ボイエガ×監督が語る『パシフィック・リム』新作における日本の特撮やアニメから影響

 ©Legendary Pictures/Universal Pictures.

日本国内で熱狂的なムーブメントを生み出した前作から5年。いよいよ『パシフィック・リム:アップライジング』が4月13日に公開される。“パシリム”の愛称で親しまれた前作『パシフィック・リム』では、ギレルモ・デル・トロ監督が自身が持つ日本文化への深い愛情とリスペクトを遺憾なく作中に発揮。巨大ロボットとKAIJU=怪獣によるド迫力のバトルを、最新のVFX技術と特撮技術を融合することで観客に叩きつけてみせた。

人類は見事に怪獣の脅威に打ち勝ち、平穏な世界を手に入れた筈だった──。『パシフィック・リム:アップライジング』ではさらに進化を遂げた怪獣が襲来し、再び危機的状況に追い込まれた人類の存亡と巨大ロボット・イェーガーの活躍を描く。前作で監督を務めたデル・トロは製作総指揮に回り、本作ではテレビシリーズ『Marvel デアデビル』で製作総指揮・監督・脚本をこなしたスティーヴン・S・デナイトを新たな監督に抜擢している。また、主演には『スターウォーズ』新3部作でフィン役を演じているジョン・ボイエガを迎えており、ボイエガは本作でペントコスト司令官の息子・ジェイクを演じただけでなくプロデュースも兼任。ほかにもスコット・イーストウッドやケイリー・スピーニー、日本からは新田真剣佑が新キャストとして合流し、前作から引き続きマコ役の菊地凛子、ゴット・リーブ役のバーン・ゴーマン、ニュートン・ガイズラー役のチャーリー・デイが再び顔を揃えた。

本作のジャパン・プレミアに合わせて、監督・キャストが来日。まずはスティーヴン・S・デナイト監督とジョン・ボイエガが、本作の魅力をじっくりと語ってくれた。

スティーヴン・S・デナイト監督、ジョン・ボイエガ インタビュー

──デナイト監督は何年もテレビ業界で仕事をされていて、今回が最初の長編映画作品になりました。なぜ今、『パシフィック・リム』という題材を選んだのでしょう。 

デナイト監督:実は“自分で選んだ”のではなく、“自分が選ばれた”というパターンだったんです。本作のプロデューサーの1人であるメアリー・ペアレントと一緒に、もっと小さな規模の、それこそ登場人物が3人しかいなくてロケーションも家の中だけという映画をずっと企画していました。それを長編デビュー作として長い間用意していましたが、いろいろ難航してしまって。ペアレントが別プロジェクトで抜けてしまいそうになり、企画は消えてしまうのかなと思っていたんです。そんなときにペアレントから「スティーヴン、代わりに『パシフィック・リム』の続編やってみない?」と言われて、すぐに手を挙げて「やります!」と引き受けたわけです。もちろん前作を手掛けたギレルモ・デル・トロ監督の第1作目からの大ファンだったというのもありますし、特撮モノや怪獣映画は私にとっても大好きなジャンルだったので、ぜひともここで自分の腕を試してみたいという気持ちがありました。

──ボイエガさんは各映画ごとにまとっているオーラや空気感が違うように見えますが、今回の作品で演じるにあたってどのようなイメージで演技されましたか?

ボイエガ:演技の取り組み方として、もちろん演じる役柄についてすべて“違った演じ方”をしなければならないというところがあります。言ってみれば自分が今までに出演した作品を並べたときに、「ジョン・ボイエガという俳優が異なった状況に置かれている」というふうに見られてはいけないんです。例えば私は『スターウォーズ』シリーズに出ていますが、今回のようないわゆる“フランチャイズもの・シリーズもの”に出ていても、自分としては新たに演じる役柄について、別のシリーズもののキャラクターとはちゃんと差別化できるものでなければならないと考えています。

今回『パシフィック・リム』という新たなシリーズに臨むことになったときに魅了された点として、自分の訛りのアクセントで話すことができるというところがありました。それにジェイクというキャラクター自体が、イドリス・エルバが演じたペントコストにチャネリングして本作の観客に伝えることができるという、他の作品とは違う点も見いだせた点もあります。それから今回の作品に取り組むかどうか決める前に、『スターウォーズ』で演じているフィンとジェイク役を比べてみて“同じ人物に見えてしまわないか”というところを見たんです。それで、2人には大きな違いがあると見出すことができたのも魅力的でした。

演技というのは──“オーラ”の部分ですが、私たち人間は生きていく中でエネルギーを周りに纏っていますから、映画をご覧になる方がそのエネルギーに共感してくれるのは嬉しいですね。『パシフィック・リム:アップライジング』は脚本上でもエネルギー満載の作品なので、そういった部分から見ても素晴らしいものであるというところが魅力になっているはずです。

──前作と比べて、怪獣の重量感はそのままにロボットがより洗練されたデザインになっていた印象を受けました。例えば日本のガンダムだとか、インスピレーションを受けたアイデアはあったのですか?

デナイト監督:おっしゃる通りですね。もちろん “パクリ”で訴えられてしまうといけないので著作権を侵害しないようにもしながら、ガンダムをそっくりそのまま真似するわけではありません(笑)。ですが、私自身ファンということもあって日本の特撮モノやアニメーションから非常に大きな影響を受けていますよ。イェーガーのデザインに関しては基本的にILMが手掛けていて、初期のコンセプトデザインというものがありますが、今回の物語の設定は前作から10年後。前作でイェーガー計画は壊滅していて、イェーガー自体も全滅しているので1から作り直すことができたんです。そういった意味でも、指摘されたようにデザインを一新してより洗練され新しく、近代的なデザインになっています。特にセイバーアテナというイェーガーが非常に良い例だと思うんですが、最先端のテクノロジーを感じさせる見た目で、一番日本のアニメなどに影響を受けているイェーガーだと感じてもらえるんじゃないでしょうか。

──ボイエガさんは主演とプロデューサーを、デナイト監督は脚本も担当されています。2つの仕事を同時にこなさなければならない苦労や、楽しさについて教えてください。

ボイエガ:2つの仕事をこなしていく上で、その経験に対する喜びや成功を得るためには、自分だけの考え方ではいけないと私は思っています。いわゆるスタジオの体制やシステムというのはとても大きなもので、いろいろなことが同時にたくさん起きています。制作陣としても私1人がプロデュースをしているわけではなくて、お互いにそれぞれ自分の担当部門で仕事をしていきますが、私の場合はプロデューサーの1人であるフェミ・オグンスと一緒に監督と議論などを重ねていきました。監督が「なにも分からない」という状況で私たちが従事するようなことはなく、監督が進めている作業をさらに強めていったり補っていったりするのが私たちの役割なわけです。

これまでにもいろいろな現場を経験してきましたが今回の制作過程で不思議に感じたことがあって、いつもだったら長い1日の撮影を終えて帰るところを、さらに「ミーティングがあるよ」と言われて残らなくてはいけなかったことですね。俳優ならその日の分を撮り終えれば帰宅することになりますが、今回は状況が違ったのです。けれど、作品とそういった関わり合い方ができたことによってより密接に、役者としても製作過程の繋がりを感じることができました。自分が寝ているときにも、夜にふと起きて「明日はこれをしなくちゃいけないな」と思い出したり撮り直しの心配をしたりして、キャラクターについて考えるだけじゃなくてそういった制作面のことも考えなければいけませんでした。ジェイクという役に関しては監督ととことん話しを固めて作り上げたキャラクターだったので心配することはありませんでしたが、むしろ心配になったのはこれだけ大きな作品を制限のある時間の中でどうやって動かしていくのか、というところです。2つの役割を担っているという意識を持ってバランスに気をつけながら進めていきましたが、監督とはお互いに、すべて上手く進んだと思っています。

デナイト監督:私は脚本家出身なので、脚本を担当する上では馴染みのある作業なんです。ただ監督業自体はまだまだ修行中と言いましょうか、いろいろ勉強しながら今回が長編1作目となりました。監督をしながらも自分も脚本家チームの1人なので、第三者として自分のことを怒るというのも非常にシュールでおかしな話でした。正直なところ「よくもこんなふざけたページを書いたな!」というふうに頭にきたシーンがたくさんあります(笑)。例えば1シーンに12人くらいのキャラクターが登場してそれを1ショットに収めなければならなくて、挙げ句にはその後ろで大きなバトルが展開するようなシーンが出てきたときには「誰がこのページを書いた!……あぁそう言えば自分で書いたな」というように自分で自分を叱るような形でした。脚本も担当すると監督としては「誰がこの脚本を書いた?」と怒り、脚本家としては「私だ」といったような連鎖の繰り返しという感じだったわけです。作品を通して、とても大きなことをたくさん学ぶ貴重な体験になりましたよ。

──怪獣が合体していくシーンは監督がお考えになったのでしょうか。そういったアイデアを形にしていく上で困難なことはありましたか?

デナイト監督:本当に古典的なアイデアで、皆さん世代的にご存知だとは思いますが“合体ロボ”のコンセプトそのものだと思っています。「ボルトロン」のロボットのように、もともと大きいものが「合体してまた大きくなった」というようなアイデアを踏襲しところがあるんですけれど、怪獣でそれをやったというのはユニークなところだと感じています。基本的に怪獣とのバトルは三部構成になっていて、最初はイェーガーが苦戦を強いられてしまう。しかしそこで形勢が逆転して、「よし、これで勝てるぞ」と思ったら今度は怪獣が合体してさらにデカい怪獣になって襲ってくる。「メガ怪獣が襲ってきた!」とさらに形勢が逆転するという、二転三転するというプロットの展開を考えていました。その中で、怪獣のデザイン面について今回「ダブル・ネガティヴ」というVFX会社が素晴らしい仕事を見せてくれています。映画では3体の怪獣が合体しますが、1体1体それぞれの怪獣でいるときも非常にユニークで個性的な様相を持った個体です。その3体が合体して1つの怪獣になってもなおちぐはぐな印象を感じさせない、違和感のないデザインにたどり着くまでには試行錯誤が必要でしたね。

ボイエガ:自分が初めて脚本を読んだときに「ちょっと待って、これって怪獣版『ボルトロン』みたいな感じになるの?」と、ロボットじゃなくても合体するのかというところがすごくクールで印象的でした(笑)。

まとめ

日本に対する並々ならぬ愛情を明かしてくれた二人。そういったキャスト・スタッフに支えられて完成した『パシフィック・リム:アップライジング』を、彼らの言葉も参考にしながら鑑賞してみたい。いよいよ明日、2018年4月13日(金)よりいよいよ公開!

(取材・文:葦見川和哉、撮影:生熊友博)

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