観客の一体感が熱くて最高すぎる!!『マガディーラ 勇者転生』“初絶叫上映”に挑んでみた

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8月31日より全国順次公開が始まった、S.S.ラージャマウリ監督の『マガディーラ 勇者転生』。前回の記事でも紹介した作品だが、本作の“絶叫上映”が9月9日に新宿ピカデリーで開催され、多くの観客で賑わった。そこで今回は、当日の熱狂ぶりをレポート形式でお伝えしていきたい。

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『マガディーラ 勇者転生』絶叫上映@新宿ピカデリー レポート

かく言う筆者自身も絶叫上映には度々参加しており、ラージャマウリ監督の『バーフバリ 伝説誕生』『バーフバリ 王の凱旋』『バーフバリ 王の凱旋<完全版>』の絶叫上映にも参加してきた。2回目以降は絶叫箇所も自ずと決まり、思いの丈やそのままの感情を声に出すのだが、『マガディーラ 勇者転生』絶叫上映への参加を決めたものの、正直なところ「何をどう叫べばいいのかしら?」と考えていた。

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作品の鑑賞自体は2回目なので、もちろんストーリー展開や盛り上がりどころは分かっている。それでも、本作の絶叫上映自体、今回が初であり、ほかの観客がどこでどう叫ぶのかが分からない。逆を言えば自分が「ここだ!」と思って叫んだら空気を読んでいなかった、なんて展開も万が一起きかねない。もちろん叫ぶ内容は個人の裁量だし無理をして叫ばなくてもいい。それでも、筆者はいわゆるチキンハートなのだ。誰にだって、何にだって“初めて”はある。「まずは空気を探りながら挑むしかない」と、そんなことを考えながら劇場へと向かった。

新宿ピカデリーはもはや“バーフバリ民”にとって聖地的なポジションであり、1階エントランスや3階ロビーに民族衣装のサリーを着た女性の姿があちこちに見られるのも、もはや風物詩となった感もある。今回は「バーフバリ」シリーズの絶叫上映ではないのでどのようなコスチュームが選ばれるのか気になっていたけれど、やはりサリーで着飾った観客が多い。

上映シアターであるスクリーン2に移動すると、今回は上映後に時間が確保できないため上映前に撮影タイムが設けられ、スクリーンの前にコスプレした方々が集合することに。すると驚いたことに、なんとサリーだけでなく現代パートの主人公ハルシャを模したシャツを着こんだ方々が集まっているではないか。「そうきたか!」という驚きとともに、公開スタートからわずか10日間で現代パートのコスチュームを用意してしまうスピード感に、思わず驚かされてしまう。

もちろんサリーやアクセサリーで着飾った方々も艶やかな雰囲気が素晴らしく、劇中でいうと400年の時空を超えた2つの時代のコスチュームが並ぶ姿は不思議な感覚というか、イベント上映だからこそ成立する構図だなと感動すら覚えるほど。そして、シャツやサリー以外にも馬の被り物をした人もいて、本編では過去でも現在でも馬が活躍する場面があるのでこれもまた“ナイスチョイス”なのだ。

撮影タイムが終わると、主催チーム“V8JAPAN”による絶叫上映恒例の“前説”が展開(スタッフによる祈禱師ゴーラの再現率に驚きの声が上がりつつ)。今回は注意事項に加えて、10月26日に同劇場で『バーフバリ 伝説誕生<完全版>』『バーフバリ 王の凱旋<完全版>』連続オールナイト絶叫上映開催決定の報告があり、早くも劇場は大歓声に包まれることに。その熱狂ぶりに「発声練習がいりませんね」と思うと同時に、やはり今回の参加者は“バーフバリ民”が多いということが伝わってくる。

キンブレやサイリウムの点灯/消灯の練習を終えると(上映中の光源が気になる、という声もあるため)、いよいよシアターが暗転して上映スタート。本作を配給する「twin」のロゴが出るとさっそく「twinさんありがとー!」という声があちこちで叫ばれ、さらには「新宿ピカデリーさんもありがとー!!」の声も聞こえてくる。まずは作品を配給してくれたことへの感謝と、絶叫上映に対応してくれた劇場への感謝を叫ぶのは、ある意味、本編で愛を叫ぶのと同じくらい大切な気持ちなのだといえる。そしてラージャマウリ監督のクレジットが浮かび上がると、ひと際大きな歓声が巻き起こった。

400年前に起きた悲劇を経て現代パートに移ると、バイクを颯爽と駆るハルシャに黄色い歓声が沸き立つ。さらにハルシャを筆頭とした10分近いダンスシーンに突入すると、思いのほかタンバリンでシャンシャンとリズムが刻まれていく。現代でのダンスシーンは当然のことながら「バーフバリ」シリーズにはない本作ならではの見どころで、実際に今回の絶叫上映で観客の反応が気になるところだったが、もうノリノリである。シビアなオープニングで沈んだ気分を押し上げるように、劇場全体がタンバリンのリズムで1つになり、さらに映画の一部に溶け込んでいく。ミュージカルナンバーだからこその醍醐味だ。さらに熱気はそのままハルシャ役のラーム・チャランの実父で、“メガスター”ことチランジーヴィが登場したことでさらに大きな歓声に。どう考えても、チャランとチランジーヴィの関係性やチランジーヴィがインド映画界でどのような存在なのか理解した上での興奮の声だった。絶叫上映参加者は情報のチェックにも余念がない。

さて。主人公であるハルシャ(前世で400年前の伝説の戦士バイラヴァ)やインドゥ(同じく前世でバイラヴァを愛したミトラ姫)に歓声が上がったのは言うまでもない。もちろん二人のラブロマンスシーンでは「Fuuuu―――!」と囃し立てる声も上がり、そういった意味では「バーフバリ」以上に“黄色い歓声”が上がっていたかもしれない。そんな中でも、しっかり観客の歓声を受けていたのが悪役ラグヴィール(同じく前世でミトラ姫に横恋慕したラナデーヴ)だ。これは「バーフバリ」の悪役バラーラデーヴァにも大きな声援が贈られていたことと同じ現象なのか、やはり純粋たる悪役は役柄に関わらず人々を魅了しているのかもしれない。さらには祈禱師ゴーラの登場まで意外なほど盛り上がりを見せるから驚きだ。ゴーラといえばそれほど登場シーンが多いわけでなく、強いて言えばラグヴィールに“入れ知恵”をするくらいのキャラクターだが、やはりなかなかインパクトのあるビジュアルと口調で存在感を残したためだろう。

そして、本作で重要な位置を占めるキャラクター、シェール・カーンの登場だ。カーンは本来、バイラヴァが近衛軍を司るウダイガル王国への侵攻を目論む敵キャラクター。そんな彼が、実は大歓声を浴びることになる。これは本編を鑑賞していると分かることだが、彼こそ本作でひとくくりに“敵”と判断してはいけないキャラクターであり、バイラヴァがカーン率いる敵兵士100人と対峙した後に彼が表面に出す感情は観客の心にも深く食い込むはず。この辺りはラージャマウリ監督のキャラ造形が光るところであり、さらに彼が現代パートでハルシャに与える影響もまた重要な見どころ。ちなみにカーンのテーマカラーは緑で、彼の登場に合わせてキンブレが緑色に統一される様子は端から見ていて、いかにカーンというキャラクターが観客に愛されているかが窺い知れた。

それにしてもカーンに限らずテーマカラーがはっきりしている場面では、それに合わせてキンブレの色が変化して統一される様子には驚かされるばかりだった。初回絶叫上映でここまで観客の息がぴったりとは、皆様相当「バーフバリ」シリーズの絶叫上映で鍛えられているのではないかと思う。いや、実際にそうなのだろう、実に圧巻の光景だった。

そしてもうひとつ、大歓声を浴びたキャラクターがバードシャーだ。「誰だっけ?」と思われそうだが、彼(彼女?)こそバイラヴァの愛馬であり、中盤でバイラヴァの命を救った重要なキャラクターだ。主人のために行動するバードシャーは観客から大きな声援を浴び、ヒトに負けず劣らずの人気を獲得した。従順でありバイラヴァのために全速力で駆ける姿に、観客はシャンシャンとタンバリンを打ち鳴らし、まるでバードシャーを鼓舞するようなリズムが劇場に響き渡る。その姿、バイラヴァの騎乗する姿まで含めて美しく壮観。馬にも個性を与え、観客を虜にするラージャマウリ監督。本当に恐るべしである。

まとめに代えて

まだまだこれから公開が始まるのでこれ以上のストーリーへの言及は避けるが、総じて最初に頭を悩ませた「どこで叫ぶべきか」という問題は杞憂に終わったといえる。筆者が叫びたい、或いは感情の声を上げたいと思う場面はことごとくほかの観客と同じであり、遠慮する必要はどこにもなかった。感じたままに声が出る瞬間、ほかの観客とまさに一体になっていて、その瞬間こそ、感情を共有できる瞬間こそ絶叫上映の醍醐味ではないだろうか、と思える。

感情の昂り方は作品によって違うものの(やはり「バーフバリ」以上にラブロマンス面が強いせいか、全体的に黄色い歓声が多かった)、同じ作品を観ていれば自然とほかの観客と呼吸がぴたりと合う。それだけ作品が観客に与えるモチベーションが等しく感情に訴えかけている証拠であり、作品が持つパワーだといえる。それはエンドロールにも表れていて、もしかすると最も観客が一体となってリズムを刻んだ瞬間だったかもしれない。これぞインド映画の神髄であり、上映が終了すると観客が口々に「楽しかった」「面白かった」と笑顔でシアターを去っていく姿からも、インド映画が持つエンターテインメント性が存分に味わえる作品だったと分かる。

ちなみに。絶叫上映の間に新宿ピカデリー側の配慮で1・2階間の壁面ポスターが全て『バーフバリ 伝説誕生<完全版>』にチェンジされており、絶叫上映が終了すると参加者はこぞってポスターを前に記念撮影。まだまだインド映画が観客に見せる熱い夢は、終わりそうにないようだ。

ギャラリー

(文:葦見川和哉)

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