ロシア版X-MEN『ガーディアンズ』は日本のヒーロー映画のノリに近かった!

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ヒーロー映画は昔も今も花盛り。

特に最近はDCやマーベル系のハリウッド・ヒーロー映画が日本でも大いに定着し、日本の仮面ライダーやスーパー戦隊、ウルトラマンも大健闘といった感じではあります。

そんな中、ロシアからもついにヒーロー映画『ガーディアンズ』が登場!

その中身を探ってみますと……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.283》

これがなかなかに我が国のヒーロー映画の韻を踏んだ見事に面白い逸品なのでした!

東西冷戦の負の遺産が生んだ特殊能力者たちの一大バトル!

映画『ガーディアンズ』のドラマは、20世紀半ばの東西冷戦の時代から端を発します。

当時ソビエト連邦と呼ばれていたロシアでは、アメリカの脅威に対処すべく、遺伝子操作で特殊能力を持つ兵士を生み出す“パトリオット計画”をひそかに推進していました。

しかし、名声をわがものにしようとするクラトフ博士の裏切りにより、計画は失敗。

そのとき生み出された超人たちも、どこかへ姿を消してしまいました……。

そして半世紀ほど経った現代、自ら超人と化したクラトフが突如現れ、ロシアは崩壊の危機に!

クラフトの野望を阻止すべく、政府はかつて姿をくらまし、世を捨ててひっそりと生き続ける超人たちを探し当て、人類最後の希望“ガーディアンズ”を結成させるのでした!

その“ガーディアンズ”のメンバーは4人。

・獣のパワーを持つ天才科学者:アルスス

・念動力で鉱物を操る賢者:レア

・超音速を誇る剣の達人:ハン

・擬態能力で忍び寄る美女:クセニア

いずれもX-MENさながら、ヒーロー的資質ばっちりの得意技を披露してくれていますが、ひげもじゃマッチョ系おじさんレアからは、北の大国ならではの雰囲気濃厚!?

またアルススが変身する“獣”がクマというあたりも、どことなく「ロシアだなあ」とほっこりさせられるものがあります(機関銃をぶっ放すクマ人間!)。

ハンはロシア版石川五ェ門みたいでかっこよく、女性ファンも増えそう。

クセニアはやはりロシア系クールビューティ。この手の女性が好みの人にはたまりません!

こういったキャラクター設定は、やはりアメリカなどとは異なるロシア独自のものだなと唸らされます。

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ロシア・ファンタ映画を見直す好機でもある『ガーディアンズ』

さて、こうして集められた“ガーディアンズ”とクラトフの死闘は実際に映画を見ていただくとして、作品全体の設定や構成などは、どこかしら往年の日本のヒーローものの韻を踏んでいる感もあります。

どこかしら負の運命を背負っている個々のメンバーが一致団結し、敵の脅威をくじくという図式や、そのもっていきかたが非常にシンプルで見やすいのです。

思えば自分が幼い頃から慣れ親しんできた昭和の日本のヒーローものもそうだったように記憶しています。

しかし、いつのまにか内容が複雑怪奇になり、特に最近はハリウッド“ダークナイト”系が浸透し、どこかしら爽快感に欠けがちに思えたりもする中、本作はヒーローものの原点回帰にもなり得ている気がしてなりませんでした。

ロシア映画自体もアーティスティックな印象が強いですが、実はファンタスティックのジャンルも、アメリカに負けず劣らずの素晴らしい歴史を誇ってきています。

ロシア初のSF映画と呼ばれる『アエリータ』(24)に始まり、『火を噴く惑星』(62)『巨竜と魔王征服』(56)『妖婆・死棺の呪い』(67)『惑星ソラリス』(72)『不思議惑星キン・ザ・ザ』(86)など、映画ファンなら一度は接してもらいたい名作が山積みなのです。

その意味では『ガーディアンズ』も、ロシアSFファンタスティック映画の歴史に新たに刻印される記念すべき快作たりえているといっても過言ではないでしょう。

『ガーディアンズ』を機に、ロシアSFファンタ映画の再発掘も大いに期待したいところです。

(文:増當竜也)

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    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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