているマリーからは「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」なるアントワネット王妃の迷言を彷彿させます。

彼女らが乗る戦車は、押田=ARL-44、安藤=ソミュア、マリー=ルノーFTと、それぞれフランスを代表する戦車群です。

こうしたBC自由学園に対して、大洗女子学院はいかなる手で打って出るか? は、これがなかなか姑息な手ではあるのですが、ヒロイン西住みほの策略家としての一面をさりげなく示唆したものでもあります。

そして今回何よりも強調しておきたいのは、その試合シーンにおける臨場感のハンパないこと!

これまでも戦車戦(いや、あくまでも試合ですけど)をリアルに描いてきたガルパンですが、今回は一段と磨きがかかって、まるで本物の戦場を渡り歩いているかのような恐怖すら覚えるほどのすさまじさ!

これを見た瞬間、1年半待たされただけのかいはあったと、大いに溜飲が下がったのでした。

またガルパンといえば音響の圧倒的素晴らしさが毎回挙げられますが、こちらも戦車の軋みや砲弾の弾きなどがひとつひとつの戦場の音が痛いほど耳に響くものがあり、どうか可能な限り音響設備の良いところでご覧になることをお勧めします。

(以下、後半のネタバレもあるので、未見の方はご注意のほどを)

(C)GIRLS und PANZER Finale Projekt 

大洗女子学園戦車道部の
次なる対戦相手は?

かくして試合が終わり、中盤は大洗戦車道部全員とまではいきませんが、各キャラクターの憩いのひと時が描かれます。

中でも劇場版で戦った島田愛里寿とみほがボコ・ミュージアムで遊ぶところはファンにとってお楽しみ。

またアヒルさんチームの面々と劇場版で共闘した知波単学園の福田が地元・大洗名物の「たらし焼き」なるB級グルメ(パンフレット下巻にレシピが載ってます)をいただくシーンも見ていてほっこりさせるものがあります。

最終章のある意味真の主役ともいえる、桃の家族も登場。これまでどちらかといえばエキセントリックな面を前面に出していた彼女の意外な一面を覗くこともできます。

かくして、小休止した後の第2回戦の相手は、何と知波単学園!

日本軍の良いところも悪いところも引きずったイメージで、とにかく突撃することしか能のない知波単学園でしたが、劇場版で大洗とともに戦ったことを良き経験として、今回は驚くほどの“突撃”攻撃の数々をもって大洗に挑みます。

何よりも西隊長をはじめ知波単の面々は大洗をリスペクトしていて、だからこそ彼女らに勝利することが恩返しと信じて戦っているので、観ている側もどんどん胸打たれてしまうほど!

まさか戦闘シーンを見ながら感涙してしまうとは、やはりガルパンのそれらのシーンがあくまでも戦車道精神に則った試合であり、決して戦争ではないということの証ではないかと思われます。

劇場版にも登場した水陸両用戦車・特二式内火艇(カミ)が今回も大活躍。また西や福田以外の知波単チームの面々の個性も見えやすくなっています。

唯一、今回残念だったのは新規参入のサメさんチームが早々とやられてしまうことで、一見不良風で海賊をあしらいつつ、桃に対してだけは徹底して信頼している彼女らの真の活躍を拝めるのは、第3話以降になりそうです。

逆に今回意外と活躍してくれるのが、風紀委員3人で構成されたカモさんチームで、BC戦、休息、知波単戦それぞれさりげなく見せ場が設けられているのが嬉しい限りでした。

何はともあれ大いに満足の最終章第2話、しかしまだこれから4本あると思うに、このクオリティを維持するためには仕方ないかと理屈では承知しつつ、次からは何とか1年くらいのスパンで公開してくれないものかと、身勝手にも願ってしまうのも本音ではあるのでした(最終話が完成するまで生きていられるかなあ……と、ふと想いがよぎるガルパンおじさんは私だけではないはずだ)。

(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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