広瀬アリス、夢も希望もおっぱいもない巫女さんを快演!

(C)2017「巫女っちゃけん。」製作委員会

最近めきめきと勢いづいてきている広瀬アリス。

その美貌にも魅力にも、そして演技力にも磨きがかかってきている感があります。

そんな彼女の最新主演映画『巫女っちゃけん。』が2月3日より公開となります。

広瀬アリスの巫女さんと聞くだけで、男性ファンは「おお!」 となること必至ではあるのですが……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街vol.287》

ただしこの巫女さん、一筋縄ではいかない、なかなかに手強くアナーキーで過激なヒロインなのでした!

やる気なしの巫女さんと悪ガキの
奇妙な交流を綴る過激な青春映画

映画『巫女っちゃけん。』で広瀬アリスが演じるのは、現在就活中の大学生しわす。

父親(リリー・フランキー)が宮司を務める神社で巫女さんのバイトをしている彼女ですが……。

とにかくやる気がない。

常識がない。

礼儀もなければ、口も態度も悪い。

でも自分は何も悪くないし、全ては人のせいなのだ。

そんな夢も希望も、ついでにおっぱいもない(!? まあ、ないくらいの方が私は好きですけど……)日常を過ごしてきたしわすの前に、ある日突然5歳の少年・健太(山口太幹)が現れます。

この健太君、かなりの悪ガキで、誰とも口をきかず、神社の中で悪さを繰り返し、しわすを翻弄し続けるのですが、やがて現れた母親(MEGUMI)に引き取られた後で再会した彼の頬には、殴られた痕のようなアザが……。

しかし児童相談所員の前で、一体誰に殴られたのかを問われた健太は、母親ではなく、何としわすを指さしたのでした!?

一段とスリリングに映える
広瀬アリスの真摯な演技!

全体的にシニカルな空気が張り巡らせていることで、どこかしらユーモラスな情緒も映えている本作の最大の長所は、やはり何といっても夢も希望も見出しづらい現代を生きるイマドキの若い女性を広瀬アリスが真摯に演じていることでしょう。

もともと大人っぽくもさわやかな魅力が信条でもある彼女、最近はTV『釣りバカ日誌~新入社員浜崎伝助~』シリーズ(15~)で、主人公ハマちゃんの妻みち子さんの若き日の姿を好演。

現在放送中のNHK朝のテレビ小説『わろてんか』(17~18)でもヒロインのライバルながらもどこか心通わせている映画女優兼漫才師のリリコを演じています。

昨年の青春ミステリ映画『氷菓』(17)のヒロイン高校生役でも、アニメ版ヒロインの身振りなどを巧みに踏襲しながらの演技の数々を目の当たりにして、ちゃんとリサーチした上で役に臨んでいることがうかがえて好感を持てたものでした。
(そもそも漫画オタクらしいので、アニメにも精通しているのかな?)

『銀の匙 Silver Spoon』(14)でも役作りのためにそれまで長かった髪を切り、乗馬や牛の乳しぼりなどの練習を続けながら撮影に臨んでいたとのこと。

また個人的には『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイドMOVIE大戦2010』(09)での電波人間タックル(かつて『仮面ライダーストロンガー』に登場していたヒロインの再来!)が実に懐かしくも似合っていて、彼女主演の特撮ヒロインものをもっと見てみたいという気にもさせられたものです。

そんな彼女が、ここではやる気なく、それでいてふてぶてしく、頭に血が上ったら止まらなくなるヒロインを全身で演じ切りながら、新境地を切り開いています。
(またここでの勝気なオーラの描出が、現在の『わろてんか』でも活かされているようにも思えます)

しわすが母親(飯島直子)と対峙するシーンの掛け合いなども、本作の白眉と言っていいかもしれません。

また舞台が福岡なだけに、彼女の放つ福岡弁も実に魅力的で、聞いているこちらの耳心地もスリリング!

監督は『偶然にも最悪な少年』(03)や『ハードロマンチッカー』(11)などのグ スーヨン。

持ち前でもあるアナーキーかつファンキーな個性を、今回は広瀬アリスにその資質を委ねつつ、なかなか未来を見出しづらい現代の青春像に、痛く、ときに過激に、それでいてどこかしら温かい光を指し示しています。

撮影はJALのCM“光の道”で一躍有名になった福岡県宮地嶽神社で行われていることもあってか、神社の中での立ち回り方や手の洗い方などさまざまなしきたりもさりげなく示唆されているので、神社ウンチクとしても大いに役に立つことでしょう。

クライマックスでの婚礼の舞なども見事に演じのけている広瀬アリス。

この夏は小泉今日子、鈴木京香、沢尻エリカら豪華女優陣と共演する映画『食べる女』も控えています。

妹の広瀬すずとの共演作もそろそろ見てみたいものですが、いずれにしてもなかなか好調な現在、この勢いでいつまでも突き進んでもらいたいもの。

とりあえずは映画『巫女っちゃけん。』、2018年度を代表する日本映画および映画女優の主演作として、大いにオススメです。

(文:増當竜也)


    ライタープロフィール

    増當竜也

    増當竜也

    増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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