『プロジェクト・グーテンベルク 贋札王』レビュー:チョウ・ユンファの面目躍如! これぞ香港ノワールだ!

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1970年代初頭のブルース・リーから後半のジャッキー・チェンの台頭など、当時の香港映画といえばクンフー映画のイメージが定着していましたが、80年代半ばになってジョン・ウー監督の『男たちの挽歌』(86)が公開されるや、香港製バイオレンス・アクション=香港ノワールの波が日本中を席捲するようになりました。

また同時期、香港ニューウエーブの若手気鋭の監督らによる人間ドラマ主体の珠玉の作品も多々お目見えしていくことになります。

その双方に主演し続け、“亜州影帝”の異名をとるようになった映画スターがチョウ・ユンファでした。

90年代末にはハリウッド進出も果たし、世界的名声を勝ち得た彼。

しかし、リアルタイムでチョウ・ユンファを見続けてきたファンとしては、やはり香港ノワールにおける彼こそが真骨頂と思いたいもの……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街437》

そんなチョウ・ユンファのファンにとって垂涎の香港ノワール快作が登場しました。

その名も『プロジェクト・グーテンベルク 贋札王』。

サブタイトルに偽りなく、贋札をめぐる男たちの熱く激しいバイオレンス・アクション超大作です!

贋札製造集団のカリスマ・ボス
その笑顔の奥には……

『プロジェクト・グーテンベルク 贋札王』は、贋札製造グループの一員だったレイ・マン(アーロン・クォック)がタイの刑務所から香港警察へ身柄を引き渡され、そこで取り調べを受けるところから始まります。

するとそこに突然、国宝級の画家ユン・マン(チャン・ジンチュー)が現れて、レイの保釈を求めてきました。

彼女の申し入れに対し、副署長のホー(アレックス・フォン)は、今なお行方不明のグループのボス“画家”(チョウ・ユンファ)について話すことをレイに要求。

かくしてレイは“画家”の報復を恐れつつ、自身と彼との過去について語り始めていきます……。

まずは1995年。画家カップルのレイとユンはカナダで貧乏な日常にあえいでいましたが、まもなくしてユンは才能が認められ、逆にレイは有名絵画の贋作を手掛けるまで落ちぶれてしまいます。

そんな彼の前に現れたのが“画家”でした。

親子三代にわたって贋作製造に勤しみ、一度も捕らえられたことがないのを誇りとする“画家”の温厚そうな笑顔と奥に秘めたカリスマ性に魅せられ、レイは彼の仲間になり、贋作の製造に従事していくのですが……。


    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画レビュー・コーナー『戯画日誌』を連載中。近著に『映画よ憤怒の河を渉れ 映画監督佐藤純彌』(DU BOOKS刊)がある。

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